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父、語る

訪問していただき、ありがとうございます。

「あれは…父さんが15の時だな…。フラウ国から留学という形でこの国に来た。この国の学校にも行ったんだ。私は、卒業生なのだよ。父さんと殿下は…あ、いや今は陛下だね。同級生なんだ。そこで…お互いの身分を秘密にしていたのだけどね。やはり、そうそう隠しておけるものでもなく、割とはやいうちに身分が知れてね。お城にもよく遊びにいったよ。学校は陛下も私も2年で卒業したんだけど…。父さんがこの国にきて4年後…。母さんに…セレスに出会ったんだ…。セレスは17歳の謁見で王城にきていてね。魔力があるから、侍女をすることになって…私と出会ったんだ。ローズと同じで、王城に勤めるのが嫌みたいでね。陛下に言いよられても、冗談じゃないとつっぱねていたし、まぁ、陛下は私がセレスに一目惚れしていたのを知っていたからね。セレスに言い寄ってたのは冗談だったんだけど…。そんな事もあって、私は、自分の身分を隠して彼女に近づいたんだ。陛下にも、王城にいる他の人たちにも私の身分を彼女に知らせる事のないよう…。彼女は私の事を陛下の従者だと思ったらしく、私には割とすぐ慣れてくれてね。私とセレスが恋人同士になったのは割と早かったんだ。半年後には、求婚したんだ。セレスもその時は承諾してくれたんだけど、その半年後…。私がこの国にきて、5年たったとき、父が…ローズにとってはおじいさんになるね…。フラウ国の王が倒れてね。私はフラウ国に帰国する事になったんだ…。」


ゆっくりと優しく母との思い出を語る父は、すごく嬉しそうでもあり、哀しそうでもあった。あの頃の母は、私と同じようにお城で高い身分の人に囲まれて暮らすのを嫌がって…。


「もちろん、私はセレスも一緒に連れて行ったよ。親が倒れたから、一緒に来てくれっていってね。」

「…まだ…身分を言わなかったの?」

「ああ。セレスは手荷物1つでついてきてくれたけど、流石に途中で合流した私の護衛たちに驚いていたけどね。私の言葉に逆らえない護衛は、セレスを丁重に扱わなきゃいけなかったし、そんな風に命令する私をはじめてみたセレスは、狼狽していたよ。」

そりゃあ…そうだろうと思う…。従者だと思ってて…だけど、護衛がつくような身分の人だったなんて…。そんな事を目の前で体験したらパニックになるのは当然だ。

「それでもね…。フラウ国の城に…ついたときのセレスの表情に比べれば…。私の身分が知れた時に比べれば…。」

当時を思い出しながら苦笑いの父は、なんとか私に伝えようとしていた。多分、父の言いたいことは、わかる…わかるけど…。

「それで…どうなったの?」

「拒否されてしまったんだ。というか…ごめんなさいって告げて手荷物つかんで逃げられた。」

はははっ。と笑ってその時の事を語る。…笑い事じゃないよ…。というか…私にはお母さんの気持ちがよくわかる。好きな人が愛した人が自分の苦手な身分の高い人…。しかも…わかったのは、父がフラウ国に連れていってはじめてそこで…。

「でもね…。時間をかけてセレスを説得したんだ。父も…ああ、お祖父様にもね。」

それは知っている…。アルザムとの事があったとき、聞かされた。それに…少しではあるけど、小説の中でもその事は書かれていた。思えば…随分とフラグをたたきおり物語を変えてしまって今の状態になっていることを今更ながらに実感してしまった。

「色んな事があったけど、どうしても私が諦められないのはセレスの事だった。…そんな私を見るに見かねたのかやっとセレスが折れてくれてね。一緒になることが出来たんだ。」

「そっか…。」

「だからね…。彼のかたを持つつもりはないけれど…。話だけでも、聞いてあげたら?」

馬車がゆっくりと止まり、気づけば城の門に到着していた。



次回…最終回です!⬅断言していますが、最終回を書くのが今からなので、終わってなかったらごめんなさい!そして、最終回の場合、更新は、まとめてしてあります!⬅あるはず!

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