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精霊が閉じ込められた水晶
服は雨で濡れて肌に張り付き、足下に水たまりができている。
体がつめたく冷えていく。
涙が止まらなかった。
君にもう会えない現実を受け入れたくなかった。
ずっと一緒だと思っていた。
僕の部屋は君の思い出で溢れていて、君を感じてまた、涙がこぼれ落ちる。
「ああぁ、嫌だああぁ、いやだあぁ」
赤くなった目から想いが流れる。
いつの間にか見知らぬ人が目の前にいた。
そっと僕の頬に触れる。
「忘れさせてあげるから」
その人は綺麗に微笑みかけきてた。
「君は……」
曇天からゴロリと雷が落ちた