能力発動しました
暫くミーアちゃんが出ない回が続きます
個人的にはミーアちゃんを登場させたい……
どうもユウスケっす。
異世界でパパになりました。
そして、金欠になりました……。
なので貰ったチート能力を使い、
冒険者稼業を始めようと思います!
ミーアから元気の出るちゅーもしてもらったし!
やる気全開です!!
家を出てから30分。
王都スターチスに到着した。
まだ早朝のため、どの店も閉まっていた。
人影も少なく、街は静まり返っている。
街並みは、お馴染み中世ヨーロッパ風。
RPGに出てきそうな感じだ。
ちょっと見とれちゃうなぁ。
これだけ見ると海外旅行に来た気分だ。
まぁ、行ったことないけど。
いや、なんて呑気に考えてる場合じゃない。
早くギルドに行かなくちゃ!!
俺、まだ正式な冒険者じゃないし!
そう、冒険者になるためにはギルドでギルドカードを発行し、ギルド本部に登録てもらわなくちゃいけない。
そうしないと、いくら魔物を倒しても報酬は出ない。
その上、クエストも受注出来ない。
と、あの時カグヤから聞いた。
だから、こうして朝早くから家を出て速攻で登録を済まし、とりあえず1日分の生活費を稼ごうと思ったのだが……。
「そういや俺、カグヤからギルドの場所聞いてなかったわ……」
痛恨のミスッ!!!!
やっちまったよ。大幅に予定が狂った。
ここに土地勘ないし。
何処も彼処も同じ様な建物の造りしてて、俺じゃなくても初めて来たやつ絶対迷うだろ!
日本でいう京都の街並み、みたいな?
いやいや、例えてる場合じゃない。
早くギルド見つけなきゃ!
なんて俺が焦っていると、路地裏から僅かだけど悲鳴が聞こえた。
女の人の声?
しかも路地裏から。
おいおい、そりゃあちょっとお約束過ぎやしないか?
どうする。
これに関われば、間違いなく時間のロスだ。
下手したら、いや下手をしなくても今日ギルド登録だけで終わっちまう。
もしかしたら登録すらできないかも。
そんな事になったら、ミーアの飯が……。
そんな御託を並べている間に、俺の身体は路地裏へ走っていた。
ごめんな、ミーア。
ご飯は何とかするから。
だから、パパにちょっとだけ勇気をくれ!!
前世では喧嘩の類はほとんどしなかった。
そうなる前に逃げていた。
だから、身体が勝手に動いたのには少し驚いた。
自分からそれに関わるなんて。
俺がこうなったのはミーアのお陰かな。
ここで無視したら、ミーアに嫌われちまう。
パパ嫌い。なんて言われたら俺多分死ぬ。
それにだ!
そんな腑抜け男に、ダンテさん達も安心してミーアを任せられないだろうよ。
俺はかっこいいパパでいたい!
娘の自慢となるかっこいいパパに。
そして第一に、
「女を泣かす奴は絶対に許さねぇ。」
俺は全力で声のする方に走っていった。
「姉ちゃん、ちょっと俺らと遊ぼうや」
「やめて下さい!しつこいです!」
「そうピリピリするなって。俺っち達はただお姉さんと遊びたいだけなのさ」
「本当にやめ…ちょっと、腕引っ張らない…で…」
「……おい。」
「「あぁん?」」
こんなに冷静な怒りもあるんだな。
お陰で頭が凄く冴えてる。
男が2人。
片方の大柄な奴が女性の腕を掴み、小柄な方は……俺と同じくらいの背丈か。
見える限り、武器とかはない。
懐にナイフを忍ばせている可能性があるな。
気をつけなければ。
大柄な方が女性から手を離し、小柄な方に預け俺に向かってきた。
「おう兄ちゃん。なんか用か?俺達よぉ、今お取り込み中なんだ。わりぃけど、ここから消えてくれねぇか?そうすりゃ何もしねぇからよ?」
デカブツは不敵に笑う。
指をパキパキ鳴らして俺を威嚇するが、対して怖くないな。
でも近くで見ると想像よりでかいな。
2mはありそうだ。
「あの、助け……」
「お前は黙ってろ」
小柄な方は助けを求めようとした女性の口を覆う。
気づかれないと思うのか?
そんな涙を浮かべた目をした人の言葉なんて、
『助けて』なんて、言われなくても伝わってるさ。
だから、
「その汚い手でその女性に触れるな。」
どうやら、俺の我慢もここまでらしい。
正直、スキルや魔法を習得してない今の時点で、勝ち目は薄い。
1対1ならまだしも、1対複数。
本音を言えば、今すぐ逃げたい。
だが、かっこいいパパになるために、腐った男にならないために!
ここで逃げ出す訳にはいかない!!!!
「ほう、兄ちゃん。つまりは俺らにボコられたいと?いいぜぇ!!そのいけ好かない顔、グチャグチャにしてやるよ」
そう言うと大柄な方は、
「《アームズ》」
と詠唱した。
その時、その魔法の情報から使い方、それの上位魔法に至るまで、全ての情報が俺の中に入ってきた。
そうか、これが《オールアビリティ》の力か。
魔法の使用を見ると自動的に覚えられる。
その上、その魔法の上位魔法まで。
中々爽快だな。
「ガハハハハッ。実はなぁ、兄ちゃん。俺達魔法が使えるのさ。今の俺は通常の2倍の身体能力を発揮できる。つまり、そんなヒョロヒョロの体じゃあ万に一つも勝ち目はねぇって訳だ」
ガハハハハッ。と、もう一度高らかに笑ってやがる。
小柄な方も、終わったな。なんて言っている。
女性は、涙ぐみながら目線を逸らした。
「そうか、魔法が使えたのか。」
俺は白々しく言う。
そろそろ、こいつらにも限界だったんだ。
お姉さん、泣かないで。
今すぐ助けますから。
心の中で何かが吹っ切れた俺は、最上位魔法を詠唱をした。
「《ルナティック・フォース》!!」
《アームズ》とは違い、極限まで身体能力を向上させることが出来る。
消費する魔力は膨大だが、そんな事を気にすることが出来ないほどに俺はキレていた。
男2人は呆然とし、事態を飲み込めていない。
女性の方は目を見開いて驚いている。
どうやら、あの男達より俺の方が運が強かったらしい。
こんな所で魔法に出会えるとは……。
俺はゆっくりと拳に力を込めた。
「さぁ、喧嘩を始めようか。」
こうして、俺の喧嘩が始まった。