隠密の処遇
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「冥土の土産に教えてやるよ。俺達はアルザムの影だ。アルザムの王族がこの国に嫁いだら、この国は俺達の国となる!魔石も使いたい放題だ!」
…なんというか…お馬鹿はどっちなんだろう。確かに本当にアルザムの王女がロナウド様に嫁ぐ事になったら色々と面倒なことがおきるのは目に見えているけれど、この国をのっとるだなどと…どうしたらその考えにいきつくのかを聞いてもみたいけれど、父とロナウド様は、決してそんな雰囲気ではない。
「なるほど…。」
ロナウド様のまったく納得していない、なるほどがきましたよ!にやにやしてる場合じゃないとおもうのに、アルザムの隠密達は、事が旨く行っていると思ってる。
「やっと、わかったか。手始めに…。痛えっ!!」
コツンと魔石が床に落ちた音がして、コロコロと廊下を転がっていた。隠密達が呆然とした様子でそれをみていた。父の首筋に魔石をあてがっていた男が手を押さえて体を悶えさせていた。男が自分から離れたのを認めた父が私の前に立つ。私のすぐ後ろには監視室の扉がある。
「手始めに何をしろと?アルザムの王女がこの国に嫁ぐために、三大貴族の息子と婚約した娘を害せと?今、そう聞こえたのですが、気のせいですよね?」
父が怖い!どのぐらい怖いかって!?普段にこやかで、人当たりがいい温厚を絵にかいたような人が笑顔で今のセリフを言っています。怖くない?私は、怖いです!ロナウド様のブラックと同様です!っていうか、父がこんな風に怒るのを生まれてはじめてみたよ!
「おまえっ!魔力があるのかっ!」
「騙したな!」
悶えていない隠密達が口々に言葉をはっしているけど、騙したってなんですか?思わず笑いそうになっちゃったわよ。
「騙しただなんて、人聞きが悪いですね。あなた方が勝手に私をここに連れてきて、どうにかして城に潜入させろとおっしゃいましたよね?私は言われたとおりに、城にはいらせましたよ?その点では騙してないでしょう?」
父よ。突っ込んでいいですか。問題はそこじゃありません。
「ふざけるなっ!魔力があるのなら何故抵抗しなかったんだっ!」
「そうだっ!お前のせいで計画がめちゃくちゃだっ!」
武器を懐からだし、私達に刃をむける。残念だけど、隠密達が体を駆使して私達にむかってきても、返り討ちにあうのが関の山だろう。
「ふざける?ふざけてはいませんよ。」
痛っ!という声と共にカランと隠密達がもっていた武器を落とす音がした。
「まだわかりませんか?いい加減、わかって貰わないとこれだけではすみませんよ。」
ちょっと!ロナウド様までっ!ここは穏便にしましょうよ!
「んだとっ!」
「魔石もない。武器もない。どう私達に抵抗するのですか?」
「くそっ!」
隠密達がやけになって父に飛びかかってきた。多分、私を人質にしようとしてるのだろうけど、そんな事を父が許すはずもなく、父の結界にあたった隠密達がふっとんだ。倒れこんだ所をすかさずロナウド様が、南の村人を束縛した魔力で拘束をしていた。
「正当防衛って言葉は、御存知ですか?まあ、とにかくあなた方の処遇は、皇帝陛下に決めていただきます。その間、あちらで休んでいてください。」
そう言ってロナウド様が監視室の監視員を呼び出し、隠密達を廊下の突き当たりにある牢屋にほおりこみにいった。ロナウド様が私と父の所に戻ってくる間、父が私に怪我がないか心配していた。
「大丈夫です。お父さんこそ、大丈夫?」
「もちろん!」
そんな話をしていると、ロナウド様が戻って来て、父に深々頭を下げた。
「ご挨拶が遅くなり申し訳ありません。義理父上様。」
ちょ!!!!!今!!なんてっ!!やめてえええええ~!
偽だから!偽だから!偽だからあああっ!!!!!!
次回作の構想をねっています。




