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レッドゼラニウム

前回のあらすじ

シルキーさんが仲間になった

氷河は人外娘が好きだが雛菊は苦手です

癒依月荘に住まうバカップル、基

雛菊と福田幸は、幸福概念の擦れ違いが起こっていた

幸を偏愛する座敷童子の雛菊は、幸が幸せに成るならば献身的に、良妻賢母な嫁と幸が結ばれる事が幸せと考えていた

一方で幸は、雛菊と共に居ることが幸せなのである

幸は、愛慕の感情を持っていた


幸は、氷河の元へ来ていた

「お姉ちゃん……

どうして、他の人と僕を結婚させようとするのかな……」


「幸くん……僕は……カウンセラーの……先生じゃ

ないんだ……よ?」


困った時は、とりあえず駆け込めば

なんとかなる人――という認識を持ち、氷河のいる氷屋に相談に来ていたのである


「どうしたら、お姉ちゃん僕の事を解ってくれるのかな?」


「幸くん?

あのね……僕はね、カウンセラーの……先生じゃ……無いし……

氷屋も……カウンセリングルームじゃ……無いんだ……よ?」


「……ごめんなさい

迷惑だよね……急に押し掛けて……

氷河さんは、心臓にストレスが掛かるのが駄目なのに……ごめんね……帰るから……」


「次来る時……は、アポ……取って来てね……

今回は……特に仕事が……無いから……別に良い……」


「えっ?

良いの?」


「良い……よ……

もうすぐ……雛祭り……でしょ?」


「えっ?

うん……雛祭りだね?

お姉ちゃんの誕生日の……」


「雛祭りって……

雛菊さんの……誕生日……だから……

プレゼントに……自分の……気持ちを……伝える……のを……贈れば……良い……よ……」


「何を贈れば良いの?」


「君か、花かな……」


「僕?」


「まあ……君を贈るのは……気持ちが……伝わって

からが……良い……よ……」


「何の花を贈れば良いの?

赤いデージー?」


「……赤いデージー……の花言葉は……無意識……

デージー全般は……純潔って……意味もある……けど……雛菊さん……穢れ捲ってる……から……

君が……プレゼントするなら……赤いゼラニウム……

レッドゼラニウム……」


「レッドゼラニウム?

花言葉は何〜?」


「後の……お楽しみ……」

「はーい!」


▽▽▽


幸は、花屋に予約へ来ていた

「レッドゼラニウム……って置いてありますか?」


「レッドゼラニウム?

プロポーズにプレゼントするんですか?」


「えっ?

プロポーズ?」


「違うんですか?」


「誕生日の雛祭りにプレゼントするんですよ〜」


「ああ〜

もうすぐ雛祭りですからね〜

粋な事しますね〜

では、雛祭りの日に

レッドゼラニウムを確保しておきますね」


「はい

お願いします」


▼▼▼


アパート癒依月荘(イエツキソウ)

雛菊は、幸を泣かしてしまい

嫌われたのではないかと

自責の念に蝕まれていた――

何故、泣いたのか解らないが

聞いてしまうのも憚ってしまうので、考えていた


自ら気付いてあげるべき事だと、氷河に耳打ちされて必死で考えていた


『解せぬ……

何故……幸は泣いたんじゃ……』


『朴念仁ですわね〜』


『何が有ったのよ?』


『あっちで、話しますわ〜

ひっそりと……プフーッ』

『なに笑ってんのよ気持ち悪い』


『ヒドゥイ!!』


ウボールカとアイロは、別室に移動した


『むぅ……

沙羅は解るかの?

幸が泣いた訳は……』


『……すいません、よくわかりません』


『沙羅も存ぜぬか……

アイロは、宛にはならぬし……

ウボは、あの場には居らぬ故に宛にできぬ……

手詰まりじゃな

やはり、解らぬか?

幸が何故泣いたか……』


『……すいません、よく聞こえませんでした』


『んん!?

幸が泣いた理由じゃ』


『……幸が泣いた理由じゃをWebで検索しますか?』

『妾が悩んでおるというに……siriの真似事をするでない!

このたわけ者が!!』


『Хина!

アイロから話を聞いたわ!!』


『おお!!

ウボは、解るかの!?

ウボはアイロよりもマトモじゃからな!!』


『ヒドゥイ!!』


『解るわよ?』


『おお!

では、早速教えて欲しいんじゃが』


『嫌よ、甘えないの!

自分で考えなさいな

私から言える事は、Хинаが悪いって事ね』


『やはり、妾が失言した所為なのか……

ところで、ウボよ

妾や幸の名を呼ぶ際に

ロシア訛りに成のは何じゃ?

安易なロシアアピールか?』


『煩い!

この失言コケシ!!』


ウボールカは、モップの柄の先端で雛菊の鳩尾を的確に突いた

勢いよく放たれた突きは、貫通して

雛菊は串刺しの状態になった様に見えたが

モップの柄は、雛菊の身体を、すり抜けただけだった

▽▽▽


幸が帰ると、雛菊は言った

『おお!

幸よ……あの時は、何やら傷付ける様な事を口走ってしまったようじゃからの

もうすぐ雛祭り、3月3日じゃからな

どうじゃ? 妾とラーメン屋にでも行かぬか?

百舌鳥の辺りに大層美味なラーメン屋が有るんじゃよ〜

チャーシューは肉厚での〜?

ニンニクの量が普通でも、レンゲ一杯分も入っとるんじゃ!!

幸にも食べさせてやりとうてのぅ……』


「えっと……あのねお姉ちゃん……

その日は用事が有ってね……

ラーメン屋さんには行けないの……」


『ガーンじゃな……出鼻を挫かれた』


▼▼▼


『うわあああああ!!

