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ちょっと、まって

興味をもっていただき、ありがとうございます。

世の中、普通の人生を過ごす人が大半であって、私も平凡が一番だと常日頃から思っている。そりゃ、ちいさい頃は白馬に乗った王子様が私のところへ迎えにくるとか、大金持ちになって両親を楽にさせてあげるとか意味もない妄想をはたらかせていたけれど、夢は夢であって、現実ではない。しがない食堂兼宿屋の長女として生まれただけのしがない人間だ。なのに、これはどう言うことなのだろう。ある意味私は、私が恐ろしかった。それはほんの少し前、なじみのお客さん同士が小競り合いをはじめ、止めようと私が父と一緒にそこにいき、ひとりのもっていた飲み物が顔にバシャーンとかかったとき、私の脳裏に場面が何度もかわるコマ送り状態で映像が流込んできた。そもそも、コマ送りとか映像とかそんな言葉はこの世界にない。でも、私はその瞬間思い出した。この世界は、私が知っている世界だと。映像で見たことのある世界だと。今、流行りの転生ってやつか!と同じに自分がどういう存在であるかも思い出していた。

「大丈夫かい?ローズ!」

「だ…いじょうぶよ。お父さん。」

いや、ぜんぜん大丈夫ではない。

「ごめんよ!ローズちゃん!俺そんなつもりじゃ!」

「ごめん。俺たちのせいだな。」

さっきまで小競り合いをしていた馴染みのお客に謝られたけれど、この小競り合いを私が止めなければ、今のこの私の常態になることがなかったわけで…ある意味

「グッジョブ!」

「「「え。」」」

父と小競り合いをしていた客の声が重なる。あ、この世界には、グッジョブなんてそんな単語はない。

「ぐしゅん!」

「いかん!風邪をひいたら大変だ!早くお風呂で洗い流してきなさい!」

「はひ。そうします。」

やれやれ、どうやら誤魔化せたようだ…。お店の奥に引っ込んで自室に迎い着替えやらをもって浴室で浴びた飲み物を落とす。鏡にうつるのは、銀髪に近い髪の色。瞳は碧。食堂兼、宿屋の長女。まぎれもなく、私が地球という星の日本という国で発売された小説の中の登場人物。それは、アニメ化も映画化もされた『聖女と帝国の皇帝』のローズ事、ロゼリア・フォルコットの姿だ。簡単に物語を説明しなければ、私がどうしてほんの少し前、動揺したのかを理解できないだろうから、あえて説明しよう!…この世界…聖女と帝国の皇帝世界では王族、貴族は、魔力がある。希に、平民でも魔力保持者がいるが、ローズはそれとは違う。今でこそ、父は食堂兼宿屋の主人だけど元をただせば帝国にのみ込まれた国の皇太子だったのだ。父はその事をいまだに私に秘密にしている…。それがわかるのが、後2日後…私が17才になるとき強制的に帝国の王へ謁見する時だ。父は、国家転覆を企んでいる訳ではない。私同様、平凡に暮らしたいだけなのだ。だから、王への謁見もそしらぬふりをしようとしているのだ。だが…流石に帝国だけあって、強制連行されることを私は知っている。その先何が起こるかもだ。何が起こるかって!?とてもじゃないけど、平凡ではいられない人生だ!私が後宮という巣窟に強制収容され、元皇太子の娘という立場もあり、正妃に一番近い側室という、いらない設定がある。さらに言えば、私と同じ日に王に謁見した平民の娘が、魔力持ちで、その力は、国にとって重要なもので、その場に居合わせた皇太子が、ヒトメボレなんてするもんだから、その平民の娘も後宮に入ることになっている。ここまで、話せばもう皆様わかっていることでしょう。ええ、もちろん私は、皇太子に気に入られていません!それはいいんだよ!気に入らないなら側室なんかご遠慮したいよ!いかん…興奮して話がずれた。ええ、私は完全なる悪役です。同じ日に後宮にはいる女の子がヒロインだよっ!陰謀渦巻く後宮で、ヒロインが成長していく話だよっ!

決めた!この世界が、例えあの小説の世界だろうと、なんだろうと!

私は、絶対フラグなんか立てない!絶対!絶対!平凡に生きてやる!



楽しんでいただけたでしょうか…?

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