主演男優賞
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「では…そちらがロナウド殿の婚約者様ですか?」
「はい。王妃様の親戚にあたるお嬢様です。ローズ。」
ロナウド様が私を相性で呼ぶ事にしてからしばらく時間がたつのにまだなれない。
「初めまして。ロゼリア・フラウ・フォルコットと申します。」
ええ。普段はロゼリア・フォルコットと名のっておりますよ!今回、どうしてもアルザム側にロナウド様と同等の身分でなければ付け入る隙をあたえる事になるだろうという重鎮の皆さまの強い押しで、本来であれば、そうなる予定だった名前を名のることになったのだ。
「フラウ…。」
ぽそりと漏らしたかもしれませんが、聞こえてますよ。アルザムの宰相様。
「わかっていただけたでしょうか?」
これでさっさと帰ってくれることを願うけど、そういうわけにもいかないんだろうな。あー。めんどくさっ!早く帰ってほしいよ!てか、帰れ!
なんて、心の中で毒づきながら表情は自分でも、完璧だと思う笑顔をはりつけている。だって、アルザムの王女様の視線がものすごいんだもの。そんな顔してて、いいの?と思うぐらい私を睨み付けている。
「失礼な質問を申しあげてもよろしいでしょうか?」
おっと!これは…私に質問か?ちらりとロナウド様をみあげるように見ると私と目を合わせてにこりと笑う…。うっわあああああ~!偽、偽、偽っ!!!顔あかいよっ!絶対っずぇえええええったい!
やめて!本当にやめて!ばれる!これじゃ偽者だってばれるからっ!
「なんでしょう?」
ロナウド様が私から目線をはずし、質問してきたアルザムの第2王女ナーシア様に目をむける。私を睨んでいたナーシア様が途端に表情を柔らかにし花がひらくよう微笑んだ。
それをみて、途端にエルナを思い出した。ああ…。アルザムの王は、この婚約を政略だけど…この子は純粋にロナウド様の事を好きなんだなと…その表情で感じた。
「はい…。何故、最初からフォルコット様がロナウド様の婚約者ではなかったのですか?」
その質問は…。困る…。ひっじょおおおおおに困る!!!動揺が隠せているだろうか?ロナウド様どう答えるつもりなの?!確かに身分的に考えて、ロナウド様の婚約者にならないのは変だ。
「ああ…。以前の婚約者であったエルナが…ロゼリアよりも半年ほど先に生まれたので。」
ナイスごまかし!
「では…。フォルコット様には、他に婚約者がいたのでは?」
うっ…。まずいなぁー。相当まずいなああー…。
「ええ。本来であれば皇太子様の婚約者になる予定でしたが、皇太子様の婚約者には違う方がなられたので…。」
ああ!そういえば私、皇太子と婚約させられるとこだったわね!小説通りになるのもいやだったし、皇太子をどうしたら好きになるのかがわからなくてフラグ叩き折りましたからね!
「まあ!そうでしたの…。皇太子様の婚約者にならなかったのは…。」
何?私がダメ人間だって言いたいの?言葉濁して私に何か問題があるから今まで婚約者も居なかったのか言いたいの?あああああーーー!!!
ぶちまけたいっ!私は、平凡に普通に平和に生きたいだけなのにっ!
「ですが…。エルナの一件で私を支えてくれたローズに私は心をひかれ…。私と婚約して頂けるよう懇願したのです。」
うっ…。ロナウド様の言葉に再び顔が熱くなる。
「こう言ってはなんですが…。私はローズが皇太子様と婚約せず…誰ともそのあと婚約をしなかった事を嬉しく思っています。」
ロナウド様の優しい眼差しが、また私に向く。演技だとわかっていても、顔が熱くなるのと心臓が煩いくらいにはねあがるのを止めることはできない。もーっ!本当に思わず演技だって忘れちゃいますよ!どれだけスペック高いんですかっ!ロナウド様!!!
あとがきを書いてなかったことに気づいた