幸に嫌われてしまった!!』

雛菊は、3月3日当日

氷河の家に来ていた、押し掛けて来られた氷河は

ビニール袋に嘔吐した


『氷河よ頼む!!

妾を消滅させてはくれぬか!?

幸に嫌われては……もう……

生きるも死ぬも意味がない……

いっそ消え失せる方が良いじゃろ……

頼む……妾が消えたら……幸の記憶から、妾を消してくれぬか?』


「やだ……無理……」


『何故じゃ!!

後生じゃ!!

消してくれぇ!!』


「僕は……退魔師の……家系だけど……

僕に……退魔能力は……無い……よ……

寧ろ……逆だ……よ……」

『家系にまで天邪鬼なのか氷河は……』


「もう……帰って……

家に……また吐きそう……」


女子(おなご)を前に、吐きそうはないじゃろうが……

流石に今は突き刺さる言葉じゃぞ……』


「とりあえず……帰って……

ネガティブな……感情で……近付かないで……」


雛菊は、帰った

氷河は雛菊が帰った後、再び嘔吐して

その日の晩、高熱を出した

▼▼▼


「どうぞ御予約のレッドゼラニウムです

こちら温めますか?」


「温めません」


幸は、花屋でレッドゼラニウムを購入して

癒依月荘に向かった


だが向かう途中不良グループに見付かり襲われそうになったが、家まで尾行して住所を特定し

逃げ場を無くそうと考え、幸は後を追跡されている


▽▽▽


癒依月荘の部屋に幸がレッドゼラニウムを持って帰って来た


「お姉ちゃんただいま〜」

『一本ちけろや』

アイロが、茶々を入れる

『止めなさいАИРО!』そして、ウボールカがツッコミを入れるのは

癒依月荘の一室恒例の妖精漫才だ

『何じゃ?

幸よ、その花は?』


「えっとね〜

レッドゼラニウムだよ〜?

雛祭りだから、お姉ちゃんにプレゼント〜!

予約してたんだ〜」


『まさか……用事というのは……

妾に花を贈る為に……』


「そうだよ〜?

お姉ちゃんと、みんな以外に大事な用事なんて無いよぉ〜♪」


『なにこの子天使なの?』

『Да.そうよАИРО

САЧИは天使よ』


『……幸に嫌われてはいなかったんじゃな……』


「どうして僕がお姉ちゃんを嫌うの?」


『いやの……何やら妾が幸に傷付ける様な事を失言したようじゃからの……

何が傷付けたのかも分からず仕舞いで

いっそのこと、幸に嫌われてはもう……

消えた方が楽になれると思い立ち

氷河の家で妾の存在も記憶消してほしいと頼みに行ってたんじゃよ……』


「えっ……お姉ちゃん消えちゃやだよ……

僕もお姉ちゃんに僕の気持ちを解ってほしいから

氷河さんのお家に行ってたんだよ?

このお花はね……

僕の気持ちを伝えるのに良いお花らしいんだよ

だから、このレッドゼラニウムは僕の気持ちだよ」


『粋な事をするわねСАЧИは……

こんな格好いいプロポーズ初めて見たわ』


『何じゃ?

何の意味が有る花何じゃ?』


『死んでも離れないですわね』


『さ……幸……そんなにも妾を……』


『АИРО!

嘘つかないの!!

それはアイビーの花言葉でしょ!!』


『大好きなので心中しましょう的な意味合いですわ』

『いかんぞ幸よ……命を粗末にしてはいかんぞ……』


『それは桑よ!!

命は投げ捨てるものじゃないわよ!?』


『あら、命は投げ捨てるものですわよ?』


「ジョインジョインクワァ……」


『真の花言葉は一体何じゃ……』


『永遠にあなたのものですわ』


『格好いいけど、それはハゼランよ……』


『思うはあなた一人という花言葉ですわ』


『それは彼岸花よ……

レッドゼラニウムの花言葉は、君ありて幸福という素敵な花言葉よ』


「わぁ〜お誂え向き〜」


『Хина?

Сачиは、どんな高嶺の花よりも

いつも近くで咲き誇るМаргариткаが良いみたいよ』


『ルカ様……

そんな臭いセリフ吐いて恥ずかしく無いんですか?』

『うるさいАиро

空気読めАИРО

黙れАИРО』


ウボールカの、顔がみるみると紅潮してゆく

『なるほどのう……

つまり妾が幸にしていたのは

お節介であったか……』


「だって僕はお姉ちゃんと結婚するもんね」


『さ……幸……

今、その様な事を言われれば……その……

妾の〜

顔と下腹部ぅ……がのぅ……あぁ……んっ……なんじゃ……

言葉が見当たらぬ』


『ねぇ、Хина?

何か臭わない……?』


ウボールカは、犬の様に鼻をクンクンさせて臭いを嗅いでいる

『言うでないウボよ……

言うでない……』


『ま……まさか……

嬉ションですわ……』


アイロが雛菊の着物の裾を捲り、褌を覗くと

鼠蹊部から太腿に体液が垂れ流ていた


『うわ……びちょびちょ……

ルカ様?

この褌、いくらで売買できるでしょうか?』


『売っちゃ駄目よ!?

洗って、干すのよ

汚いでしょ?

……正直、私は触りたくないけど……

Хина?

自分で洗うか、Сараに洗ってもらうかどっちが良い?』


『……穿かぬという選択肢は有るかの?』


『無いわよ』


「僕の穿く?」


『穿く』


『Хина?

本気?

САЧИのはブリーフパンツよ?』


『穿く!!

脱ぎたて!!

穿く!!』


癒依月荘(イエツキソウ)のおかしな家庭は、幸が雛菊を嫌わない限り

見えなくなっても、雛菊が姿を表して続いて行きます


氷河の弱点は熱血漢と雛菊です

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