怒りの公爵
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バーンと何かが弾けるような大きな音が部屋中に響いた。
「ロゼリア、礼を言う。」
私の放った結界と公爵の雷がぶつかりあったのだ。部屋の中の、公爵側の雑貨が全てなぎ倒され絵には亀裂がはいり、壁までも裂いていた。
「いえ…。お怪我がなくて何よりです。」
「貴様…!なんだその魔力は!」
公爵が切れてるよ。っていうか、私の魔力を気にするより自分の立場が悪くなってるの気にしたほうがいいと思うけどな。
「セルゲード公爵。私に魔力を放ったのは、そういうこととして、捉えるぞ。」
!!!!!!!!!!
息を飲む公爵。ロナウド様が痛ましげに口を開く。
「セルゲード公爵。罪を認めて下さい。これ以上、罪を重ねるのは、どうか…。」
確か…小説の中で公爵は、ロナウド様の父がわりてきな存在だった。この世界でもきっと同じなのだろう。こんな切なそうな悲しげなロナウド様を見るのは、始めてだ。
「我がセルゲード家は、どうなる?!エルナは!!」
「私の調べでは、娼館に向かい、依頼を持ち掛けた中に女性の姿も確認出来ている。それがエルナだとすれば、どうなるか、お前ならわかるであろう。」
「その女の罪は!!?たかが平民風情がこの国の三大貴族に魔力を放ったのだ!それに侍女勤めをしているにもかかわらず、週に1度城から家に帰っているそうではないか!平民がロナウド殿の事をたぶらかし、ロナウド殿がその平民の家に寝泊まりしているそうではないか!ロナウド殿は、我がセルゲード家の長女エルナの婚約者だぞ!そんな理不尽な事が許されていいのか!」
似非笑顔だった殿下の表情に笑がなくなった。ロナウド様は、相変わらず苦しそうだ。
「今は、この者の話をしていない。お前の話をしているのだ公爵。あえていうが、ロゼリアが魔力を放ったのは、私を守るためだ。話をすり替えるでない。」
ぶつぶつと公爵が独り言を言っている。怒りなのだろう公爵の体が奮えている。また魔力が膨れ上がっている。
「公爵…。申し訳ありませんが、もう…私が貴方の義理息子になることは、出来ません。正式な婚約破棄は、後日になるでしょう…。」
私は、貴方を父と同じよう…尊敬しておりました…。
ロナウド様が小さく呟いた時、公爵がまた魔力を放ち、今度は、皇太子様がそれに対抗し、公爵を気絶させ捕らえていた。気を失った公爵をロナウド様が魔力で束縛していた。
「ルーファス、ニルス。公爵を抱え、城に同行せよ。」
冷たい皇太子の声が部屋の中に響く。
「御意…。殿下…ニルスの拘束を解いて下さい。ニルス、それでいいな。」
「はい。兄上。」
よし。といって皇太子がニルスの拘束を解く。ルーファスとニルスが気を失った公爵を抱え、馬車に向かう。途中、侍女長に事のなり行きを告げ、不在である公爵夫人にも事情を聞きたい旨、城に登城するよう、伝える書簡を皇太子がしたためていた。
城の近衛が皇太子と公爵達が同じ馬車に乗ることを危険なのでやめてほしいと願っていたけど、馬車は四人乗りなうえ、近衛では万が一、公爵が目覚めた場合、抑えるのは無理と言う事で、結局は皇太子が公爵達と一緒に馬車に乗ることになった。そして…私はどうしたかと言えば…。
「大丈夫ですか?」
「へっ、は、はい。」
ロナウド様と騎乗している。っていうか!耳元で話さないでっ!!うーーーっ!顔が熱いよぅ。私、自分だけで馬乗れるのにぃ!あの馬鹿《皇太子》が、私を守れだなんてロナウド様に言うから!ていうか、人力車な馬車がないって何よ!全部キラキラ馬車って!まったく…ひどい趣味だな公爵家…。こんなんじゃ、エルナが我が儘に育つのわかるよ…。同情しちゃう位に馬鹿な家だ。
「では、戻りましょう。」
「はい。お願いします。」
私とロナウド様が騎乗した馬が馬車の後に続く。手綱を持つロナウド様の手は、もうしっかりしていた。そして、表情も、穏やかだった。
暗いのを脱せれるといいな




