難しい判断
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「皆を罰するのであれば、私も罰して下さい。もとはといえば、私がロナウド様の事をお慕いし、今日、このような事になったのですから。」
「アルザム第2王女、ナーシア・パレシス・アルザム。そなたの一存でと言ったが、国王の希望ではないのか?」
「…いえ。父は…国王は、この国の魔石を…この国をいずれ侵略しようと考えていたと思います。仮に、私がロナウド様と婚儀が整ったとしたら、この国への足掛かりに私を利用したはずです。」
そうなるだろうと、考えていたけれど、実際アルザムの王女がその事を肯定するとなんだかいたたまれない。ナーシア様のいう通り本当にナーシア様は、ロナウド様をすきだったということが解ってしまって辛い。
「そうであろうな。こちらでも、同じ判断をしていた。ナーシア王女、そなたは自分が侵略の駒にされることをわかっていながらそれでもロナウドを望んだのか?仮に、この婚約が成り立ち、アルザムがそなたを利用し、この国を侵略しようとしたとき、ロナウドの立場が悪くなることを考えなかったのか?それほど上手く事を成す自信があったのか?」
陛下がそう問いたとき、ナーシア様の顔色がかわった。
「いえ…。いえ…。」
小さな声で否定をしていた。それはそうであろう。王女と言え、まだ15才なのだ。そこまで考えることが出来る事は少し難しいだろう。ロナウド様が好きという気持ちが大きくて、将来を共にしたいと願う…。それがナーシア様の一番の気持ちだろう。ナーシア様の父…アルザムの王がこの国を侵略しようとしていたとしても、自分の父はロナウド様を悪いようにしないだろうと…。単純なのだ。まだ子供なのだ。
「ふむ…。」
部屋の中が静まり返る。どちらにしても判断が難しい。王女や宰相、隠密達を処罰するのは簡単だ。ただ、やはり問題がおきるだろう。へんな話、そこをつかれてアルザムが攻めいってくる可能性もある。一番いいのは、なにもなかったように帰って頂く事だ。だが、なにもなかった事には出来ない。
「こちらとしては、罪に問わないなどと言うことはない。だが、すべて未遂に終わっているのも事実だ。…そなた達の処分は、アルザムの王に託す。国交は断絶する。そちらから輸入しているもの、すべてこれからは輸入を拒否する。こちらからも輸出はしない。それから…この処分が不満であれば、いつでも戦を受けてたとう。その事を書にしてそなた達に託す。アルザムの王へ届けよ。もし、アルザムが戦を選択した場合、アルザムの国民がこの国へ亡命を希望するのであれば、受け入れよう。ただし、戦が終わるまでは強制施設で過ごしてもらう事になるであろう。」
陛下の判断にすでに重鎮達も納得をしているのだろう…。無言で成りゆきをみまもっていた。
裁判所みたいな部屋を出て自室に戻る。父も一緒だ。
「王女は、客室のままらしいね。宰相も。侍女達と従撲もあてがわれた部屋にいるらしい。隠密達だけは、牢にいるみたいだね。」
ぼそっと当然だけど。ってボヤいた。父よ…。笑顔でその言葉は怖いってば!
「陛下と重鎮の皆様が話し合われてされた決定ですから…。後は状況を見守る他、ないですね。」
「ああ。それはそうと、ローズ。もう少しで家に帰ってこれるのだろう?」
父がおどけたように話題を別のもののした。
「はい!今週で終わりです!」
そうなのだ。やっと…平凡で平和で普通に暮らせる。心浮き立つけど、その前に色々処理しなきゃ!
「よかった。ここまで頑張ったのなら、なにかしら報酬でも、頂きたいな。ああ、義理息子はいらないよ。とてもじゃないけど、心が休まりそうにないからね。」
って父よ。だからそのブラックな笑顔は怖いってば!ま。今後、我が家には関わりをもってくれない事が一番の報酬ですね。それと…ロナウド様にかんしてはそもそも偽婚約者なんですからね!
恋愛がほんのりしかないのは、仕様です。なにぶん、主人公が、アアナノデ…。




