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「萌!」
萌に駆け寄ろうとした信也は立ち止まった。
寝ているはずの萌が立ち上がったのだ。
ただ様子がおかしい。
「萌、どうした?」
「……て」
ぼそりと萌は何かを口にしたようだった。
グラグラと地震がおこる。
「信也!……何かくるぞ!」
ヘレルは舞と熊谷を抱えて飛んだ。
(萌がなにかを召喚したのか?)
地面が割れる。
(くそ!)
信也は風を巻き上げて自分の体を飛ばし地面を離れた。
地中から超巨大なカブトムシが顔をだした。
「萌!!」
力の限り走って心臓が張り裂けそうだった。
動けない怪物たちの横を通り過ぎていく。
もう少し。
後少し
もう男の目前。
私が助けるんだ。
勇氣をもって立ち向かうんだ。
たとえ、魔法が使えなくたってやれることはあるんだ。
「なんで邪魔をするんだよお!」
男は叫びながら水晶を投げ込もうとする。
花が男の背中に飛びついた。




