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たまごを割るのにパスワードが必要になった

作者: 東束 末木

西暦2024年、世界中の鶏が一斉に進化した。

何と、卵を割る為にパスワードが必要となったのである。

人類の食卓を守る為世界中の科学者や数学者それにハッカー達が集結、そして1か月後、とうとう卵のパスワードを特定する事ができる「解析マシン」を作り上げる事に成功した!

人類の勝利、誰もがそう思った。だがしかし、だがしかしである。

このマシンで解析できるパスワードは全体の9割。残り1割の卵のパスワードは解析できないのだ!

このままでは1割の卵がフードロスとなってしまう。何とかせねば。

そしてその皺寄せが消費者に行くのが世の常……


「いらっしゃいませ。法律でどの卵も全て1パック10個中1個がパスワード不明となっていますのでご了承――」

「ああ、分かってるよ。それでも家族がアタシの作る卵かけご飯を待ってるんだ」

そう、フードロスを防ぐ為、今日も世界中の主婦達が戦っているのだ。

「0000、違う、0001、違う、0002、違う・・・」

スーパーで卵のパックを買った主婦は家に帰ると、パスワードが分かっている卵を卵ケースにしまい、残りひとつのパスワードを探し始めた。

卵に向かって4桁の数字からなるパスワードを唱え、カップの縁を卵で叩く。パスワードが合致すれば卵にひびが入るのだ。

そして――

「5963」

コンコンっ

「やった!」

開始から3時間後ついに卵が割れ、そしてこの家族は無事に今夜の卵かけご飯を食べる事が出来た。主婦の勝利である。


一方こちらは別の若夫婦。

ぴよぴよぴよぴよ……

ぴよぴよぴよぴよ……

ぴよぴよぴよぴよ……

消費期限内にパスワードを解除出来なかった卵から一斉にヒヨコが孵り、テーブルの上をよちよちと歩き出した。

「おまっ、だからあれほど特売の卵はやめろって……」

「だって……だって安かったんだもんっ!!」

「だもん、って……3パックも買うなよ……」

パスワード不明の卵は消費期限が来ると必ず孵ってしまう。

そして孵ってしまったヒヨコは必ずペットとして飼わなければならないと法律で定められている。

「3羽も飼うのかよ……」

こうして2024年、世界中で最も多く飼われるペットは犬でも猫でもなく鶏となったのである。

まさに鶏大勝利!


買った卵は出来るだけ早く食べましょう。

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