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そして我が家

訪問していただきありがとうございます。

私が王妃様とマリア様を騙す形になったのに、謝らないでほしいと言われたし、気にしてないとも言われてしまった。しかも、王妃様は陛下に一言苦言をされると言われ、マリア様には、殿下に一言小言を言わなければ!とはりきって言われたのだけど、二人の気持ちが嬉しくてそれだけで充分だと伝えた。まぁ…私がこの城を退城した後の事にかんしては知りませんけど…。陛下と殿下が王妃様とマリア様に怒られるかもしれないけど私のせいじゃないもんね。


「では…お世話になりました。宰相様にも、最後までお送り頂いて…。」

「いえ。こちらこそ…。また…隠居しましたら、家内と娘をつれてこちらにお伺いさせていただきます。」

「あ、はい。」

ちょっと苦笑いしかできないけど、宰相様の奥様とナタリア様が私に会いたいとおっしゃって下さっているのは嬉しい。


お城に持っていっていた荷物は持ち帰ってきたのだけれど、王妃様に用意してもらったドレスとかは、すべて置いてきた。この先着ることはないだろうし、あんなすごいドレスを保管しておいたらなにかありそうで怖い。


父が食堂から出てきて、私の荷物を運び入れるのを手伝ってくれたので、すぐに終わった。今は、休憩時間なので食堂にはお客様もいないし、宿屋もお客様が来るのはこれからだ。父が宰相様に挨拶をしていたとき、街道のほうが少し騒がしくなった。


「…ロゼリア様っ!!」


最近は、私の帰りを心待に…というか、ロナウド様を待っていた街のうら若き乙女たちが少なくなり、それでも諦めきれずいつかまたロナウド様が私の送り迎えをする事を陰ながら熱望し、私が帰る日に街をうろうろしていたお嬢さん達の悲鳴が聞こえる。彼女達にとっては、久しい姿だから悲鳴がおこるのもわからなくもない…。でも、なぜ?忙しいはずなのに…。目の前にいる宰相様すら驚いている。宰相様に挨拶していた父もぽかんと口をあけた。私が何度瞬きしても目をこすってもその姿はかわるはずもなく颯爽と自分の愛馬からおり、私の前に膝まずいた。

「どうかっ!私と結婚を前提にお付き合い願います!」

回りにいたお嬢さん達の悲鳴が聞こえた。というか、何これ!?恥ずかしいし、どうしちゃったの?!ロナウド様っ!!働きすぎで熱でも出たの?心臓は激しいぐらいにどきどきし、同じぐらいの早さで瞬きを繰り返す。差し出された手のひらの中には私が宰相様にお返ししたはずのネックレス。なにがどうしてこうなっているのかがわからない。偽だったはず…。それはお互い理解していたはず。私はただ家に帰ることを望んだだけだ。

「馬鹿者。時と場所を考えろ。そもそも、仕事はどうしたのだ?」

私が唖然として答えられないでいると、宰相様がちょっと冷たい表情でロナウド様に問うていた。

「それはすべて終えました!陛下と殿下にも了承を得てここに来たのです!」

ちょっと…こんな所で親子喧嘩を勃発させないでっ!というか!私の隣にいる父のひきつった笑顔がこわいからっ!

「…とりあえず、こんな所ではなんですので、家の中へ…。」

父がそう言うと、宰相様がロナウド様をうながしながら馬鹿息子が城をあけているのなら、自分は城に戻らなければならないことを告げる。それは、そうだろう。宰相様の代わりとしてロナウド様が宰相様の名代を勤めているのだから…。

馬鹿息子が申し訳ありません。どうか、話だけでも聞いてあげて下さい。と宰相様が父に告げ、馬車にのって城に帰っていった。

ロナウド様の愛馬を馬小屋につなぎ、人のいない食堂へと向かった。カウンター近くのテーブル席にロナウド様を座らせた父はお茶でもいれるよ。といって厨房にむかう。…二人っきりがとっても気まずいんですけどっ!!



本当は、ここで終わる予定でしたが、もう少しだけお付き合いください。

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