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最後の挨拶

訪問していただきありがとうございます。

「では…お世話になりました。」

アルザムの一行が馬車で帰ってゆく…。結局、国交を断絶する事になってしまった。この先、陛下が託した書簡をアルザムの国王が読んだ後…どうなるかは、わからない。最悪の場合戦争になるだろう…。だけど、戦をおこすとしても結果は解りきっている。魔力をもっている者がそして持っていたとしても魔力の少ないアルザムの者がこの国と戦をおこしても魔力を持つ者が多いこちらとではどうあがいても勝てる戦ではない。


アルザムの一行がこの城をたって数日後…私は、この城で過ごす最後の日を明日に控えていた。今日は、朝から挨拶回りをしていた。城で働いている人達すべてにお世話になったお礼をいいにいった。今は、王妃様の部屋だ。

「王妃様、マリア様、この半年間お世話になりました。」

「本当にやめてしまうの?」

「はい。父と一緒に食堂と宿屋を営んでいきます。」

「でも…ロナウドとはあまり会えなくなってしまわない?寂しくないの?」

王妃様に言われて気がついた!私、まだ誤解をといてなかった!

「その事なのですが…。あれは、お芝居だったのです。ロナウド様の身分的にわたくしが急遽対応する事ができましたので、婚約者という事にしましたけれど、偽…と申しますか…仮と申しますか…。その様な感じだったのです。この国の重鎮の方々にも色々誤解を与えてしまいましたけれど、そちらのほうは、陛下と殿下が上手くお話をしていただけるそうなので、王妃様とマリア様にはわたくしから告げる事を陛下と殿下にお約束した次第です。」

にっこり笑ったつもりなのに、王妃様とマリア様のお顔が怖いです。笑顔なのに怖いです。特に王妃様は、何かを耐えるように扇子を持つ手がぷるぷるしています。ロナウド様が私に渡してきたロナウド様のお婆様のネックレスは、宰相様にお返しした。ロナウド様にも挨拶をしようとしたけれど、アルザムの一件での残務処理が沢山ありすぎて、すごく忙しいそうだ。寝る間もなく働いてるらしい。お世話にはなったけれど、そんな寝る間もなく働いているのならば、私の挨拶に時間を割かせてしまうのは、申し訳ないと思って宰相様にロナウド様にも宜しく伝えておいてほしいとお願いしたほどだ。

「その…お芝居というのは、もしかして陛下から?」

「いえ。陛下はわたくしをロナウド様の婚約者にと思っておられたみたいですが、殿下がわたくしの性格上、偽という形でもロナウド様の婚約者という立場を断ってしまうだろうと思われて…。ロナウド様からわたくしに…愛の告白というのでしょうか…。その…婚約の申込みをすれば、本当に婚約を申し込まれたと…私が思って…偽だということがばれないだろうし…。婚約者という立場を断ることはないだろうと…。」

あのバカ息子っ…。と王妃様が呟いたけど、聞こえなかったふりしたほうがよさそうね。マリア様は、瞳をうるませて、ひどいっ!殿下っ!とも呟いてたけど…こちらも私は知らないふりだ。殿下…御愁傷様です。

「その事は、ロナウドも知っていたの?」

「あ、はい。ロナウド様に確認済です。ですが、ロナウド様の立場上、殿下のおっしゃることを守られただけですので、ロナウド様に対しては、仮に…ではありますが、わたくしに告白まがいのような事をさせてしまったのは、申し訳なく思います。それに…申し込まれた際、偽だとわたくしが気がついたのですが、わたくしが気がついた事に際して、他の方には、黙っておくようにしていただいたので、わたくしも、王妃様やマリア様を騙すような形になってしまって、申し訳ありません。」

ぺこりと御辞儀をすると、王妃様とマリア様が二人揃って謝らないでっ!と必死に恐縮していた。いやいや…。本当に申し訳ない事してるから!それに…ロナウド様と婚約だなんて…。平凡から外れる事ですからっ!

残念っ!という副音声が、一番最後の本文に私の頭の中でうかびました。このネタのおおもとがわかる方、いらっしゃるかな…。


そして、サブタイトルを見るかぎり、このお話が終りか?と思わせるような感じですが、もう少し続きます。

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