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理由を聞いて決心しました

ちょっとシリアス展開

好きな人の為に変わりたい。



って、めっちゃ素がイケメンじゃん。



マジで根っからの悪なのかよ。

本当に殺人以外やり尽くした犯罪者なの?

全然そんな感じじゃないじゃん。



カグヤの話を聞きながら、事実を疑う俺だった。



主人公。言ってること主人公だよ?

かっこよすぎるってぇ。

俺、かすんじゃうよ。



なんか、いいなぁ〜。

俺、ダンテさんに生まれ変わりたかった。

俺がダンテさんだったら……



なんて、意味の分からない妄想を始めると、




「何変なこと考えてるんですか」



「あ、……そういえば心読めるんだったね」



やべぇ、すっかり頭になかった。

ってことは、今の妄想も聞かれてた。



…………。

は、恥ずかしぃーー!!!!

あの一瞬で黒歴史になるレベルのこと妄想しまくってしまったぁ!!!

やべぇよ、かなりのキメ顔で臭いセリフ言ってたりしちゃってたよぉ。

この命に変えても…君は守る!

どこの厨二病患者だよ…。



「ぐぉぉあッ!!!!」



俺は声にならない声で悶え、

完熟しきったトマトのような顔を、手で隠した。



「下らないので先に進めてよろしいですか?」



淡々と俺の心を折に来るなぁ。

俺がまだ厨二の傷が癒えていないというのに。

こいつ、まさか天然のドS?



「意味がわからないので無視します。」



おふぅっ……。

今のは、いいストレートだった。



そんな漫才をした後、カグヤは再度話を進めた。





自分自身を変える努力をしたダンテさん。

その頑張りは、周りの地獄札の者達だけでなく、神々まで認めていた。

その信頼から特例として、ダンテさんに神職の手伝いを任せることになった。

ダンテさんは思っていた以上に成果を出した。



よく働いてくれたお礼として、

ダンテさんの札が、天国札に変わるのにそう時間はかからなかったという。



それからどれ位時間が経っただろうか。

遂に、転生の順番が来たという。

しかも、ダンテさんが惚れていた女性と同じタイミングで。



ダンテさんは神々の前でその女性に告白したらしい。

最初はその女性も驚きが隠せなかった。

しかし、私も頑張っている貴方に惹かれていた。

と言った。

まさかの両思いだった事が判明。



その場でダンテさんだけでなく神々も大喜びしたそうだ。



せっかく恋が実ったのだ。

2人が結ばれる運命に転生させよう。



そう、神々は話し合ったらしい。

本当はダメな事だが、神職での功績もあって認められることになった。

ただ、条件として前世で生活してきた世界ではない。

異世界での転生でなければならない。



まぁ、その事に関しては、別に大丈夫気にしない。

ということになった。



だが、前世での記憶は消さなければならない。

今この時の一件を忘れてしまえば、せっかくの転生が無駄になってしまうかもしれない。

だから、神々はそこも特例としようとしたが、



「俺達は記憶なんか無くたって、同じ時を生きていればまた惹かれ合います」



だから、記憶のことはいい。と、言ったそうだ。

いやいや、マジでイケメンだよ、ダンテさん。



そうして2人は無事転生した。

十数年後ダンテさん達は出会い、本人達の言った通り恋を実らせたという。



その愛の結晶として、ミーアが産まれた。

幸せな時間が過ぎていった。



そして数日前、事故に巻き込まれ2人は……。



「多くの神々は彼らの死を嘆き悲しみました。私もそのうちの1人なのです。だから、ミーアちゃんが後を追おうとした時は…。ミーアちゃんはあの2人が生きた証なのです!だからどうしても、守ってあげたくて……」



「それで丁度札がない俺が父親役に抜擢されたと」



「いえそういう訳では…!!!!」



ないです。と言う声は段々小さくなっていった。

そして、カグヤは顔を俯けた。



彼女の目からは、ぽたぽたと大きな雫が落ちていた。

肩は震え、握り拳にはぎゅっと力が入っていた。



「ただ…私は……ミーアちゃ…んを」



嗚咽が交じるその声は俺に訴えた。

こいつは憎たらしい事を言ったり、人を小馬鹿にする。

しかし、人一倍ミーアの事を思っている。

ただ、私はミーアを守りたい。



カグヤの声はそう俺に訴えた。





「守りたかっただけ。だろ?」



「……え?」



誰かを守りたい。

そんな思いに神も女神も、人間も関係なんてありゃしない。



ならば俺はどうする。

何をするんだ。

どうするべきなんだ。



カグヤは、本当は自分で守りたいもの。

それを俺に預けると言った。



女の子がだぞ?

声を荒らげ、涙を流し自らの気持ちを伝えたんだ。



恥じらいもせず、ただただ純粋に。

たった1人の子。

いや、3人の生きた証を守るために。



さっきは『丁度俺がいたから』なんて、今のあいつにとってきついことを言った。

別に泣かせたくて言ったんじゃない。

あいつの気持ちを知りたかった。

心の底からの声を聞きたかった。

そして、その声は聞けた。






自問自答の答えは既に出ている。

当然だろぉ?

女の子が涙を見せたんだ。

それをどうにかするのが男の役目。



だったらやる事は1つ!!!!



「いいよ。俺がミーアの父親になってやる」



「ユウスケ…様」



「さっきは悪かったな。きつい事言って。きっと何かの事情で言えない理由があるんだろ?だったらいいさ言わなくて。お前の気持ちも聞けた。涙を流してまで俺を頼ってくれた。なら、俺はどんな理由があろうと父親でも何でもなってやるよ。本当は死ぬ筈だった俺をこうして生かしてくれている。しかも、可愛い娘付きで。こんなに良い待遇はないさ!そういえば、しっかりお礼言ってなかったな。カグヤ、俺を異世界に転生してくれてありがとう。ミーアのことは任せろ!絶対にいい子に育てるからよ!だから、もう、泣くな」



「ユウ……ユウスケ…様……あ、あり、ありがとう。ありがとうございます……」



カグヤからはさっきとは比べ物にならない程、大粒の涙が落ちた。

だが、それはまるで宝石の様な輝きだった事を、俺は忘れない。



「いつまで泣いてんだ!ほら、帰るぞ」



「ユウスケ様?ど、どこへ?」



「決まってんだろ?」



ミーアが待つ我が家へ!!!!



俺は座っていた岩から立ち上がり、カグヤの手を取った。

そして、ミーアの待つ家へと駆け足で戻った。

この時、俺に引っ張られる様に走るカグヤが、嬉しそうに笑っていたのを俺は知らない。






家に着き、ドアを開けると、



「パパぁ〜!!!!」



俺らの帰りが遅く、お腹がすいて泣きじゃくるミーアがいた。

ミーアは俺を見つけると泣きながら抱っこをせがんだ。



「パパ…おそい〜!!!!」



俺の肩に顔を埋めて泣いている。

そっか、今日から俺はパパなんだ。



ダンテさん。奥さん。

お2人の娘は俺がしっかり育てます!



だから、どうか応援して下さい。



決意を改に、俺は言った。



「ごめんねぇ〜。パパすぐご飯作るからぁ〜」



後ろから、キモッ。と聞こえてきたのは多分、幻聴だろう。

幻聴……だな。

じゃなかったら、俺の心が砕ける。





こうして、俺の異世界は始まりを迎えた。

次回からはほのぼのとやります

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