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神化論 after  作者: ユズリ
古代竜狩り
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古代竜狩り 60

 ジュラードの話を聞いて、ローズは地面に手を触れながら考えるように「うーん」と唸る。

 

「……確かにそうなのかも……まさかって思うが、だがここは長く放置されている場所と聞いてたわりには、よく見れば内部が補修されてたりして保たれてるし……」

 

 そんなふうに二人が話をしていると、急にうさこがジュラードの頭の上で激しく揺れだす。

 

「きゅきゅっ、きゅうぅ……っ」

 

「ちょ、なんだうさこ……やめろ、静かにしてろって」

 

 ブルブルと激しく震えるうさこにジュラードがそう注意を告げたが、しかしうさこの震えは止まらない。むしろうさこは何かに怯えるように、か細く鳴きながらなおいっそう激しく揺れた。

 

「?」

 

 うさこの異常な怯え方に気づいてジュラードが首を傾げた時、ローズが緊張した声音でジュラードの名を呼んだ。

 

「ジュラード」

 

 小さく、しかし強い緊張を孕んだ声でそう自分を呼んだローズへと視線を向ける。ローズは立ち上がり、進行方向の闇へ鋭い視線を向けていた。

 

「どうし、た……?」

 

「……あっちだ。やはり何かいる……それも、すごく危険な存在だ」

 

 返事をしたジュラードにローズがそう言葉を返し、彼女は闇を見つめたまま「ハルファスが警戒しろと言っている」とも付け足す。うさこの怯え方といいその警告といい、やはり不吉な予感しかしない闇の先に、ジュラードは背筋が寒くなるのを感じた。

 

「ドラゴンか……?」

 

「わからない……だが、ハルファスがこれだけ警戒するってことはそうかもな」

 

 問いかけるジュラードに、ローズが前方を見つめたままそう答える。さらに「それも、相当強いドラゴンだろう」と続けた。

 

「もしかして……ギガ・ドラゴン」

 

「……」

 

 ジュラードの呟きに対してローズは否定も肯定もせずに、無言で一歩を踏み出す。そんな彼女の後を追うように、ジュラードも極力音を消しながら歩みを進めた。

 

 

 何かここには不思議な空気が漂っていると、ローズの背中を追いながら進むジュラードは感じていた。

 先ほどは緊張と恐怖で気づかなかったが、少し心が落ち着くと、この場所に漂う不思議な気配に何となく気づく。

 

「……」

 

 うまく言葉に出来ないが、何か肌にまとわり付くような気配……確かにそんなものを感じる。

 だが果たしてローズはそれを感じているのかと、ジュラードは無言で先を進むローズの背中を見ながら思った。

 

 

 ジュラードがローズに声をかけようか迷いながら進んでいると、唐突にローズが足を止める。ジュラードも足を止め、彼女の背中に「どうした?」と声をかけた。するとローズは前方を指差しながら、「光がある」と呟く。

 

「え?」

 

 ジュラードが怪訝な表情で問い返すと、ローズは「ほら、あっちの方を見てくれ」とジュラードに振り返りながら言った。そうしてジュラードがローズの指し示す方向をよく見てみると、確かに何か青白い光のようなものが見えるのに気がつく。

 かなり弱い光だが、確かに青白く輝くものが地面から見える。ローズとジュラードは一瞬顔を見合わせた後、無言で光のある方向へと足を進めた。

 

 慎重に、しかし小走りに光のある方向へと二人は進む。やがて闇をうっすら照らしている謎の光が近くなると、先を歩いていたローズが再び足を止めた。

 ジュラードも同じように足を止めて、そして彼は驚愕したように目を見開いた。

 

「これは……!」

 

 驚いて思わずさらに一歩前へ足を踏み出そうとしたジュラードを、ローズがその肩を掴んで止める。当然だ、それ以上前に進めば大変なことになる。

 

「ジュラード、落ちるぞ」

 

「っ……わ、悪い……」

 

 言いながら、ジュラードは一歩後ろへと下がる。そうしてジュラードは足は踏み出さず、覗き込むように足元を見つめた。

 ジュラードの視線の先では、二人が歩いていた道が唐突に途切れている。そしてその途切れた道の先に続く下層には、巨大なドーム状の空間が広がっていた。

 

「なんだ、これは……」

 

 明らかに人の手によって開拓された地下とは違う光景がそこにはあった。

 下層を覗き込むジュラードの瞳に、仄かに蒼い光が映る。一切光の無いはずの地層深くだが、この地層深くの洞窟だけはほの暗い蒼の光に内部を照らされていた。

 光の正体は、洞窟内のあちこちに点在する小さな池のような水溜りだった。いや、正確にはそこにたまる水だ。果たして水といっていいのかジュラードにはわからなかったが、水のような何かが青く輝きながら、この地層深くの洞窟内部を照らしていた。

 さらによく観察をすると、広大なドーム状の空間は鍾乳洞のような洞窟で、そのあちこちには水晶のような透き通る鉱物が塊となって存在している。それらは不思議に光る水の輝きを受けて、神秘的な青に輝いていた。

 

 思わず見とれてしまうような美しい光景に、ローズとジュラードは数秒眼下を見下ろしながら沈黙する。しかし突如足場を揺らす振動が起きて、茫然とその光景に見とれていた二人はハッと我に返った。

 

「きゅい、きゅいぃーっ!」

 

 うさこが涙目で怯える中、揺れの中心がまさに今見ている不思議な地下洞窟だとジュラードは気づく。当然ローズもそれに気づいているだろう。ジュラードがローズに視線を向けると、彼女は真紅の瞳に深い青の光を映しながら唇を開いた。

 

「この場所……そうか、ここはそういうことだったのか……じゃあ、あの蒼い光は……」

 

「?」

 

 何か不思議な事を呟くローズに、ジュラードが疑問の眼差しを向ける。だがその言葉の説明を求める前に、突如凄まじい破砕音と共に、岩壁を突き破って幻想的な洞窟内に”それ”が姿を現した。

 

「!?」

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