1に、平凡。2に普通。3、4がなくて
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「こんにちは!おじいちゃま!」
銀色に近い髪の色をもった幼女が白髪の背の高い体つきがいい初老の男性に飛びついた。
「おっと!こんにちは。セリーヌ。」
初老の男性は、自分に飛び付いてきた小さな幼女を大きな体でしっかり受け止めにっこり笑う。
「こら!セリ、そんな飛び付いたら駄目だろう。」
小さな幼女の後から少し駆け足で部屋にはいってきた金色の髪に碧、瞳の少年が幼女を注意する。
「こんにちは。お祖父様。セリーヌが失礼して申し訳ありません。」
「こんにちは。ロベルト。大丈夫だよ。ナタリーも小さい頃こんな風に私に飛びついてきたからね。セリーヌは、ローズに似るよりナタリーに似たのかな。」
懐かしげにした初老の男性の目元には深いシワが出来ている。そして、愛しさを隠すことなく自分にしがみついている幼女の頭を撫で付ける。あまりにも幸せな表情で幼女の頭を撫で付ける初老の男性にロベルトと呼ばれた少年はそれ以上言えなくなり、仕方ないというように苦笑いした。
「こんにちは。お義理父様…。!!!!こら!セリ!お祖父様にしがみつかないのっ!もうっ!」
「ははは。大丈夫だよ。さっきもロベルトに言ったけど、セリーヌは、ナタリーに似ちゃったんだよ。ローズ。よくきたね。おお、アース!ご機嫌だな。」
ローズと呼ばれた銀色に近い髪の碧色の瞳をもつ女性がその腕の中に抱いている赤子が無邪気にきゃっきゃと声をあげ初老の男性に手をのばす。
「おじいちゃま!アースも抱っこしてほしいって!」
「そうか。そうか。」
初老の男性が嬉しそうにはりついていた幼女を片手で抱き上げ、赤子に手を伸ばししっかりと腕の中におさめた。
えへへ。と満足げに幼女が赤子に微笑む。それをあきれたように苦笑いしながら、ローズと呼ばれた女性と同じ色をもつ瞳の少年がお互い目をあわす。
「あらあら、皆、元気そうね。」
少年、少女がはいってきた扉とは、別の扉から、その年齢を感じさせない初老の女性が部屋にはいってきた。数年前と殆どかわってない美しさに圧倒される。
「お義理母様。お久しぶりです。」
「お祖母様!」
「おばあちゃまっ!」
「きゃーぃ!」
それは、絵にかいたような誰が見ても幸せな光景だった。
この光景に至るまで数々の苦楽があったからこその、一場面だ。あの後の事は、何があったか語るまい。そもそも、この光景は、なかったはずのものなのだから。
ただ、一言付け加えるのであるとしたならば、物語の中心にいた人物が願っていた。
1に平凡、2に普通、3、4がなくて5に静寂
このあと、次の話をクリックすると、あとがきという名の言い訳が読めます。そんなの読みたくもないなと、思われる方は、ここでやめていただいて大丈夫です!長い間読んで頂いてありがとうございました。次回作…にでもまたお会いできればと思います。




