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閑話‐『新たな婚約者3』ロナウド・クリストファー

訪問していただき、ありがとうございます。今回で閑話終了です。

謁見の間で、陛下、王妃、殿下に臣下の礼をとった形で膝をついていると、侍女長に連れられてロゼリア様が謁見の間にはいってきた久しぶりにその顔をみた。着飾ったドレスではない…地味ともいえる侍女服を着ていてもロゼリア様には、気品があり清楚だ。ロゼリア様の実家で着用している服もよくにあっていると思う。彼女が着飾ったらさぞかし可憐で美しく、高貴であろう。陛下、王妃、殿下に挨拶された後、父と私にも挨拶をして陛下に椅子に座るようにと告げられていた。陛下、王妃、殿下は椅子に座っているが、その1段低いところに父が直立不動で陛下の横に立っている。私は、さらに1段低いロゼリア様が座っている椅子の横で臣下の礼をとったままだ。陛下がロゼリア様にこの状況の説明をしはじめた。ロゼリア様の顔を盗み見ると、困惑が伺えた。何故自分が呼ばれ、ここに居なければいけないのか?という声まで聞こえそうな表情だ。この国の複雑な御家事情は、彼女にも関わることだが、多分本人は、その中に身を投じたくはないのだろう。思い起こせば、初めて彼女に出会ったときは、とんでもない女性だと思ったほどだ。まさか、彼女のくちから血判という単語が出てくるとは思わなかったし、彼女の身分を初めてきいて彼女を迎えにいった自分にとって意外というほか、ない女性だった。本来であれば、殿下と婚約するはずだった元王族の彼女。だが、利害が一致し、その話がなくなったと殿下から聞いた。そもそも、平民として過ごしてきたのであれば、高貴な身分に憧れるのではないのか?彼女はそれを即座に断ったそうだ。平凡がいいと。普通がいいと。だからと言って、その言葉を安易に信じてはいけないと思う自分がいた。次期宰相として、王族に支える身として。

殿下が選ばれた王妃候補のマリア様は、いちいち行動や言動が新鮮で、いつも笑顔で、殿下を支えたい気持ちがあふれ、王妃教育にひた向きに頑張る姿に心を奪われた。だが、今となってそれは女性に対する好意とは違う事がわかる。この場に、マリア様の姿はないが、マリア様ともしばらく会っていないが、寂しいとは思わなかった。自分がロゼリア様に会えずじまいだったこの一月ひとつき、父からロゼリア様の色々な話を聞いたりすることが、悔しくもあり、嬉しくもあった。先日、久しぶりに実家に帰省したさい、ナタリアと母からもロゼリア様の話を聞いた。あまりエルナの事を好きではなかったナタリアと母がロゼリア様を絶賛していた。たった1度会って仲良くなったのかと、びっくりした。そんな事をつらつら思っていると陛下の話がいよいよ核心に近づいていた事に気づいた。

「ロナウドに問いたのだ。新たな婚約者をどうしたいか。」

「おそれながら陛下!その先は私がっ!」

かなり焦っていると、自分でも情けないぐらいに必死だと感じる。謁見の間に二人きりにされ、心臓が酷く騒ぐ。この音が彼女に聞かれているかもしれないが、情けない自分を彼女に見せたくなくて冷静を装う。

「ロゼリア様…。」

「な。なんで…しょうっ。」

焦ったような彼女の声に少なからずも期待する。

「お願いがあります。」

「な。んでしょうか?」

彼女が焦れば焦るほど期待が高鳴る。

「私の婚約者になってください。」

真剣な眼差しで彼女をいぬく。自分の気持ちに嘘偽りはない。彼女に膝をつき、正式な婚約申し込みをしている。早く答えが欲しかった。是という答えが。後で思うと情けない表情に自分でも、なっていたのかもしれない。偽ですよね?と彼女が出した答に本心を告げる事ができなかった。彼女のあんな困った表情を見てしまったら、追い込むことなど、できなかった。結果的に彼女は、偽りの婚約者として私の隣に立つことになってしまった。だが、私はこの一件が無事に終わっても婚約を解消する気はない。偽であるということを殿下にわからないようにすると言っていた彼女らしい言葉を逆手にとり私は絶対に彼女を逃すつもりはない。

ブラックロナウド様がひっそりと。次回から本編に戻ります。

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