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萌「あなた、魔法使いね!」
「体操のお兄さんは魔法使いでしたあ」
両手を顔の横、あごのあたりまでもってきて、握ったこぶしを広げ、目と口を大きく開けてくる。
萌「子供だからってからかわないで!」
(虫さんお願い)
萌が念じると、どこからともなく虫の大群が現れて男に向かった。
「うっわー、やられるー。なんちゃって」
男が指を鳴らすと、男の影から見たこともない獣がでてきて、口から炎を吐き出して虫たちを焼き尽くし灰と変えた。
萌「ああぁ」
萌はその場にへたりこむ。
「そんな……」
「ラジオ体操だいいちー」
と言って、男は背筋を伸ばし、腕をピンと広げると地中にずぶずぶと飲み込まれていく。
そして、萌の目の前に現れる。
「バァ」
「ひぃぃ」
萌と花はあとじさる。
「そおおれええい」
萌は男の魔法の力で宙に浮かび上がり、洗濯機に入っている衣類のように回転しだした。
「キャアアアアアアア!」
「アッハハハハハハハハ! 楽しいかな?楽しいかな?」
「楽しくない!」
萌の体ははじき出されたみたいに凄い速さで飛ばされた。
萌は入り口の扉に激突した。
建物の中に鈍い音が響く。
「萌ちゃん!」
地面に倒れ伏した萌はピクリとも動かない。
男はひねり運動をしながら花に話しかけてきた。




