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トンボになっていた。
目の前の人間は指をくるくると回して、わたしの目をまわそうとしている。
捕まると羽を左右に引っ張られた。
「やったあ当たりだ!」
なんのこと?
雨が降ってきた、いや、違う。
人間がわたしたちの巣にじょうろを使って水を入れているのだ。
わたしは蟻になっていた。
そんなことをして何が楽しいんだろう?
ひどいと思わないの?
わたしたちをなんだと思っているの?
やめて。
やめて。
なんて残酷なの。
あれ、またここに来ている。
わたしは闇を漂っていた。
膝を抱えて、くるくると回っていた。
は……な。
はな……
花……
誰の声だろうか。
知っている。
わたしはこの声を耳にしたことがある。
キョロキョロとまわりを見回す。
「だれ?」




