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「萌ちゃん!」
萌は空中から花の近くにおりた。
「どうしたの?」
「ポポンが何か怖いものが来るって」
「怖いもの?」
ポポンがはす向こうの物陰を見て震えだす。
「あそこポポ!」
ポポンの声は怯えていた。
少女二人はパッと振り向く。
ポポンは水晶の中に戻った。
そこからぬっと人影が現れた。
「こんにちはお嬢さん方」
見知らぬ男が歩み寄ってくる。
萌「あなた、だれ」
「とおりすがりの体操のお兄さんだよ」
明るい声で話しかけてくる。
萌「ちょっと近づいてこないでよ!」
その男は萌の言葉を無視して近づく。
「体操のお兄さんは嫌いかな?」
花は萌の袖を掴んだ。
「さあ、一緒に屈伸をしよう!」
花「萌ちゃん、この人あたまおかしいよ」
萌「うん」
萌は花の手を取って後ろを向いて駆けだした。
「こらこら、逃げない逃げない、体操しようよ」
男が腕をブンッと振るった。
廃工場の開いていた入り口や窓が全てバタンと一斉に閉じられた。
光が入って明るかったはずの建物内は、光のほとんどささない暗がりの洞穴と化した。
二人はつんのめる。
男の方を見た。




