異世界でパパになりました
描きたかった異世界もの!
頑張って投稿します!
「いやぁ〜、どうしたもんかなぁ」
あ、どうもはじめまして。
俺井上ユウスケって言います。歳は17っす。
突然ですが、今困ってる事があるんです。
え?何に困ってるんだって?
え〜っとですねぇ、
実は俺、異世界でパパになりました。
遡ること数時間前。
「今日も疲れたなぁ〜」
俺は学校の授業が終わり、帰宅途中だった。
学生の本分は勉学って言っても、あれだけつまんないとやる気出ねぇ〜って。
なぁ〜んかたのしいことないかなぁ〜。
そうだ!最近アニメとかで流行りの異世界!
異世界とか行ってみたいなぁ〜。だって絶対楽しいじゃん!
俺は転生勇者で、チート能力持ち。周りには頼れる仲間と可愛いヒロイン。長い旅の間で強くなっていく絆。育まれる愛。
そして、傷つきながらも魔王を倒す!
魔王を倒した俺は英雄として一生を終える…。
英雄…なんて、いい響きなのだろう……。
おっと、熱く語りすぎてしまった。
でもまぁ、んなことあるわけないしなぁ〜。
妄想で我慢するしかないのかぁ。
「あ〜あ。俺は生まれる所間違えたのかなぁ」
「そうですか?なら、やり直しますか?」
「え、あの、どなたですか?」
「私はカグヤ。貴方達の言うところの女神です」
何だこの黒いコートにフードを被っているいかにもな女は。
いきなり後ろから声かけてきやがって。
あれですか?厨二なんですか?俺を馬鹿にしてるんですか?
見た所背丈は俺より小さい。中学生くらいか?
うんうん、あるよね。自分は他の人とは違う的なアレ。
俺もねぇ、あったよ。そういうの。別に悪いわけじゃないけどね、他人に迷惑をかけるってのはちょっと…………
「あの、何か誤解をされていませんか?」
「してないですよ。まぁ、楽しいのは分かりますが、早めに気がついた方がいいと思います。周りは結構迷惑してたり……」
「私、厨二病じゃありませんから!!」
お、怒られてしまった。っというより、厨二病じゃない?
ってことは本気で自分は女神だって言ってるのか。
可哀想に…。
「コホン。話が逸れてしまいましたね。それではもう1度問います。井上ユウスケ様。貴方は異世界で人生をやり直したいですか?」
改まってなんか言ってるぞ。
って、何で俺の名前知ってんだ?
どっかで知り合ったかなぁ?いや、知らないなぁこんな変なやつ。
でも、異世界で人生を…ねぇ。出来るならやりてぇ。
こんな日常うんざりしてたしな。フッ、こいつを信用するわけじゃないけど、面白いから話だけ聞いてみよ。
「あぁ、やり直せるならそうしたいね」
「そうですか。確認も取れたので早速行きましょうか?」
「行きましょうかって。一体どこへ?」
「どこって。天界ですよ」
「え?」
そういうと、カグヤは何処からともなく大きな鎌を取り出した。
おっと、これは。どうやら本物だったみたいだな。
って冷静に考えてる場合か!!!!
あれで何するの?ねぇ、あれで何をどうするの!!
「それでは失礼して……よっこいしょッ!!!!」
何で鎌を俺に向かって振りかぶるんだぁ!!
ちょ、ちょっと待てって。なに、なんなの!!
た、たすけ………。
「ギャャャヤャャャア!!!!」
「・・・・・・」
「手荒な真似してすみません。てへぺろ」
何がテヘペロだ。可愛くねんだよ。
それよりここどこだよ。何で俺たち椅子に座ってんの?
なんかこの椅子めっちゃフカフカで気持ちいい〜。絶対高いんだろうなぁ。
じゃない!!
俺カグヤに鎌で切られたよね!?絶対死んだよね??
マジでここ何処なんだよ。俺死んだの?死んじゃったの??
