12
(あー早く帰りたーい)
放課後に残されていた。花は昨日のできごとで頭がいっぱいになって宿題をやってくるのを忘れていたのであった。
もう教室には花と原田先生だけ。
紙に鉛筆で文字を書く音と廊下の方から小さく生徒の声が聞こえるだけだった。
やっと宿題を終わらせた花は息をはいて席を立ち上がる。
先生に宿題を提出し終えて、話しかけられた。
「花さん、その首から下げてるの綺麗ね、見せてくれないかしら」
「いいですよ」
先生が手を伸ばす。口の端が上がる。
視界が黄土色に変ずる。
「離れるポポ!」
「え、どうして?」
「何か感じるポポ!」
花は、後ずさりして少し離れる。
時が動き出す。
「あれ?」
目の前に花がいなくなってびっくりした顔の先生。
「ふんばば!」
先生はドーベルマンになっていた。
「え……なんで……」
ドーベルマンは口から涎をたらして唸り声をあげる。
「花!変身してにげるポポ!」
花は後ろに走り出し教室の戸をガラと開け、アルデバランになって走り出す。
ドーベルマンが吠えながら追う。
廊下を二頭の犬が駆け回る。
「犬!?」
「なんだなんだ!」
残っていた生徒たちがいる。
ポメラニアンは必死に逃げるが、じりじりとその差を詰められていく。




