偽婚約者
訪問していただき、ありがとうございます。
「さて…。ロゼリア。」
「はい。」
頼むから私の予想にはんしてほしいよ。
「このたびのアルザムの要望を受けるわけにはいかぬ。」
まぁ、そうでしょうね。どうなるか考えただけで危うい状態になることが目に見えているのだから。
「そこでだ…。ロナウドに新たな婚約者をという意見で一致している。」
だから、それには賛成です。私になんの関係があるのかが疑問です。私の隣には、久しぶりにその姿を拝見したロナウド様が膝をついて臣下の礼をとったままです。私?座りたくはなかったけど、ここに呼び出され陛下と王妃様と殿下、宰相様とロナウド様に挨拶した後無理矢理椅子に座らされ、呼び出された理由を聞かされ、聞きたくもない情報を聞かされ…⬅今、ココ。
「ロナウドに問いたのだ。新たな婚約者をどうしたいか。」
びくとロナウド様の肩が揺れたのがわかった。
「おそれながら陛下!その先は私がっ!」
少しロナウド様の焦ったような声が放たれて場が静になった。
「ああ。そうだな。ロゼリア、ロナウドが申す事を我々も願っている…。」
行こうか…。陛下がそういって、王妃様と殿下をつれて謁見の間を出ていった。ちょっ…!二人っきりとか冗談じゃないんですけどっ!
「ロゼリア様…。」
陛下にむけていた眼差しを膝をついたまま、私にむけてきた。ちょっ…!なにこの光景!ロナウド様が小説の中でマリアにむけていた光景よね!?なんで今!?なんなの?これ!?
「な。なんで…しょうっ。」
声が裏返った!私の声にロナウド様が瞬きをした。恥ずかしすぎる!テンパリすぎてるよ私!
「お願いがあります。」
優しい眼差しには、クラクラしてしまう。それじゃなくてもロナウド様は見目麗しいんだから!
「な。んでしょうか?」
「私の婚約者になってください。」
耳が熱い。耳鳴りがしているような感覚を覚える。熱いロナウド様の眼差しは、私をいぬく。どうしようとか…なんでとか…声にならない言葉が私の喉で蠢いて、ひゅうひゅうと熱く息だけが支配している。心臓は、ロナウド様に聞こえるのではないかと思うぐらい騒いでいる。
「ロゼリア様…?」
「ひゃいっ!」
ロナウド様の透き通った蒼い目に自分の顔がうつりこんでいた。真っ赤に染まったその姿を自覚したくはないのに、思い知らされる。ロナウド様に男性として好意をいだいているわけじゃないけれど、私を婚約者にとロナウド様が放った言葉に動揺しない訳ではない。陛下に呼び出され、手紙の事を聞かされ、ロナウド様に新たな婚約者が必要だと言われた時、私をロナウド様の偽婚約者にしたてあげるのかもしれないと思っていた。その話が陛下からされるのだと思っていたのに、ロナウド様は陛下の言葉をきり、自分で私に伝えると申し出た。その言葉を陛下が聞き入れ私とロナウド様は謁見の間に二人っきりにされた。そして…今のロナウド様の一言だ。私はロナウド様にそんな事を願ってもらえるとは思っていなかったし、かかわりたくないと思っているのも本気だ。だけど…。とにかく…耳が熱い。体が熱い。どうしたらいいのか、考えても考えても、考えはまとまらないし、声もでない。
「あの…。」
ロナウド様の優しい声と眼差しに、どうにかなりそうだ。返事をしなければ…。これを断ればアルザムにつけ入れられる。それはわかってるけれど、ロナウド様の婚約者だなんて…。ロナウド様が私を望んでいるだなんて…。
「…そんなに、私の事が嫌いですか?」
!!!!!!
や…めてよぅ…。そんな…棄てられた犬のような表情なんて…。なんでその切なそうな表情を私にむけてるの?!なにがどうしてこうなってるの!?
「き…嫌いというわけでは…。」
嫌いではない。それは本心だ。かかわりたくはない。それが本音だ。だけど、ロナウド様が私を望んでいることに戸惑う。何故なんだ!どうしてこうなった!
ロゼリアの困惑が伝わっていれば幸いです。




