幸運を齎すアパート癒依月荘
昔に考えた話の一つで、強運補正で周りが因果応報の報いを受けてもなお
仲良く幼女(人外娘)や女性(人外娘)と暮らす男(人間)のハーレム系? です
とある裕福な家庭に福田 幸という男の子がいました
ですが、幸の両親は昔から「お姉ちゃん」と呼ぶ誰かと話す、息子の幸が恐ろしくも、心配でなりません……
何故なら、その【お姉ちゃん】は……目に見えないのですから……
「ねえ!? アナタ!?
わ……私……怖いわ……幸は不気味よ!!」
母は精神的ストレスで病みかけて、父はと言えば
「まあまあ、幸はまだ小学生じゃないか
目に見えないお友達と話すのは子供なら珍しくないだろう?」
と、気楽な態度で、のらりくらりとしていました
「嫌よ!! 何度言っても聞かないの!!
幸の側に居たくないわ!!
脳天気な事言わないで!!」
金切り声を上げて、必死に訴えかける母は
もはや恐怖感で参っている
「あーもう……それじゃ、こうしようか?
これは子供の時だけの一時的な空想の友達だから、高校生に成ってまだやってる様なら、一人暮らしさせるという提案をだな」
「嫌よ!! 高校生まで一緒に暮らすのなんて!!」
「自分たちの育てた息子じゃないか……それじゃ……中学三年?」
「中学一年よ!!」
一刻も早く離れたい母
「中学二年は?」
交渉する父
「中一!!」
それでも譲らない怖がりな母
「わかったわかった、じゃあせめて中学一年の2学期からな?」
妥協する折れた父
「じゃあ2学期に治らないなら約束守ってよ!!
一人暮らしよ!?」
「ハイハイ〜全くイマジナリーフレンドってヤツなんだからさすがに治るだろ
大袈裟な……」
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〜それから時は流れて〜
「あー……なんだ……お前は……一人暮らしをだな〜えっと〜するんだ!
母さんがアレだから……幸から条件があるなら聞くぞ?」
すると、幸は誰かに助言される様に言った、まるで代理で喋っているかの様に
「それじゃ……父さんの名義でアパートの大家で生計立てるから、不動産屋さんに連れて行って、物件選ばせて?」
両親は戸惑いもしたが金に余裕が有った為に、こちらから接触はしないから
幸からも接触はしないと、相互不可侵
という念書を書かされる徹底ぶりで、アパート選びと成った
「えっと〜……このアパート?
うん、これだね……すみません、このアパートでお願いします」
「お……お客さん……中学生ですよね?
大丈夫ですか?」
「平気」
「そ……そうですか……お父さん大丈夫なんですか?」
「ああ〜まぁ……約束だから」
こうして、幸は男子中学生にして大家と成りました
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アパートの生活
『ふう……一段落着いたの〜幸よ』
紅の和服を着たトイレの花子さんを想わせる髪の雛菊という名前の童女が、幸に語りかける
「そうだね、お姉ちゃん」
『幸よ……妾をお姉ちゃんと呼ぶのは人の居ぬ所での?
妾の事が未だ見える幸は妾にとって特別じゃからの』
「今は僕らだけだよ?」
『うーむ……じゃがのぅ……お姉ちゃんと呼び、親の前で妾と会話した所為でのぅ……勘当同然に追い出されたじゃろ?』
「でもボク、お姉ちゃんと一緒なら何処でも良いよ?」
『それは嬉しいのじゃが……幸の将来が心配じゃからのぅ……妾の様な姿を隠してる者に当然の様にのぅ……語り合いをすれば……独りぼっちじゃぞ?
人並みの幸せも寄らぬぞ?
例えばの〜婿入りが出来ぬぞ?』
「ボクお姉ちゃんと結婚する……」
『ああもう……ういやつじゃの〜幸は〜♪』
人並み以上の幸せがすぐ側にある幸せ、幸福とは
それに気付くか気付かないか、座敷童子という幸福の塊を実家から連れ出した
この縁起の良い名前の
男子中学生は
この時、実家が衰退の道を辿っている事を、両親も含め知るよしも無かった
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大家に成り、数日後の事でした
福田幸が大家をするアパート、【癒依月荘】に記念すべき入居者が来ました
「どうもすいません……この度、入居する……薄井 幸雄と申します」
それは幸の薄そうな人でしたが、どうもそれは貧乏神らしき何かでも憑いてる所為な様子
「幸雄さんですね?
奇遇ですね〜ボクは幸っていう名前なんですよ」
「幸さんですか……お若く見えますね……まるで中学生みたいで……」
「よく言われます」
『幸よ、幸は中学生なんじゃ
言われるのは当たり前じゃろ?
