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神化論 after  作者: ユズリ
再会
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再会 4

 ミレイはローズの胸に挟まるマヤをじっと見つめ、未知の存在を分析するように険しい表情を見せる。

 一度記憶が全て初期化されてしまったミレイはローズやマヤのことを覚えていないようで、今回初めて新しくなったミレイと対面したローズとマヤは、ミレイの変わりっぷりも含めて色々と驚いた。

 

「う~ん……やっぱりどうやらこの子はミレイみたいね……なんかこの子からアーリィの魔力をうっすら感じるし」

 

「だが私たちのことは覚えてないようだな……当然と言えば当然なのかもしれないが……」

 

「? この子どもはお前たちの知り合いだったのか?」

 

 マヤとローズの会話から、ジュラードが不思議そうに二人に問う。ローズは「まぁ……」と、苦笑しながら曖昧に頷いた。

 一方でミレイは何故か自分の名前を知っているローズとマヤに警戒感を示す。

 

「おまえたち、なんでみれいのことしってるの……? はっ、もしや赤毛をねらうわるいやつらのなかま……? あるいはいたいけなようじょをねらうへんしつしゃ……」

 

 ミレイはローズたちを不審がり、「どうしよう、こんなまちなかであばれてもだいじょうぶかなぁ」と不吉な呟きを漏らす。その明らかに危険なミレイの発言を聞いて、ローズは「ちょっと待ってくれ、私たちは怪しい者じゃないよ!」と彼女に言った。

 

「……ぱたーんからさっするに、あやしいやつほどじぶんのことをあやしくないという……つまり……」

 

「ちょ、ホントに怪しく無いんだって!」

 

 ますます疑うミレイにローズが困った様子となると、マヤが彼女の代わりにミレイへこう説明をする。

 

「はじめまして。実はアタシたち、アーリィとユーリの知り合いなのよ」

 

「え! おねえちゃんたちの?」

 

 マヤの言葉に、案の定ミレイは驚き興味を示す。マヤは「えぇ」と頷き、言葉を続けた。

 

「あなたのことは二人から聞いたのよ」

 

「なんだ、そうだったんだ」

 

 ミレイは安心したように胸を撫で下ろし、とりあえずローズたちを不審がるのを止める。彼女は三人を見上げ、「おねえちゃんたちにごようなの?」と聞いた。

 

「あぁ、そうなんだ。ちょっと二人に会いたくて……」

 

「ふぅん……あのね、みれいはいまおねえちゃんにたのまれておつかいのさいちゅうなの」

 

「おねえちゃん?」

 

「アーリィのことじゃない?」

 

「そう、みれいのおねえちゃんはあーりぃおねえちゃんなの。おにいちゃんはれいちぇるおにいちゃん」

 

「そ、そうか……」

 

 ローズが頷くと、ミレイは「でも……」と呟いて俯く。また不安を感じたような表情に変わったミレイに、ローズは心配して「どうした?」と聞いた。するとミレイはこう話す。

 

「みれい、おねえちゃんにいわれたおみせがよくわからないの……このへんだとおもうんだけど」

 

 ミレイはひどく困った様子で、「どうしよう、このままじゃかえるのすごくおそくなっちゃう」と呟く。それを聞いたローズはすかさず、「なら私たちも一緒にそのお店を捜すよ」と言った。

 

「な……また勝手に……」

 

 ローズの相談しないでの人助け発言に、早く妹の所に戻りたいジュラードは苦い顔をする。しかし彼女がローズたちの言う”ユーリとアーリィ”という人物と知り合いならば、このまま無視していくわけにもいかない気がするのも確かだ。

 

「いいじゃないか。結局はユーリたちのところに行くわけだし」

 

「……わかったよ」

 

 ローズの笑顔に理解するしかなくて、ジュラードは小さく溜息を吐いて頷く。そうして彼は改めてミレイを観察するように見た。

 

「おまえたち、みれいのてつだいしてくれるの? んーっと……ありがとう」

 

 そう礼儀正しく頭まで下げて礼を告げるミレイは、明らかに見た目が普通ではない。髪色や瞳は勿論だが、何か体の一部分が明らかに生身の人ではないことを物語っていたのだ。

 鋼を肉体に装着した彼女は、本人も含めて特殊な人種が多いローズの知り合いの内の一人なんだなと、ジュラードは奇妙なミレイの姿に自分を納得させた。

 

「それじゃ、まずはこの子の用事を先に済ませちゃいましょう」

 

 マヤはそう言うと、ミレイに「で、あなたの捜しているお店ってなんて言うところ?」と聞く。うさこの存在にまた興味を示して、うさこの耳を指先で恐る恐る触ろうとしていたミレイは、「あ、うん」と顔を上げて握り締めていたメモ用紙をローズたちに見せた。

 

「ここなんだけど、おまえたちわかる?」

 

「ドクトル? 地図が書いてあるな」

 

 ローズたちはメモを見て、ミレイの捜す店がどこなのかを考える。

 

「確かにこの近くのようだが……店の傍に広場があるし」

 

「そうねぇ」

 

「……あ、あっちじゃないか?」

 

 気づいたらしいローズがそう思う方向を指差し、ミレイは「おぉ、もうわかったの!?」と驚いた様子となる。

 

「あぁ、確かに方向的にはそっちっぽいわね。とりあえず行ってみましょうか」


「さすがおねえちゃんのしりあい、たよりになる」

 

 いつの間にかミレイは何か気に入ったらしいうさこを腕に抱え、「じゃあそっちいこう」と言って率先して歩き始める。ジュラードやローズも、彼女の後をついて行った。

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