ってかどうでもいいけど、いい加減フードとれや。
いつまで被ってんだよ。
「あ、ごめんなさい。フード被ったままでした。これでは失礼ですよね」
いやいやいや、もっと詫びるとこあるだろ。
あぁー、ツッコンでも拉致があかねぇ。
「とりあえず、状況説明よろしく」
「はい分かりました!」
そういいながら、カグヤはフードをとった。
すると、そこにはとても可愛らしい女の子が現れた。
髪は深い群青色。とても長く、フードをとったと同時に溢れてきた。
目の色は淡い水色。この色意外と好きだな。
カグヤはウザったそうに頭を振っている。
そして、髪留めで髪をポニーテールに結んだ。
さっきまでの憎たらしさはどこへやら。
悔しいが、あまりの可愛さに見とれちまった。
ちくしょう、なんかやりずれぇ。
「お待たせしました。それでは説明しますね。ユウスケ様、貴方の魂は今日をもって天界に送られました」
「いや、お前が送ったんだろ。鎌で俺を真っ二つにして。無理矢理送ったんじゃねーか」
俺の言い方にムカついたのか、カグヤのこめかみに青筋が立っている。
「えぇ、つまり貴方は死んだのです。そう、死んだのです。紛れもなく死んだのです」
「そんな何回も言うなよ!仕返しのつもりか!」
「ケンカを売ってきたのはあなたじゃありませんか!」
「えぇい、うるさい!だいたいお前が…ってこれじゃ話が進まん。俺が悪かった。だから、この状況を説明してくれ。たのむ」
俺は頭を下げた。俺が冷静にならなきゃ、多分この状況ずっと続く。それよか頭下げた方が幾分かマシだ。
というかこいつ、黙ってれば可愛いってやつだな。
「わかればいいんですぅ〜。全く、これだから野蛮な人はやなんですぅ〜」
抑えろぉお。今ここで爆発したら間違いなくめんどくさい!
何か別のことを考えろ。えぇーっと何か、何かぁ……。
そうだ、今日スーパーの特売日だった。
確か卵が安かったんだよなぁ。後で買いに行かなきゃ……。
って、俺死んでるじゃん!!!!
「それでは改めまして説明します。ユウスケ様は私の手によって、今日お亡くなりになられました。しかし、私が手を下さずともユウスケ様のお命は今日までだったのです。それは、運命と言ってしまえばいいのでしょうか。まぁ、初めから決まっていた事なのです。」
「初めからって。俺は今日死ぬ予定だったのか?」
「はいそうです。」
はいそうです。って、簡単に言いやがって。
結構ショックなんだぞ
だけど、構わずカグヤは話を進める。
「ですが、ここで問題が起きました。その問題とは、ユウスケ様の魂の行き場が無くなってしまったのです。先日に起きたアメリカでの大災害をご存知ですか?」
「あぁ、知ってる。」
今朝ニュースでやっていた。何でも過去最大級の地震で、津波による被害も過去最大級。日本の自衛隊も救助に向かってるとか。
「その災害での死者は約300万人。これは天界でもイレギュラーな事でした。本来死者の魂は、死後この天界に送られ生前の行いについて審議し、天国札か地獄札を貼るのですが……」
カグヤが言うには次の様なことらしい。
天界のシステムでは、生前の行いで判断して天国か地獄に魂を区別するらしい。天国・地獄と言っても俺達が想像しているものではなく、ただの順番待ちの番号札のようなものだという。天国だと早く生まれ変わることができ、地獄だと遅いっという感じだ。
その番号札を、区別された魂に貼り付けるらしい、
のだが、あの大災害で番号札が底を付いてしまいそうであるという。
「こちらとしては、迷惑をかけてしまい謝罪の気持ちでいっぱいなのです……」
「それで、その事が何で俺を余命より先に殺す事に繋がんのさ」
「はい。それはですね、亡くなった魂は天国札か地獄札、そのどちらかを貼らないと消えてしまうんです。現在はギリギリ持ちこたえられているのですが、ユウスケ様が加わると足りなくなってしまいます。そうなると天界的にもユウスケ様的にもまずいですから。ですから、私達は考えたのです!」
「考えた?何を?」
「ユウスケ様の分の札が無いのならば、先に殺して魂が消えてしまう前に無条件で先に転生させればいいと!」
「その事の方がまずいだろ!」
思わずツッコミを入れてしまった。
だけどそんな事をしていいのか?
