第1章-1
雲一つない澄み切った青い空
小鳥の囀りが響き渡る程の長閑な地に一つの村があった
エイル村…人口約100人程の小さな村だ
特にこれといった特産物もなにもない平凡な村…
物語はそんな村に住む一人の少年から始まる…
「ちょっと、ロイ!いつまで寝てるの!?」
あぁ…またか…今日くらいゆっくり寝かせろよ…
毎朝毎朝…本当ご苦労なこった…
青髪の短髪のようなそうでもないような髪の長さ…
歳は18くらいだろうか…
ロイと呼ばれた少年は体を丸め布団の中に潜り込む
そんなロイを見て溜息を吐きつつ布団に手をかけ引きはがそうとする少女
茶色く腰まで伸びたサラっとした髪
歳はロイと同じくらいだろう…
少女の名前はセラ
ロイとは家が隣同士の言わば幼馴染というものである
「もう!何時だと思ってるの!?お昼になっちゃうよ?いい加減起きなさいっての!」
布団を引きはがそうとするセラに対しロイは必至に抵抗する
「別に今日くらいいいじゃねぇかよ!たまにはゆっくり寝かせろ!!」
ロイは力いっぱい布団を引き戻そうとした瞬間だった
「キャッ!!」
ちょうどセラが力を抜いた瞬間にロイが力いっぱい布団を引き戻したため
セラの体はそのまま布団ごとロイに引き寄せられてしまった
「・・・・・」
「・・・・・」
互いの体は密着した状態
顔はお互い目と鼻の先にあり、あまりの気恥ずかしさに黙ってしまう
「お…おい…ちょっと離れてくれよ…」
「あ…うん…ごめん…」
セラは顔を赤らめ俯きながら起き上がり後ろへと数歩下がる
「…あ~ぁ、なんか目が覚めちまった…」
ロイは寝癖のついた髪をわしゃわしゃと掻き毟りながら
気怠そうに布団をどかし起き上がる
「全く…素直にそうやってすぐに起きればよかったのに…」
セラは相変わらず顔を赤らめ俯いたままだ
「ったく、いつまで恥ずかしがってるんだよ。そんな恥ずかしがられたらこっちまで恥ずかしいっつの」
「う…うん…ごめん…」
ごめんと謝りつつも未だに俯いたままのセラ
そんな様子を見てロイはため息をはく
「はぁ…まぁいいや。とにかく部屋出てってくれよ…」
ロイは手をちょいちょいっと動かしセラに部屋から出ていくよう言う
「やだ!私が出て行ったらどうせまた寝るつもりなんでしょ!!」
「おいおい…まさかセラは俺の生着替えでもみたいってのか?」
その言葉を聞いた瞬間、赤らめた顔が一瞬にして真っ赤になる
「な、ななな、そんなわけないでしょ!ばかっ!!」
セラはロイにそう言い残し、顔を真っ赤にして勢いよく部屋から飛び出していった
そんな光景を目にしたロイはクスリと笑いながら服を脱ぎ着替え始めた
「ねぇ~、本当にこっちでいいのぉ?」
透き通る程美しい銀髪のミディアムヘアーの少女が一人、木々が鬱蒼と生い茂る森の中を歩く
歳はどのくらいだろうか…一見ロイと同じくらいに見えるが
よく見るとどこか幼さが残る顔立ち…
15~18.19くらいだろう
「………本当かなぁ…なんにもなさそうだよこの先も…」
なにやら独り言をつぶやく少女…
「…それ私は感じないから不安なんだけど…」
まるで誰かと話しているかのような感じである
そう、見えない誰かと…
「あぁ~!もう疲れたぁ~…休憩する~…」
少女は辺りを見渡し腰が掛けれそうなものを探す
「う~ん………あっ、あったあった!」
それはなにかしらの拍子で倒れ、朽ちた木であった
少女はその木に腰を下ろす
「ふぅ~…ねぇ、あとどのくらいかかりそう?」
「…………そっかぁ、まだそんなにかかりそうなんだぁ…」
一人で会話をし溜息を吐きながら空を見上げる
「……でも…絶対に見つけなきゃね…星の巫女の…守護者を…」
「さぁてっとぉ~…」
ロイは服を着替え家を出て村をのんびりと散歩をしていた
「よぉボウズ、ずいぶん今日は起きるのおせぇじゃねぇか」
「あらロイ、おはよう…って言ってももうお昼だけどねぇ」
「ロイ兄ちゃんこんにちわ!」
「くそぉ、なんでお前はいつもいつもセラちゃんに起こされてるんだよ…羨ましいだろこの野郎!」
会う人会う人、ロイに挨拶をしてくる
中には…まぁそうでない者もいるが…
ロイは一部例外を除いて明るい笑顔で挨拶を返す
この流れがいつもの事だった
ロイの両親…いや、ロイとセラの両親は十年前に不慮の事故により他界している
そのため、村の人々は常に二人に気を配って来た…
少しでも寂しさ、悲しさを和らげようと…
そのおかげで今ではこうやって皆会えば明るく挨拶をするのが定着しているのだ
「…よし、これで一通り挨拶はし終わったかな」
狭い村を一通り回り、大体の人に挨拶をして回る
これがロイの日課の一つだった
「う~ん…この後どうすっかなぁ…特にやる事ないんだよなぁ」
普段であれば挨拶を回った後、食糧を確保するために狩りに出ていったりするのだが
今はある程度の食糧を確保してあるため、狩りをしないで済む
無駄な殺生はしない…必要最低限確保できればそれで狩りは終わり…
それがロイの考えなのである
「…ちょっと村の外でも散歩するかぁ」
ロイはゆっくりとした歩調で村を出て行き
エイル村より南に位置する、村人達が主に狩りを行う森へと向かっていき
大きく見上げないと視界に収まらない程大きな木々で
鬱蒼とした森へと入っていく
「ちょっと薄暗くて気味悪いけど…奥に行くとすげー綺麗な場所あるんだよなぁ」
そこは森の奥へ奥へと進んだところにあり
恐らくロイ以外は知らない、ロイにとって特別な場所である
「ふふ~ん♪ふ~ん♪」
ロイは鼻歌を歌いながら草木を掻き分けながら
獣道を歩いていく
森林に入ってどのくらい歩いたのだろうか
「…ふぅ~」
ロイの額に汗が少しばかりだが見え始めてきた
「あの場所すっげぇいいんだけど…この距離がネックなんだよなぁ」
そんな事を呟きつつもロイは歩き続ける
すると大きく開けた広場みたいな場所に出た
「お?ここって事はもう少しだな」
そこはロイにとって見慣れた場所
そしてロイのとっておきの場所まであと少しの目印の場所でもあった
しかし、いつもとなにかがその場所はおかしかった
あちらこちらに地面を抉ったような跡がある
つい最近来た時にはそんなのはなかった
ロイの眉間にしわが寄る
「…なんだこれ」
地面を抉ったような跡に近づいた…
その瞬間
「助けて!!!」
奥の茂みの中から銀髪の少女が突如飛び出してきた
「!!?なんだ!?」
突然の出来事にロイは唖然とするも
少女はロイに向かって必死に走ってくる
そしてその少女を追うように、茂みの中から
熊のような二足歩行の大きな体、そして太く鋭い爪を持った
モンスターが飛び出してきた
それを見たロイは一瞬で状況を把握した
「そういう事かよ!!」
ロイは腰にぶら下げていた護身用の剣を手に取り少女に向かっていく
「危ないから下がってろ!」
ロイは少女を自分より後ろに向かわせてモンスターと対峙する




