ロナウド・クリストファー
訪問ありがとうございます。
「では…こちらの部屋で宜しいでしょうか…?」
「ええ。ありがとうございます。」
ちょっと…これは、どういうことでしょう?…なぜ、こんなことに…。なぜ、城に帰らないのですか!!?ロナウド様っ!!
ええ。いらっしゃいますよ。小説の中で『私』を断罪する予定のロナウド様がっ!我が家に宿泊するんですって!?なぜっ!?…あ、うち宿屋でした…。そもそもうちが宿屋だったのが運のつきなのでしょうか?聞くところによると、週に何度か城下を順番に見回りしているようなのです。ええ、それは知ってましたとも!たまーに騎士様がくるってことで街の乙女達は、騎士様がくるときは、浮足だっていましたからね!まあ、そのさいに、城下の宿屋に泊まったりすることもありますよ。我が家も、何度か騎士様を宿泊させた事もありますが、なにぶん平和な街なので、見回りにくるのは、したっぱの騎士が多く、それこそ騎士見習いの人もいた。それを…なにをとちくるったか、何故貴方がその役におさまってるの!?貴方、確か次期宰相様ですよね!?
「なにかありましたら、お知らせください。失礼します。」
表面上は、宿屋の主人をきっちりこなしている父を私は、尊敬します。だって、私を家に送るのだって、わざわざロナウド様が来たんだよ。もう、それだけでいたたまれなかったのに…。馬車降りて、それではっていったのに!何食わぬ顔で、「今宵は、私もこちらに宿泊させていただきます。」なんて宣いやがって!そりゃ、食堂的には、けっこう儲かってるけど、宿屋としての利用は、少ないから部屋があいてない日なんてお祭りの時ぐらいなものだよ!だけどね、空いてない場合だってあるわけだよ!ていうか、うちじゃなくても、もう少し先にも宿屋あるよ!?そっちのほうが、立派だよ!ていうか、貴族はそっちに泊まるのに!!ロナウド様、貴方確かこの帝国で三本指にはいる貴族のご子息様ですよね?!代々王家に使えてきたご一家ですよね?!何こんな普通の平民の泊まる宿に泊まってるんですかっ!
はぁ…。やめよう。私の精神が病んでしまう。ただの客。うん、ただの客だ。食事も一緒にとる訳じゃないし。朝起きたら朝ご飯食べて見回りにいくっていってたし!見かけるだろうけど、昼間はまったく会わないはず!
気分転換に家に帰って来ることを皇太子に約束させたのに、あのロナウド様がいたんじゃ気も休めないもんね。…今現在、やすめてないもん。
ていうか…今回だけにしてほしいな。ロナウド様が来るの。城にお手伝いしに行くようになって、初めての帰宅だったから、ロナウド様がついてきただけだよね?そうだよね。うん、そうだ!次回からは、他の騎士が来てくれる!…はず!!
でも…朝目が覚めたら、ロナウド様いなくなってないかな。急用ができて帰ってくれないかなぁ。城に。んでもって、私のお迎え忘れてくれるといいな。なんて、それは無理だろうから、せめて違う騎士様がいいな。あーあ…せっかくの休暇なのになぁ…。
「おはようございます。ロゼリア様。」
「お…はようございます。」
やっぱり、急用なんてそうそう出来るもんじゃないよね。うん、わかってたよ…。
だがしかし!朝から色気駄々漏れってどういうことですか!やめてよっ!そのチラミセとか!顔がいいだけにもはや凶器のレベルだよっ!
「早いんですね。」
「ええ。…皆様のお食事や食堂の準備がありますので。」
では…。とそそくさと私は敵前逃亡をはかる!貴方に構うなんて馬鹿な事はしないんだからっ!小説ではこんな状況になってないから現実で変なフラグは、絶対に回避してやるんだから!
皇帝とか王様とか王とか呼び方が違う事がありますが、指している人は、わかっていただけていると思うので、変更する予定は、ありません…。統一した方がいいのかもですが何分めんどくさがりっていう…。