クリストファー公爵家
訪問していただき、ありがとうございます。
あの後…マリア様をなだめるようにして、なんとか無事に皇太子様から契約書を変更したものを貰いました。今回は、ロナウド様の血判ではなく、皇太子の印。いやぁ…我ながらよくぞ勝ち取った!これで、心置無くマリア様の王妃教育に身を打ち込める。
やはり、エルナの存在がなくなっただけで、城の雰囲気が、一変した。この国の三大貴族が断絶する事になってしまった事件は、詳しい内容は、知らされる事がなかったが、やはり、三大貴族の1つがなくなるというのは、大事で、城下でも、噂になっていたし、ロナウド様の婚約者であったエルナが教会に行く事になったことで、街のお嬢さん達は、ロナウド様の隣が望めるのではないかと色めきたっている。只、やはりロナウド様の新たな婚約者となるのは、貴族であろうという意見が多い。どちらにしろ、私に害がなければ、私はなんでもいいのだが…。
「おかえりなさいませ。旦那様。奥様とお嬢様がサロンでお待ちです。」
ここは…。っていうか、今旦那様といいましたよね。
「うむ。ああ、ジョシュア。こちらは、ロゼリア・フォルコット嬢だ。マリア様の王妃教育を手伝っておられる。」
「はじめまして。フォルコット様。クリストファー家の第1執事、ジョシュアと申します。」
な、ぜ、に、クリストファー家に連行しちゃってくれているんですか!?宰相様!!
「はじめまして…。ロゼリア・フォルコットと申します。」
淑女の礼をしたところで、執事さんがにっこり笑う。宰相様に事の成行を説明して貰いたいけど…。声を荒げそうです。とりあえず、宰相様の後について家の中に入らせていただきますが、ここは…。流石三大貴族様のお家…。だけど、華美ではない。重厚だけど、キラキラではない。あのセルゲード公爵家とまったく違う。大きい邸だけど、センスが良い。落ち着く内装だけど、そこらへんにちらっとかけてある絵画だったり、観葉植物的な植物だったり、柱時計だったり、全部ものが良さそう…っていうか…絶対良いやつだ。
「あの…。宰相様。何故、此方に?」
「ん?先日ロゼリア様が家に帰ってはどうかと、いわれておりましたから。」
「はぁ。確かに言いましたけど…。」
私は、お断りしましたよね?…なんていえないけど、恨みがましい目で見上げると、宰相様が笑う。
「大丈夫ですよ。こちらには顔見せに寄っただけです。ちゃんと、夕刻には、ロゼリア様のお宅へとお送りします。」
今日はちょっと早い退城だと思ったらそう言うことですか…。なんかいつもと違う人力車な馬車じゃなく、最初に私を迎えに来てくれたちょっと豪華な馬車だったのも…。不思議に思ったんだよね。
というか…無駄だよね。宰相様は、私を送った後またここに戻るんだよね…。ここから、私の家まで多分馬車で30分程度だろう…。
「でも…。無駄ではありませんか?折角公爵様が御自宅に帰ってこられたのに…。」
「?…大丈夫ですよ。今回は、妻と娘の部屋もロゼリア様のご実家に御願いしてありますから。」
!!!!!!!な…ん…ですってぇえええええ!!!
「ど、どういう事っ!」
私が、ちょっと大きめな声を出したら宰相様が開けた部屋の中から、小さなかわいい女の子が飛び出して宰相様に飛び付いた。
「遅いですわ!御父様!」
「こら。ナタリー。お行儀が悪いぞ。」
宰相様、注意しながらも、嬉しそう…。
「お客様だ。ご挨拶なさい。」
宰相様がはりついていた女の子を剥がし私の前に促した。頬がほんのり赤く染まってモジモジしている。超かわいい!!
「あの…。」
言いたいけど言えない。そんな感じが見てとれる。かわいいなぁ…。怒ってた事忘れちゃう程かわいいよぅ!ぎゅってしたいけど…我慢、我慢。ていうか…絶対これ、狙ってましたよね!?宰相様!
ナタリーは、10才です。




