18才のスタート
2079年 6月6日
俺の誕生日だ。
そう、俺、レワン(名字はまだない)の18才の誕生日だ。
18才の誕生日。これはいままでの誕生日とはひと味違う。
何が違うのかというと、18才の誕生日は俺の人生が掛かっているのだ。
まず、名字が決まる。
そして、俺の、職業が決まる。
職業というのは、この世界でとても重要なものなのだ。
まぁ、その話は後だ。
とにかく俺は楽しみで仕方なかった。
職業を決めるために、俺は、町の1番奥にある、教会へと足を進めていた。
教会への足取りは期待でとても軽かった。
教会は多くの人で溢れていた。この中にも何人か18才の誕生日を迎える人がいるのだろう。教会の中でも外でもとても賑わっていた。
俺は教会の中に入り、すぐに受け付けに行った。
受け付けで、昨日届いた『職業選定願』と『特別身分証明書』を提示した。
「レワン様ですね。お誕生日おめでとうございます。確かに確認いたしました。係りの者をまわしますので、少々お待ちください。」
丁寧な対応に礼をしつつ、イスに腰を下ろした。
待っていた時間は5分ぐらいだったが、その間にも何人か俺と同じ誕生日の人が受け付けをしているのが目にはいった。
同じ誕生日の人多くないか?と思うかもしれないが、これも後で説明しよう。
そんなこんなで5分ほど。係りの人の誘導で教会の奥へと足を進めた。
教会の奥は今まで一度も入った事が無かったため、とても新鮮な場所だった。
教会の奥には、様々な機械が並んでおり、俺と同年代ぐらいの人が、機械を使っている。恐らく職業などを決めているのだろう。
俺もすぐに職業を決めるのかと思ったのだが、そうではなく、小さな部屋に入ることになった。
そこまで着くと、今まで無言だった係りの人がようやく口を開いた。
「まずはここで簡単な説明をさせていただきます。」
何が始まるのかと思っていたのだが、そういうことか。
「改めて、レワン様。お誕生日おめでとうございます。」
係りの人は、にこっと笑顔を作った。うん、かわいい。
「レワン様にはこれから、職業を決めてもらいます。ですが、その前に必ず説明を行うようにと定められておりますので、ご説明させていただきます。」
そう言って係りの人は、かなり厚い本を開いた。
「まずは、この『誕生日システム』についてです。誕生日というのは本来生まれてきた日付を指しますが、『誕生日システム』では本人が生まれてきた日ではなく、くじ引きで誕生日を決めます。そして、レワン様は6月6日が誕生日として『設定』された訳です。」
その通りだ。本来の誕生日は6月6日ではなく。8月28日なのだ。
「次に『命名システム上』です。人が生きていく上で一番重要といっても過言でわないぐらいに大切な名前。それを一番安全性の高いくじ引きで決めるというシステムです。」
どこが一番安全なのかは分からないが、まぁ、レワンという名前は嫌いではないし、むしろ気に入っているので、くじ引きに文句は言えない。
「この『命名システム上』は、本人が生まれて30日後に、『誕生日システム』は本人が生まれて45日後に実施されます。これで人生を左右するくじ引きは2回ですね。そして、今回が3回目と4回目の人生を左右するくじ引きが行われます。」
人生を左右するくじ引き。まさにその通りだ。だからこそ俺はこの日に全てを懸ける。
「18才の誕生日の中の『命名システム下』と『職業天性システム』です。『命名システム下』はレワン様の名前に名が加わるというシステムです。」
つまり俺の名前がレワン=○○○○○○○とかになるということか。かっこいいのを頼む。
「そして最後に『職業天性システム』です。その名の通り職業が決まります。職業については職業が決まり次第ご説明させていただきます。」
それだけ言って今まで本に向けていた視線を俺に向けた。
「では、いきましょう。きっとくじ引きが正しい道を示してくれます。」