ロナウド様、語る
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「…………。」
「…………。」
お茶を持ってきてくれた父は、二人で話し合うよう告げ、夕食の仕込みのため厨房にはいった。困る。ひっじょーに、困る!私から口を開くべきなの?ちなみに、私はうつむいたままだ。
「…先程の事ですが…。」
「へっ。あ、はいっ!」
真正面に座ったロナウド様の顔を目に入れてしまった。緊張した面持ちをしているようにみえる…。なんで緊張しているのですか!?私のほうが緊張してるんですよ!
「私は…。ロゼリア様の事が…好きです。女性として、愛しています。」
まっすぐ、まっすぐに私だけをみているロナウド様の瞳の中に私がうつりこむ。目をそらしたいのに、そらせない。馬鹿みたいに目をみひらいた私を自覚している。なにがどうしてこうなった!!
「わ…私の何処が…?」
城に登城した当初は多分ロナウド様に私は敵認識されていたはずだ。小説のとおりにマリア様に対して好意をいだいているのがわかったから…。
「…そうですね。最初の出会いは、あまり好ましいものではありませんでした。元、王族という身分に私は注視しておりました。王家に対し敵対しないか…謀反をおこすのではないかと…。普通であれば、城に支えることは、名誉ある事でありますし、城で貴族に見初められるなんて希望も持たれる方もいらっしゃいます。ですが…貴女はそのような考えをされていませんでした。私とて、最初は無関心のふりをしているのだろうと、思いました。ですが…貴女と一緒の時間を過ごすにつれ、貴女は本当にそのような事を考えてもおられないとわかりました。それに…以前お伺いした事がありましたよね…。何故、王妃を目指さなかったのかを…。その時のロゼリア様の言葉を聞き少しずつ考え方が変わったのです。見て見ぬふりは出来ないとおっしゃった事が…事実…現実となってエルナの件や…今回の偽婚約者の件を処理されたのですから。」
ロナウド様の言葉を聞くにつれ恥ずかしさが募る。確かに見てみないふりはできなかったけど…。そんなふうに言ってもらえるのは、むず痒い…。だって、私だけじゃないと思うもん。見てみないふりをしない…できない人間は…。たまたまロナウド様の傍にいたのが私であって、他にもそういう子がロナウド様の近くにいれば、ロナウド様は、その子を好きになったんじゃないかと思う…。私がその事を告げるとロナウド様は、真っ向から完全否定した。
「貴女にわかっていただけるよう…何度でもこちらに参ります。」
「えっ!やです!」
瞬間的に否定の言葉を告げると、ロナウド様の背後に漫画とかでよくある効果線が、がーん!という言葉と共に見えた気がした。ごめんなさい。だって、何度も来られても困るだけだもん!
「…では、私の気持ちをロゼリア様にわかっていただけるよう…お手紙を差上げても?」
「うっ…。」
手紙か…ロナウド様が来られるよりはマシだけど、手紙ってことは私返事ださなきゃいけないわけ?
「気にされるのは、返事の事ですか?私が勝手にお手紙を差上げたいというか…私の気持ちをわかっていただくために送るだけですので、おきになさらないで下さい。」
「はぁ…。」
「とりあえず、今はこのネックレスは持って帰りますが、私の気持ちがわかって頂けたときは、貰っていただけますか?」
…どうしよう。ロナウド様の気持ちがわかったからと言って、私の気持ちは複雑だ。
「私の気持ちが伝わるよう…そして、私と共に将来を歩んでいいと思っていただけるよう…努力します。今日は、突然お伺いしてしまい、申し訳ありません。」
ロナウド様が席をたち、厨房にいる父に挨拶をして城に戻っていった。ロナウド様の後ろ姿を見送り、私は家にはいった。父がにっこり笑って私を迎えてくれた。何故、笑顔が黒いんですか!父よっ!
おとしどころになやむ




