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Moon-Drop  作者: 水瀬雫
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第三話 ミライ

注意をいただけたので気にして書いてみました。

なので、前の文章と比べて「書き方が変わってる」というツッコミはやめてください。

自分で自覚し始めてる時点でもう遅い。

完全にまた……


「ん? 俺、何かヘン?」


こんなやつにハマってる。


今は放課後。約束した通り、学校を案内していく。

終始笑顔なあいつ。んで、いつもの如く面倒くさそうににらみを利かせる私。

まぁ、あいつは気にしてないんだろうけど。


「なぁ、旧校舎の方は? 行かねぇの?」


こいつは小学生か? って思うくらいこんなことばっかり。

次はどこがいいだの、ここは行かないのだの。


「行かない。多分今、入れないし」


旧校舎は今、耐震工事中。ぶっちゃけると、立て直し中。

要は旧校舎じゃなくて、新校舎になるわけだ。


「そか。じゃあ、終わり?」


物足りないような表情のあいつ。十分回ったと思うんだけど。

もう外は薄暗いし、廊下とかにももうほとんど人居ないし。


「うん。じゃあ、帰るから」

「まって」


急に腕をつかまれる。少なくても惹かれつつある男子につかまれたわけだ。

勢いでぶっきらぼうな言葉を投げる。


「何? 早く帰りたいんだけど」

「そっか。うん。ごめん」


いきなり悲しそうな。さびしそうな顔をするあいつ。

いくら私でも、放っておけない。


「なんか話しあったんじゃないの? 引き止めておいてごめんで帰すって、気になって帰れないでしょ?」


少し恥ずかしそうに。でもうれしそうに口をひらく。


「叶は俺のこと嫌いなの?」

「ぇ……」


言葉を失った。

どちらかといえば好きなのに。そんな風にとられるようなことをしていたのかと思うと、すごく悔しくて。

溜息のようにあいつが言葉をこぼす。


「だよね……」


そう言ってまた話し始める。


「でも、俺は好きだよ。叶が」


夢だと思った。あいつが私なんかに告白なんてするはずないと。

ほっぺをつねってみる。


「痛っ……」


一瞬きょとんとしたあいつ。でもすぐに理解したように爆笑しはじめた。


「何で笑うのよ! 私は嫌いなわけじゃないけど……」


言葉を詰まらせた私の、つねったあとの残るほっぺに不思議な感触。

目の前にいたはずのあいつが見えなくなっていて。

笑いながら一言、


「叶? よろしくね?」


こういったことに免疫のない私。おきまりのように真っ赤になって叫ぶ


「馬鹿颯っ! 帰るっ」


少し歩くと、周りが静かになる。

ここまでくると少しは冷静に考えられるようになってきていた。


「明日からどんな顔して学校行けばいいのよ……」


こうなってくると自分の性格をとことん恨む。

ひねくれててわがままで、素直じゃないし。おまけに可愛くもないし。

本当にさっきの言葉がリピートすると共に、夢ではないかと疑ってしまう。

頭の中で、爆発しそうなほど悩んでいるうちに家に着いた。


「ただいま」


いちおう声をかける。返事ははじめから期待してはいないから、なくても気にならない。


「おねえ、お帰りっ」


妹の楓が出てきて声をかけてくれる。言葉の割に顔が笑っていない。

いつものことだからおおよその見当はつくけど、一応聞いてみる。


「楓、ただいま。お母さんたちは?」


案の定、黙り込んでしまった。やっぱりかとため息をこぼし、リビングへ向かう。

両親は魔法を使えてしまう私を嫌っている。いや、ちがうな。恐れている。というべきかも。


「ただいま。お母さん、お父さん」


一瞬間ができる。たかが一瞬の出来事でも、息がつまる。


「お父さんたち、離婚するから。どっちに行くのか決めなさい」


いきなりそんなことを言い出す。両方が両方で私を押しつけ合ったんだろう。


「私が出て行けば離婚しなくて済む? あなたたちと私は離婚で一応解決しても、楓はどうなるの? 関係のない楓まで巻き添え?」


「それは……」


言葉を濁らせる。


「そんなのとっくにわかっていたわ。お父さん、お母さん。今までお世話になりました。楓をよろしくね?」


生活は……と独り言のように言うお母さんに向けて一言。


「もう高校生だよ。バイトもしてる。しかも私は特待で入ってるから学費は掛からないし。なんとかなるよ」


ほっとした顔を一瞬みせた両親。ふと悲しそうな表情を作り、話し始める。


「お前が決めたんなら……」


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