真面目な一族
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「結局…。セルゲード家は、断絶するしかないのですね。」
皇太子の言葉が重い。あの後、皇太子の召還により登城したセルゲード公爵夫人の尋問が行われた。夫であるセルゲード公爵に従順で、一人娘のエルナを夫と共に溺愛し、娘が願う事であれば、どんな事でも叶えようと思っていたらしい。公爵夫人の家は、伯爵家で、それなりの地位は、あったけれど、公爵に見初められ、三大貴族の公爵夫人になった事により、叶えられない希望はないと、思ったという。そんな事あるはずないのに…。
「仕方あるまい。三大貴族と言えど、罪は罪だ。長年、王家に遣えてくれているからといって、何もなかった事には出来まい。」
皇帝陛下も、悲痛な面持ちだ。でも、だからといっておきてしまった事を見てみないふりが出来るはずもない。セルゲード家は、公爵と公爵夫人は、魔力を使うことが出来ないよう装身具をつけ、城の一廓にある塔に幽閉された。執事と従者として雇われていたルーファスとニルスも魔力を使うことが出来ないよう装身具をつけたが、公爵に裏切られたのが、ショックだったのか、塔で公爵達の世話をすることを拒否した。代わりに、南の村の男達に申し訳なかったと謝り、今は、男達と一緒に城で下働きをしている。城の下働きは重労働で今まで魔力でやっていた事が出来ない事もあり、ルーファスとニルスは村の男達に色々教えてもらっているらしい。南の村の男達は、今までと大差ない労働をさせられていたが、命があるだけでも有難い事だし、今までと違い普通にご飯を食べることができるようになったので、今までよりも厚待遇だといって頭が笑っていた。寝る場所は牢屋だけど、掘っ建て小屋よりも断然いいそうだ。給金はもらえないけれど環境はいいらしい。これは、まだ少し先になってしまうけど、皇太子がマリア様と婚姻した時…若しくは、皇帝が王座を皇太子に譲り隠居し、皇太子が新しい皇帝になった時、南の村の男達とルーファス、ニルスの兄弟には、恩赦を考えているとの事だ。まだ先の話だし本人達にも言うつもりはないみたいだけど。
そして…エルナだが、この国の教会にいれられた。そこは、厳しいと有名な教会で、元、王妹が代表を勤めている。小説の中には、そこが厳しい教会という事が書かれていたが、元、王妹が代表者だとは書かれていなかった。王族が教会…司祭になると言うことは、色々あったのだと思うけど、少なくとも王家に反旗を翻すことは、ないので安心だ。
「さて…宰相…。いや、ロバート。そなたの子息であるロナウドから自らの過ちを問うてほしいと要望が出ている。」
先程までの重い口調と違い、陛下の口調は、少しだけ呆れたようなそれでも少し楽しげなものだった。
「はい。そのようですな。」
宰相様…ロナウド様にそっくりですね!ちらりと息子であるロナウド様をみて眉がよっていますよ!その癖!確実に遺伝ですね!
「畏れながら、発言許可願います。」
ロナウド様は、頭をたれたままだ。ていうか…当事者とは言え、私、なんでこの場にいるの?!マリア様でさえもいないのに!
「許す。頭をあげよ。」
「はっ…。」
顔をあげたロナウド様の表情は、すごく真剣な眼差しだった。それに対する皇帝の表情は、穏やかだった。
「私は…エルナ・セルゲードの婚約者として、彼女の気持ちをわかることができず、彼女に誤解をあたえ、結果王家にご迷惑をおかけしました。どうか…私にもなんらかの罰をお与えください。」
重いよ!すっごく重いよ!ロナウド様!責任感があるのはわかるけど…って陛下の体が奮えてる!まさか!?罪に問わないわよね!?陛下っ!?
「流石、お前の息子だな。ロバート。ククク…。頭が堅いな…。」
「…お褒めに預かり光栄です。」
って!しらっと言ったね宰相様!というか、今の一言でさらに陛下の笑いツボ押されたみたいです。大笑いしております。
やっと…暗いのを脱せれると思います。




