同情はしません
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「よかった。クリストファー様…。晩餐会の手伝いを頼まれたのですが…どうも話がうまく伝わっていないようですね。」
「そのようですね。どうぞ。城内にお入りください。そちらは、助手の方ですか?」
「ええ。そうです。」
父とロナウド様の会話には、裏に隠れている言葉ある。アルザムの隠密を助手という言い方をして、再確認したロナウド様。それに是を唱えた父。もちろん、晩餐会の手伝いだなんて頼んでない。家のほうで、何かがあって今この状況になっているのだろうけど、あの殴り書きの父の文字からして、突発的な何かがあったとしか思えない。城下で父が魔力を使い隠密を捕らえるのはそう難しくはないだろう…。ただ、騒ぎになって大事になる方がどちらかと言えばよくないことだ。多分、父はそれも考慮にいれ、隠密の言われる通りに従って今ここにいるのだろう。しかし、この先どうするのだろう。ロナウド様は、この人達をどうやって穏便にアルザムへと帰らせようと模索しているのだろう。城内に入らせてどうするのだろう。
「では、ご主人はこちらへ。ローズ、ご主人の事、宜しくお願いします。助手の皆様はあちらの部屋に支給の者がおりますので、私と一緒に来ていただけますか?」
ロナウド様がそう言って父と隠密達を連れてきた所は、牢屋に近い厨房からかなり離れた場所だった。父に指定された部屋は、牢屋を見張るための監視室。隠密に指定された先にある部屋のように見えるそこは牢屋だ。
「うごくなっ!お前ら!こいつの命が惜しかったら、大人しく俺達に従え!」
突然、隠密達が魔石が見えるよう父の首もとに押しつけ、私達を制圧しようとしていた。
うん…。なんていうか…。わかってないよね。ちらりとロナウド様を見ると、ロナウド様がひとつため息をついて隠密達に話かけた。
「どういう事ですか?」
「こいつは人質だ。俺達は、やらなければならない事がある!そのためにお前らは俺達に従えばいいんだ!魔力を使ってみろ!?こいつの命がどうなってもいいのならな!」
うん。残念な人達ですね。魔力を持ってない人は魔力を測ることができないから仕方ないのかもだけど…。
「何をすればいいのですか?」
ロナウド様が隠密の言葉に問いかける。
「ふっ。やっぱり平民の魔力を持ってないやつを人質にとったのは正解だな。」
「よけいな事を話すな。」
隠密達がこぼした言葉には、同意できないけれど、魔力を持っていないアルザムの者からすれば、これが一番いい潜入方法だったのかもしれない。ただ、人選は、正しくないけど。こちらとしては、よくぞ父を選んで人質にしてくれた!と称賛したい。これで普通に平凡に暮らしている魔力をもっていない人を人質にされたら、もっと厄介になっていただろうし。
「今、この国にアルザムの王族が来ているだろう?その王女とこの国の三大貴族の息子との婚約をさせたい。その貴族には、この国の王妃の姪が婚約者についているらしいな。それを廃除する。協力しろ。」
ため息ついていいですか?仕方ない事だろうけど…張本人が目の前にいるってわかってないよね?ていうか、父とロナウド様の魔力が恐ろしいぐらいに膨れ上がっているんですけど!
「どうして、あなた方はアルザムの王族とこの国の三大貴族の息子を婚約させたいのですか?」
隠密達と言うことはわかっているけど、あえてわからないふりをする。ちゃんと自分達のくちから隠密と認めて貰わなければ事をなしたとき色々問題になりそうだし。
「魔力があるくせに、脳ミソがないのか?はっ。この国も大したことはないじゃないか!そもそも俺達がでばるまでもなかったんじゃないのか?」
隠密達に笑いがおこる。あーあ…。私知りませんよ。どうなっても。同情はしませんよ。
この回は、苦労しました…。文才がないって辛い…。想像力をかきたてれる文章がかきたい…。