俺だけ無条件なんて、他の人達に悪い気もするなぁ。
せっかく番号札で待っている人達を横入りした俺が先に行くんだもんなぁ。
なんか気分悪いな。
「安心してください。許可はとってあります。それに、貴方が気に病むことではありません。不測の事態を予測できなかった我々に落ち度がありますから」
こいつ、俺の心が読めるのか?
女神にそんな能力が備わっていたなんて。
なんかカッコイイな。俺もその能力欲しい。
女神になりたい!
女じゃないけど。
冗談はこれくらいで。
何にせよ、これはカグヤの言うことに従うのが吉かな?
他の奴らには悪いが、俺も消えたくはない。
「わかった。それじゃぁよろしく頼むよ。で?俺は何に転生するんだ?出来れば人がいいんだけど?」
「フフッ。先ほど言ったではありませんか。『異世界で人生をやり直しますか』と」
っと言うことは。
俺は念願の異世界生活ができるのか!?
本当に、本当なのか!!
な、なななんかテンションあがってきたぁぁあ!
「おぉマジか!だったら早く!すぐに行きたい!」
「そうですか、それでは転生を始めますね」
俺が座っていた椅子の下に魔法陣らしきものが出てきた。
ガチだ。夢じゃない!つねったら……やっぱり痛い!
やったぁ!まさか俺がラノベみたいな経験を……。
「あぁ、転生する前に説明を」
「ここにも説明があんのか。で?なんだ?」
「はい。向こうの世界でもユウスケ様はユウスケ様です。つまり、容姿や中身は変わりません。その代わり、とてもいいものが手に入るはずです」
俺そのままか。
どうせならイケメン勇者が良かったが…。
ま、その代わりにいいものくれるみたいだし。
いいものかぁ。
なんだろうなぁ〜。
やっぱりあれかな?
チート能力とか、聖剣とか魔剣とか、歴史上最大の力みたいな?
やべぇ、マジでラノベだ。これマジですげぇ。
「あのよ、俺勘違いしてたよ、お前のこと。なんか色々とありがとな」
「いえ、私は自分に出来るとこをした、それだけです。それでは、楽しい異世界生活を」
俺の体は段々と薄くなり、俺の意識も遠のいていった。
これから始まる異世界での生活。楽しみすぎるなぁ……。
で、起きてみたらこれだ。
これだと言うのは、別にさほど大きくない家や俺が眠っていたベットのことではない。
ましては、俺が着ている貧相な冒険者服のとこでもない。
明らかに最底辺の冒険者が着るような服だが俺は気にしない。
問題は、
「何故俺の隣で幼女が寝てるんだぁぁぁあぁぁあ!!」
何で幼女いんだよ?え特典って幼女??
そんな訳あるかぁ!!
じゃあなんで…………。
「ん、んん〜〜ッ」
あぁ、大きな声出しすぎて起こしてしまった。
どうする、いきなり知らない男がいるんだ。
泣かれるか?泣かれるのか?それだけは避けなければ!
色々とめんどくさい事になるぅぅ!
「うるさいよ、パパ〜」
「ごめんねぇ〜。パパが悪かっ…た……?」
え、何だって?
パパ。今パパって……。
俺をパパって言った?
この子、パパって言ったよね?
え、え、どゆこと?
「ミーアまだねてるのにぃ〜。もしかしてお仕事行くの?」
「え、えっと…あのぉ…………」
「どうしたの?パパ、なんかへ〜ん」
これは一体どういう事なんだ????
なんで俺がパパ?
この歳でパパ?
マジで、冗談キツイってば。
マジで、、何なんだよぉぉぉぉお〜〜
カグヤは大きな鎌出してますが、死神ではなく女神なので。
もう1度言います、女神です