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「ただいまー」
花は赤いランドセルを置いて手を洗った後、自分の部屋でごろごろしていた。
水晶を眺める。
一体なんだったんだろう。
水晶からでてきた者はすぐに水晶に吸い込まれて、それからうんともすんとも言わない。 アルデバランが部屋に入ってきた。
白いもふもふのまん丸にカットされた卵みたいなポメラニアンだ。
「アルデバラン、おいで」
と言って、アルデバランを撫でてやっているとキラッと水晶が光った。
いつの間にか私は指人形くらいの大きさになっている。
「ワン、ワン!」
口をあけて花は突っ立ていた。
「わたし、小さくなっちゃった……」
おとぎ話の巨人の国に行ったらこんなかんじなのだろうか。
ベッドの上から見る景色は全てが巨大だった。
本棚にある本は大都会に林立する高層ビル。
巨大な枕、巨大な勉強机、巨大なクッション、巨大なランドセル、巨大なぬいぐるみ、巨大な服、巨大な、巨大な、巨大な、巨大な、巨大な、巨大な、巨大な、巨大な、巨大な、巨大な、巨大な、巨大な、巨大な、巨大な、巨大な、巨大な、巨大な、巨大な、巨、巨、
巨、巨、巨、巨、巨、巨、巨、巨、巨、巨、巨、巨、巨、巨、巨、巨大。
よろよろよろ。
「うわああー」
花はベッドから落ちた。
こんな高さから落ちたらしんじゃうよお!
ヒューン!
「いったああ」
なんともなかった。
「あれ? だいじょうぶだった」
アルデバランが近くによってくる。
大きな瞳が花を見つめる。