再会 12
「な、なんだ?!」
振り返った直後、ローズは驚愕に目を見開く。何故なら自分の背後に、標準サイズのマヤが笑顔で立っていたからだった。しかもやっぱり素っ裸で。
「え、な、ど、どう、え? え、えぇぇ?!」
「あはは、ローズってば驚き過ぎー」
「面白い」
驚きのあまり何を言ってるのかさっぱりわからなくなったローズの反応を、マヤとアーリィはそれぞれに面白がる。だが面白がられている場合じゃないローズは、今度はちゃんと彼女たちに質問をした。
「どうしてマヤ、お前大きくなってるんだ!」
言いながらローズはやっぱりマヤにもバスタオルを押し付ける。小さいままならばまだ何となく裸でも許容できただろう彼女だが、通常の大きさとなるとローズの精神は耐えられるものでは無くなるのだ。
ローズにバスタオルを押し付けられたマヤは、しかしタオルをそのままアーリィに渡して、一糸纏わぬ裸のまま妖しい笑顔でローズに迫る。ローズは恥ずかしいやら何やらで、本気で泣きそうな顔をしながら「ひいぃ!」と小さく悲鳴を上げた。
「うふふっ、驚いちゃって可愛いわねーローズ。そぉんなにアタシの裸見るの恥ずかしいの? それとも自分の見られるのいやなの?」
「りょ、両方! 手、離してくれマヤ! って、何脱がそうとしてるんだ! いやあぁ!」
「だめよーローズ、公共の場で騒いじゃ迷惑になるでしょう?」
「だって、お前が……やめ、下着は自分で脱ぐ……っ!」
「いいからお前は黙ってアタシに脱がされてればいいのよ!」
「うわあぁぁぁあっ!」
標準サイズならば今のローズよりも大きいマヤは、力技でローズを近くの壁に追い詰めてがっちり拘束する。そうしてローズを逃げられないようにして、マヤは心底楽しそうな笑顔でローズを脱がしていく。ハルファスの力が無いローズは抵抗することは出来ず、彼女にされるがまま服を剥ぎ取られていった。
「しっかしいい乳してるわよねー。何食ったらこんな育つわけ? ちょっと今後の参考までに聞かせてよ」
「俺が知るわけないだろ! 大体お前が聞くな! 参考にする必要ないだろう! って、どこ触って……っ……ひっ……やあ、あっ!!」
「おねーちゃん、まやはどうしてきゅうにせがのびたの? せいきょうき? しょうじき、あれがせいちょうきならばうらやましい……」
ローズがマヤに性的に襲われている間に、ミレイはアーリィにマヤ巨大化(?)のからくりをたずねる。アーリィはどう説明しようか悩みながら口を開いた。
「あれは成長期じゃなくて、えっと……手品です!」
「おぉ、てじな! なるほどなっとく、すごい!」
簡単な説明の方法が思いつかなかったので、説明を放棄したアーリィは『手品』の一言で片付けたが、当然マヤが標準サイズに戻れたからくりは手品ではない。
実は元々マヤは大きくなろうと思えばいつでも今現在のような、以前と変わらぬ大きさのサイズに戻る事が出来るのだ。今の状態はローズの魔力で仮の肉体を作り、その肉体に精神を移して実体化しているので、元の大きさで実体化したければ元の大きさの肉体を魔力で作ればいいだけの話。しかしそれには魔人の実体化同様に、仮の肉体を作り維持する魔力が必要となる。仮の肉体は大きさに比例して維持する魔力の消費量が多くなるので、普段常に実体化しているマヤはローズの負担を考えて省エネサイズでいるわけだった。
つまり魔力を多く消費する問題を解決すれば、マヤは一時的にではあるが通常サイズに戻る事が出来る。その問題を解決したのが、先ほどのアーリィの謎の呪文だった。
先ほどアーリィは呪文で一時的にローズと魔力を共有できる状態に繋げて、マヤは今現在ローズと魔力が繋がっているアーリィから魔力を受けて、自分の肉体を作って維持しているのだ。これならば魔力の消費はアーリィのみで、今現在魔力が減って回復期間中のローズに負担はかからない。アーリィもマヤが大きくなっている間は魔力を大幅に消費することになるが、しかし普段は魔法薬を作るくらいでしか魔法を使っていなかった彼女は、一、二時間くらいなら余裕でマヤを実体化させていられる程度には魔力に余裕があった。それに魔力の共有化は余程魔力の性質が似ていて相性がいい者同士でなければ行えない魔術の荒業の一つなのだが、元々アーリィの魔力は”アリアの魔力”なので、魂がアリアと同じローズとはほぼ同性質の魔力を持つ同士と言う事で、やり方を知っているアーリィにとっては共有化も簡単だった。
「……っていう説明を本来はしなきゃいけないんだけど……」
「おねえちゃん、なに? ひとりごと?」
「うん、独り言。それよりマヤたちまだ準備できないみたいだから、先にお風呂入ってよっか?」
「うんうん、はいる!」
「きゅいいぃ~!」