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ある春の日

マグノリアが第二子妊娠中のお話です。

短いです。


柔らかな光が差し込む部屋の中で、椅子にゆったりと座った妻が絵本を読み、小さな息子がぴったりと寄り添って母が読むそれを楽しそうに聞いている。

読み終えた妻は大きくなったお腹を優しく撫でて、息子はその手に小さな手を添えてにこっと笑う。


天使だ。天使がいる。

いや、息子は天使だが、奥さんは女神だ。

窓からの光がより一層2人を輝かせている。

神々しい。

あれ?ここ教会?天国?

宗教画以上に荘厳華麗で尊すぎる。

誰か画家を呼んできて。

うちの奥さんと我が子の素晴らしさは絵にも留められないだろうが、2割ぐらいなら残せるんじゃないだろうか。

できた絵は玄関ホールに飾ろう。それと応接室と、小さいものも描かせて執務室にも飾ろう。


「とうさまってば!聞いてるの?」


子ども特有の高い声に我に返った。

気がつけばウィルゼンが僕の手を取って話しかけていた。

「ごめん、ごめん」と謝りながらその体を抱き上げると、頬にちゅっとキスをして「おかえりなさい」と笑ってくれる。


天使すぎない?

もう可愛いを超えてるんだけど。

うちの子は本当に世界一可愛い。

可愛いの最上級な言葉ってないの?まぁそれすらも突破しちゃうほどに可愛いけどね。


「お帰りなさいませ。何か考え事でしたの?」

「いいや。マグノリアとウィルゼンが神々しくて見惚れてた」

「もう。またそんな事ばかり言って」


本当の事だし。

ウィルゼンが生まれて、また新しい命を宿したマグノリアは本当に綺麗だと思う。

あー、幸せすぎる。


「あ、そうだ。ウィルゼン。キュイが子どもを連れて来てくれたよ。会いに行くかい?」


問いかけると目をキラキラさせながら「行きます!やったぁ!」と跳ね回っている。

いつも大人しいウィルゼンだけど、ドラゴンに関する事には活発になる。よっぽど好きなんだろうなぁ。

たまに遊びに来るキュイが大好きで堪らないって表情されると、嬉しいんだけど、ちょっと寂しい。


「とうさま、はやくはやく」


手を引っ張る小さな手をしっかりと握りしめて、反対の手で落ちかけたマグノリアの肩掛けを元に戻す。


「庭に行ってくるけど、マグノリアは座って待っててね」

「まぁ。私は除け者ですの?」

「外が冷えてきたから、僕が出したくないの。大事な君の大事な時期だから暖かい場所にいて」

「もぅ。外が寒いのなら2人とも長居はしないでくださいませね」


心配してくれるマグノリアの両頬にキスを送り、急かすウィルゼンと共に庭へと歩き出す。


春とはいえ、まだまだ肌寒い日がある。

万が一でもマグノリアが風邪でもひいたらと思うと心配になるので、是非とも暖かい場所にいて欲しい。


そう言えば、モスコ領の花もそろそろ満開だろうか。

満開の花も、散り際も、散った花びらで染まった湖面もとても美しく、初めてマグノリアを連れて行った時は感激された。

それ以降、毎年の恒例行事のように出かけていたが、今年は無理だな。

その変わり、来年からは賑やかに見る事ができるだろう。

今からとても楽しみだ。


せめて、花を模したお菓子を取り寄せてみんなで食べようかな。

それも楽しみだね。


今年は花見も自粛です。そろそろ散っちゃいそうだけど、ゆっくり見てられないですよね。


若い人は「若いから大丈夫」と思ってる人も多いようですが、確実な治療方法がない病気にかかっても平気ですか?と問いたい。怖くない?

コロナがどういう影響を及ぼして、今どんな状態なのかちゃんと考えて欲しいです。

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