しかも童顔で
その上男女の区別がしにくい容姿故にの……それより早よう部屋に案内せい』
「はい、それでは御部屋に案内します」
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薄井を部屋に案内した幸は、自分の部屋に戻った
「わりと直ぐに入居者が入ったね、お姉ちゃん」
『当然じゃ、妾の開運を侮るなかれ、幸は幸運で幸福なんじゃ、入居者も運気が上がり、恐らく入居希望者は更に増えるんじゃぞ?』
「おお〜さすがお姉ちゃん〜」
『それだけでは無いぞ?
どんな災厄からも妾が護ってやるのじゃ』
「お姉ちゃん格好いい大好き」
『フフン〜妾とこうして話ても幸を咎める者が居ぬとは
気楽じゃの〜』
「そだね〜」
ほのぼのとした日常会話、座敷童子と話す姿は他者の目に映れば忽ち
檻付の病院へと漏れ無く、強制的な御招待をされるであろう
異様な情景が織り成す
遣る瀬無い気持ちに成る様な……ただただ何も無い空間に話し掛けるという、牡丹灯籠の如く
見ているだけでも切なくなる
そんなやり取りがアパートの一室で行われている事を誰も、否定する者は居ない
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数日後
「いやあ〜幸さん!
このアパートに引っ越してからというもの〜今までが嘘の様に運気が来ましたよ〜!!」
薄井は今までが嘘の様に笑う様になり、福も舞い込んで来ている御様子
「そうですか〜良かったですね〜お姉ちゃんも〜鼻が高いですねこれは〜」
『当然じゃ♪
妾は座敷童子じゃからの〜』
「お姉さんが居るんですか?
一度会ってみたいですね〜」
『妾は、ここに居るぞ?』
「うわあっ!?」
驚きのあまりに座敷童子の雛菊に見事なスクリュードライバー
(レディーキラーのカクテルでは無い)を顔面に叩き込んだかに見えたが、雛菊は人差し指と中指の2本で
顔に刺さる前に、ピタリと止めた
『何をする、妾でなければ大惨事じゃぞ?』
「お姉ちゃんは座敷童子なんですよ〜」
「えっ!?
座敷わらし!?
座敷わらしってあの?
幸福を齎す子供にしか見れない!?」
『如何にも、その通りじゃ。じゃがのぅ……其方は何故
ネジ回しなんぞを持っておるんじゃ?』
「いや……その……工具箱のドライバーがポッキリと経年劣化で折れまして……買いに……」
『成る程のぅ……気を付けるんじゃぞ?
次は其方から妾が運気を吸い出すからの?』
「本当に申し訳ない……」
『まあよい、妾も急に姿を出した故、驚かせてしまったからの』
「ありがとうございます!
ところで……その……座敷童子は子供にしか見れないんじゃ……幸さんや俺はは何故見えて……」
『姿を見せる相手は選べるでの、普段目に見えぬ者は大人からは隠れておるのじゃ』
「どうしてですか!?
座敷わらしなら喜ばれそうですけど……」
『大人はの?
非科学的な存在は否定的で子供の戯言だと信じぬが、座敷童子がいざ姿を現せば欲深な大人ならば
もっと富を、もっと幸福をと
座敷童子を逃がさぬ様に躍起になる奴が多いでの、普段は子供にしか認識出来ぬが、幸は特別なんじゃ……子供にしか認識出来ぬのは、成長に伴い
目に見えぬ者と話す事を周りに咎められ、妾の様な存在を否定するんじゃが、幸は何を言われようと
妾に相も変わらず子供の様に……お姉ちゃん、お姉ちゃん、雛姉〜と甘えて来るのが嬉しゅうての〜』
「えっ? それじゃ俺の前に姿を現して良いんですか!? それに甘えてって……見えてたら見えてたで、事案というか犯罪臭が凄い……」
「ボクは前に一度告白されて、家に居る座敷童子のお姉ちゃんが好きだからって断ってから、ネクラロリコンって呼ばれてるけど気にしないよ?」
『初耳じゃぞ?
誰じゃ幸に当て付けに悪口を広めた奴は……見つけ次第幸福を吸い上げてくれるわ!』
薄井はそそくさと自室に帰って行く、この座敷童子なら欲深な大人の前に姿を現しても余裕で勝てそうだと考えながら
雛菊
[種族:座敷童子 性別:童女 年齢:不明 容姿:おかっぱで、紅の和服を着た姿をした幼女だが、姿はある程度の6〜11歳までの見た目に自由自在に変えられる 髪質:黒髪で艶々なおかっぱだが、長さも変わる 能力や性質等:幸運を上げたり、お手玉を投げたり
お手玉で結界を作ったり、薙刀は達人レベル、手鞠は追尾弾 弱点や能力の代償等:幼女の見た目な為に
身長制限や年齢制限に止められる犯罪レベルな可愛さが仇になる 性格:面倒見が良く、母性的? な性格で幸が大好き 備考:所持品にフラットフォンという人間には入手出来ない機能の
携帯端末があるが幸にも渡してある
因みに和服で、はいてない……何がかは言えないが、はいてない]