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ヒステリー・パニック!  作者: シュガームーン
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プロローグ

 ここは時代ときしろみやこ

 一つの大きな都市で区分分けされており、その地区によっては小競り合いもしばしば。治安は良いとも悪いともとれる、そんな都市である。




 時代ときしろの都 とある地区


「あーあ。またやってしまった………」


 書類を片手にポツリとつぶやく黒髪黒目の少年。

 手に持つ書類に書かれている内容は簡潔に言って解雇クビ宣告。


「生きにくい世の中だよなぁ……」


 現実を思い知らされドンヨリした雰囲気ムードを醸し出しつつトボトボと家へと帰る道を歩いて行く。


…………ドンッ


「…あ?」

「あ、すいま、」

「んだ、てめぇ?」

「………」





 ………………つもりだったが無理そうだ。

 目の前には大柄で、更に見た目からして悪そうな男が5人。

 少年はその内の一人と肩をぶつけてしまったようだった。


「(本当……生きにくい世の中だよな……)」


 首元を掴まれて目の前で怒鳴り散らす男をうつろに見て心の中で再びつぶやく。


「てんめぇ、なめてんのか!?」


 何故かキレられ、空いている拳がかかげられた。後ろの男達もニヤリと笑って骨を鳴らす。反射で目を閉じた少年。





──────パンッ


「何をしちょる。小僧共」

「ッハ?」

「…………?」


 頬に激痛と衝撃は無く、代わりに高く乾いた音と誰か分からない男の声。少年が目を開ければそこには驚く柄の悪い集団と


「なっ、なんだテメェ!?」


 癖のないサラサラの黒髪、黒い目。

 灰色無地の着物の上から藍色の肩掛けをかけて落ち着いた笑みを見せる、若い男性。

 男達は新たな人物の登場に呆気にとられ、後ずさり、距離を空ける。


「儂はただ通りかかった放浪人じゃ。ただ……大人数で一人をたたくってのはちっとばかし見逃せんなぁ」


 朗らかに言い切った彼は先程までの笑みと違い、不敵な笑みを見せている。それが気に入らないのか、柄の悪い男達は青筋を浮かべて殴りかかってくる。


 5対2、正確には少年を除いた5対1。

 多勢に無勢がよく似合うこの状況で、黒髪の男性は涼しい顔で微動だにもしない。男一人の拳がその男性へと振り抜かれようとする。思わず少年が目を見開いた。


「……へ?」


 口から洩れたのは間の抜けた声。

 なぜなら……




 黒髪の男性ではなく、柄の悪い男の一人がガクリと地に伏せたからだ。突然の、思いもよらない状況にその倒れた者の仲間はどよめく。


「え、あ、…えぇ…なんっ……!?」


 少年も目の前の出来事に開いた口がパクパクと、閉まらない。


「ほれ来んか、小僧共」


 トンットンッと地を軽く蹴り、クイ、と人差し指を曲げて笑い、挑発する。


「一人残らず洗ってやるぜよ」

「てっ…めええぇええ!!よくもおおおお!!」


 相手の一人が激昂。懐から銀色に光るナイフを取り出し、斬りかかってくる男に再び少年は慌てた。


「ちょっ それは危なっ…!?」

「いいから見ちょれ 少年」

「おらあアアアアア!!」


 突き出されたナイフを伸びきった腕の側面に避け、正面から外れる。側面に回った男性はナイフを親指と中指で挟み、もう片方の手で男の額にそっと指先で触れ、囁く。


「気は澄んだか、小僧や」


 それだけで男はもう一人倒れ、ぴくぴくとわずかに動き、這いずろうとする。更に黒髪の男性が地に伏せた男から取り上げたナイフはボロボロと形を崩し(・・・・)塵と化す(・・・・)


「なっ!?」

「能力者!?」


 それを見た3人は分かりやすく動揺して後ずさる。黒髪の男性はやはり涼しい顔をしている。その様子を見てか、3人の内の1人が、あっ、と声を上げて男を指差す。


「こっ、こいつ…自警団の『洗浄者』だ!!」

「自警団!?」

「こいつが洗浄者だと!?」

「なんじゃ。儂を知っとるのか?」


 嬉しいのう、ところころ笑う彼はとても今男二人を地へと伏せさせた張本人とは思えない。それがまた男達の恐怖心を煽る。


「それで、どうする? まだ戦るか? ん?」


 首を傾け、妖艶に笑って問いかける男性に3人は慌てて背を向け走り出す。その様子を「洗浄者」と呼ばれた男性はやれやれ、というように息を吐き出し、見つめる。


「全く、仲間も置いていくとは薄情な奴らじゃき」

「あ、あの……?」


 目の前の光景に圧倒され、今まで全く手出しすることの出来なかった少年が声を掛けると、男性は振り向き、朗らかに笑いかける。


「よう、少年! ケガァ無いか?」


 何も考えられず呆気にとられ、コク、と小さく一回頷く少年に、そうかそうか、と呵呵、と笑って男は手を差し出す。


ぬしも大変じゃなぁ。運が悪いというか無いというか」


 出された手を掴み起き上がった少年は立った時に男性へ頭を下げて助けてもらったお礼を言う。


「ありがとうございます 大変なところを……」

「構わんて。困った時はお互い様だと誰かが言うとったからな」




─────グウゥウ……


「ん?」「あ……」


 盛大な腹の音に一人はキョトンと、もう一人はやってしまった、というように頰を掻く。


「……腹が空いとるのか?」


 静寂を先に破ったのは和服の男性。少年は恥ずかしそうに口を開いた。


「………残念なところ、ここ1週間パン一切れと水しか飲食していなくて」

「良く生きとったな、御主おぬし


 呆れたというように即答気味にツッコんだ後、まぁいい、とすぐに切り換える男。少年に向かって声を掛ける。


「来い、少年。好きなモン食わせてやるぜよ」

「えっ…!? 本当ですか!?」


 驚いた後、目がキラキラ輝く少年。男は「おう」と屈託の無い笑みを浮かべる。


「そういやぁ、少年、名は? 何という?」

「直哉です。志賀しが直哉なおや 貴方は?」

坂本さかもと龍馬りょうまじゃ」


 黒髪の男性、もとい坂本龍馬は「よろしく」と少年、志賀直哉に笑った。


「はいっ! ご飯までの付き合いですが、よろしくお願いします!」




ある作品に凄くはまって書いてみました。 ですが中身は別なんで、はい。

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