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「いってきまーす」
学校への登校途中。
信号をやけにゆっくりとおばあさんがカートを押しながら渡っていた。
花が渡り終えた後、トラックが猛スピードで曲がった。
ブッブー!!
あ!おばあさんがまだ渡りきっていない!
花は振り向いて叫んだ。
「危ない!」
その時、花の世界が黄土色に変じた。
全ての色が統一される。
「時間を止めたポポ! 十秒しかもたないから急ぐポポ!」
「うん!」
「呪文を唱えるポポ!」
「んむにゅんむにゅ」
花はゴリラになって胸を叩く。
「ウホウホ」
急いでおばあさんを担ぎ上げて横断歩道をもと来た方へ戻る。
時が動き出す。
おばあさんの目の前にはゴリラがいた。
「ゴリラじゃ……」
花は一目散に逃げた。
「もー、遅刻しちゃうよー」
花は、学校の裏側の道を急いでいる。
「任せるポポッ」
「その壁に突っ込むポポッ」
「え! どういうことなの」
「いいから早くポポッ」