第6章 感謝
6章です。よろしくお願いします。
2.勉強
魔法団体入団試験には、筆記もあるらしい。
2割が筆記で8割が実技。ほとんど入らないが、できた方が有利と
ソーヌが言っていたので、勉強することになった。
「筆記はこの国の地理とか政治、歴史とかを問われるらしいんだ。一応知っといた方がいいし、将来役立つ かもだし」
「……でも僕、字とか書いたことあらぬし、勉強とかも知らん」
鉛筆も紙も見たことなかった。ここに来てから、初めてばっかりだ。
「それなら俺が教えてやるぞ。大丈夫だ‼」
きらきらした目でこちらを見るので、否定するわけにもいかない。
「……た、頼む。出来なかったら貴様のせいだからな‼」
その後、ソーヌの必死な教えのより、なんとか大抵の事は理解できた。
同時に何とも言えない、気持ちがこみあげた。何だろう、と思っても理解できない。
何か言わねば、と思うほどにその気持ちは大事なのだと分かった。否、知っていたのだろう。
「おい、貴様」
「ん? わかんねーとこでもあったか? それならば教えてやろう!!」
「……その、かん、あ、ありがとう」
「・・・」
失敗?は?こういう時は礼を言うのでは?違うのか?
「え、あの……」
「あ、いやあ。ミュランの口から、ありがとうなんて聞けると思わなくてな。正直びっくり。あはは」
「……それぐらい言うにきまっている。馬鹿かお前は」
「うん!どういたしまして」
「あ! そういえば、俺の事、お前って。貴様から昇格したね! 結構嬉しい」
「……」
自分は人に気を許すそうな者ではないと思っていたが、案外そうでもないかもしれない。
ただ、今の状況を、嬉々としている自分を受け入れていた。
ミュランの成長が見れた6章でした。まだまだ続きます。ありがとうございました。