こいつのドコがよかったの?
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「父上と母上がお前の事をべた褒めしていたから、どうかと思えば…たいしたことないな。」
最悪です。
あ。皆様、どんびきしないでくださいね。私がどんびきしてますから。
ええ、ご想像の通りに、あの穏やかな二人の子供とは、思えない性格の悪さ。城ってところは恐ろしいね。でも、王と王妃の前じゃ、すごく猫被ってたから、きっと王様むきなんだろうね。私に対して口が悪いけど、相性があわないだけだよね。
やだ!私、なんだか人生達観しちゃってる?してないよね?大丈夫だよね。
「それは…申し訳ございません…。」
謝るような事でもないけど、ここで、敵認識されたらものすごく面倒な事になるのよ。この後、偶然ヒロインとの遭遇が待ち構えているんだから!!
「…お前、何を企んでる?」
「えっ!(まさかの質問?!)企むだなんて!(フラグを回避したいだけよ!)…誤解です。」
不機嫌そうな顔は、変わらない…小説の私に問いたい。ローズ…貴女なんでこんなのがよかったの?!
小説では、『私』は、平民と言えど、元皇太子の娘で、目の前で不機嫌を隠そうともしない皇太子殿下にベタボレしていたはず…。小説の中の『私』は、王家の関わり深い人間であり、自分を特別だと思うようになっていた。
でも、現実は、私は平凡が一番だし、普通がいいし、正直婚約だなんて絶対遠慮したいのに、王と王妃が皇太子をよびつけ、強制お見合いのように、後は、若い二人で~みたいなノリになって、イマココ。
「確かに、顔は綺麗だがな。」
「ありがとうございます…。」
ぶち壊していいかな?いいよね。ヒロインに出会う前に!ここは、いっちょガツーンと!
「あの…。」
「なんだ?」
「不敬に問われないでいただきたいのですが…。」
「だから、なんだっ!?」
「不敬罪に問いません?」
「問わない!」
「本当に本当?」
「本当に本当だっ!」
よしっ!確かにいったよね!
「では遠慮なく…。…私だって、迷惑なんです!私はっ!平凡に暮らしたいんですっ!!婚約だなんて冗談じゃない!普通がいいんですっ!面倒な事は、絶対、絶対!お断りなんですっ!だから、殿下のほうから上手いこと陛下にいって、この婚約とか潰してくださいっ!以上っ!!」
って!!何ぽかーんとくちあけてんのっ!
…ちょっと。微動だにしないけど、いきなり打ち首とか切りつけとかしないよね…。この庭に殿下とたしかに二人だけど、何かあったときのための騎士が声の届かないであろう位置で私と殿下をみてるんだもん。小説では、この場面はないんだもん。このあとの場面しか私は知らない。無理矢理私と婚約させられた殿下がヒロインと出会うシーン。
でも、今私は、フラグをへし折ってやったわよ!
ふんっていきをはくと、殿下が呆けた顔を伏せて体が震え出した。ちょ、怒った?!まさかの切りつけ!?
「ふっ…あははははっ!お前!面白いな。平民からいきなり俺と婚約したのに、権力を望まないのか。」
「望みません!まったくご遠慮願います!今日、このあとすぐにでも、殿下が陛下にこの婚約を潰していただいて、さっさと家に帰って父とケーキを食べたいんですっ!お店にだっておばさま達にお願いしてあるし!帰らなくちゃいけないんです!」
よしっ!いってやった!!いってやったぞ!
「わかった。婚約は解消だ。すぐにでも陛下にうまくとりなそう。」
「本当ですか?約束ですよ!」
「ああ。どうしても、女としては、みられないとでも言っておけばいいだろう。」
ニヤリと笑うのが皇太子じゃなかったら、頭の1つでもはたいていただろう。
でもね、そんなちっさな事は気にしない!!フラグ回避してやったわよ!ひゃっふーい!!
やっと皇太子がでてきたよ!






