天才達の鬼ごっこ
注意事項1
起承転結はありません。
短編詐欺に思われたら申し訳御座いません。
注意事項2
ラブコメだぁ〜!! いぇーい。
端正な顔した青年が、優等生として知られる青年が、汗をダラダラ流しながら、息をゼェゼェ言わせながら、話し掛けて来た。
「なぁ今此処に、髪の長い、身軽な女子生徒が来なかったか?」
「さぁ、知らないな」
僕は夢見る瞳でそう返した。すると青年は形の良い眉根を歪め、『むっ』と口を尖らせた。当てが外れた事に対する不快感が、全面に出ていた。
「分かった。じゃあ、見掛けたら俺に声を掛けてくれ」
そう言ってバタバタと階段を駆け上がって行く。足音が聞こえなくなったところで、声を掛ける。
「もう大丈夫だよ。お嬢さん」
「助かりました。味方が近くに居て下さって、とても運が良い」
窓が開き、現れたのは長髪の乙女。ひっそりと大人しげな雰囲気は、図書館の片隅で読書を行う令嬢の様だった。
彼女はパンパンと衣類を叩くと、身軽な動きで窓から廊下に身を動かす。其れは猫のような靱やかさだった。先程と同様、パルクールを駆使して、校舎を自在に逃げ回っていたのだろう。
「何処から聞かれたのか分かりませんが、どうにも私に興味を持たれてしまった様で。お断りを申し上げたのですが、諦めて戴けず、困ってしまいました」
物腰は酷く穏やかで、人当たりも良い。けれども認めた相手以外、一線を引き、中に入らせてくれない。其れは例え、何でも持ってる人だったとしても。
僕はクスクスと笑いながら、彼女の方を見る。
「君に教えなかったら、こうも追いかけ回される事もなかったろうに」
「けれども其れを逃亡の道具として使っている。皮肉な物で御座います」
そう言って、深く頭を垂れると、彼女は背を見せて歩き出した。
生まれた時から何でも持っている人と言うのは、達成感を得られる事が少なく、退屈であるらしい。それ故に、手の届かない物をチラつかせると、相応に強い興味を持つ。
あの時靡いて居れば、こうも追い掛け回される事も無かっただろうか? けれどもまぁ、本気を出して逃げ回るのも、それなりに楽しかった。
「見つけたぞ!! もう逃げ場はないからな!!」
「おやまぁ。其れは其れは」
可愛いお人。此処は確かに三階で、私の後ろは行き止まり。けれども逆境をチラつかされて、燃えない猛者は居ない。貴方の様にね?
一瞬の隙を着いて窓を開け放つと、そのまま窓に足掛けて、腕を伸ばした大木に飛び乗った。
「私を捕まえられない方に、生憎興味は持ちません故」
其れはある意味、負け惜しみ。既に貴方に興味を持ってしまった私の。
天才にとって、達成感を得られる事の方が少なく、退屈である。それ故に手の届かない物をチラつかせると、強い執着心が芽生える。
「精々、退屈させぬよう。宜しくお願い申し上げる」
愛想は良いんだけど、しれっと暴言吐くキャラが好きなんですよ。
※あ、ご存知ですかね? お兄さんとかその筆頭。
嫌悪感剥き出しだと、毒が強過ぎる。
こう……私と皆様に反感買いそうで……。
『何で此奴モテてんだ? 愛想ねーぞ』とさせない為です。
きっかけとしては、
野球部がホームランした時、木に引っかかったボールを身軽さで取ったところから。
『困って居そうだったから、助けてあげよう』
というお節介です。
まー其れを彼に見つかって、『何だあの技!!』と持ち掛けられた事が始まり。
彼の事は万能の天才として知っていたし、彼女も退屈していたので、『ちょっと引っ掛けてやろ〜』という気持ちを元に、『貴方に興味はありません故』と笑顔で切り返しました。
『こうすれば貴方、私に興味持つでしょう?』
という暇つぶし精神です。
『どうせ五分で飽きんだろうな〜』とか思っていたら、思っていたら以上にしぶとく追い掛け回されて、『テメーおもしれーなぁ!!』と相応に夢中になっていく話でした。
何でも出来る彼の、逃げに関して言えば天才的な彼女の、暇つぶし。
でも暇つぶしにしておくには惜しい程、楽しくなってしまった話。
まだまだ焚きつけて欲しいなー!!