救済の方法 3
「それじゃローズ、ウネ、準備はいいか?」
「私はいつでも大丈夫」
「わ、私も……平気だ……」
ウネとローズ、それぞれの返事を聞いたジュラードは、「じゃあ持ち上げるからな」と言ってローズの後ろに回る。そして屈んだ姿勢で彼女の腰に腕を回した。
「ひっ……」
「ちょ、変な声出すな」
変に意識して緊張するローズにジュラードが苦い顔を見せ、彼は気にしないようにして彼女を持ち上げる。
「よっ、と……」
ジュラードが気合を入れてローズを抱え上げると、ローズは「うわあぁ」と情けない声を上げたが無事に持ち上がることは出来た。
「わ、わ、これで、どぉすれば……っ」
体が持ち上がったのはいいが、ここから自分はどうすればいいのかと混乱するローズに、ジューザスが声をかける。
「ローズ君、そのまま腕を伸ばして。ウネに掴んでもらえるように」
「わわわ、わかった」
ガクガクと何度も首を縦に振りながら、ローズはジューザスの言葉に従って上へと手を伸ばす。そうしてローズが腕を伸ばすと、ウネがそれを掴んで「このまま引き上げる」と言った。
ウネがローズを引っ張り上げると、ローズの体は徐々に上へと持ち上がる。だが頭が窓枠の位置を越えたところで、ローズを引っ張り上げていたウネの手が止まる。
「?」
何かに引っかかるような感触が邪魔をして、ローズがなかなか持ち上がらない。
不思議に思ったウネがさらに力任せにローズを引っ張り上げようとすると、突然ローズは涙目になって叫んだ。
「いい痛い痛い痛いっ!」
何が痛いのかウネには最初わからなかったが、作業を見ていたユーリがボソッと「胸が引っかかってますよー」と言うのが聞えて理解する。
どうもあのマヤをも挟める巨乳が大きすぎて、窓枠に引っかかって持ち上げられなかったらしい。
「……ローズ、その邪魔な胸どうにか減らせないの?」
ウネがそう真顔で聞くと、ローズはますます涙目になって「私も出来ればそうしたいけど無理なんだ」と答えた。
「胸はどうにも出来ないから、なんとか上手く引き上げてくれっ」
「……わかった」
仕方なくウネは持ち上げ方を工夫して、胸が引っかからないようにして引き上げを再開させる。それでもやっぱり微妙に引っかかるらしく、ローズは時々呻き声を発していた。
「ほらアーリィ、胸大きくてもいいことばかりじゃないだろ?」
ウネの頑張りを眺めていたユーリがそう隣に立つアーリィへ向けて言うと、アーリィはひどく複雑な表情のまま「それでも羨ましいかもしれない」と呟いた。
「つ、疲れた……」
物凄い精神の消耗をしながら何とか建物内へと入れたローズは、自分を引き上げてくれたウネに「ありがとう」と告げる。ウネは「気にしないで」と返事も表情同様クールに返し、彼女はまだ外に残る人たちに意識を向けた。
「さ、次は誰? ジューザス、あなたを引っ張り上げればいい?」
「え? いや、私は引っ張ってもらわなくても大丈夫だと思いたいけども……」
やたら男らしいウネに苦笑を漏らしながら遠慮し、ジューザスはアーリィに視線を向ける。
「じゃ、男性は後ってことで。次はアーリィ、君が入るといい」
ジューザスにそう声をかけられたアーリィは、しかし困ったような表情を返してこう言った。
「私も自力でいける自信が無い……」
「あぁ、ならそれは俺が手伝うわ」
今度はユーリが補助してくれることになり、アーリィは彼に「ありがとう」と少し照れた様子で告げる。ユーリはそんなアーリィに笑顔を返し、「いいよ」と返した。
「さすがにこれはジュラードに任せるわけにはいかねぇからなー」
そう言ってユーリは笑いながらさり気なくアーリィの背後に回り、何の前触れも合図も無くさっさとアーリィを抱き上げる。そのユーリの早業に、何一つ心の準備が出来ていなかったアーリィは驚きのあまり思わず叫んだ。
「ひゃあああぁっ!」
「アーリィ、静かにっ」
ジュラードが注意すると、アーリィはハッとしたように口を閉ざす。
ユーリに対して色々言いたいことがあったアーリィは、しかし静かに口を閉ざしてウネに手を掴んで引き上げを行ってもらった。
「……これで……アーリィも引き上げられたわ」
「……」
とくにトラブルもなくウネにあっさり引き上げてもらったアーリィは、何もトラブルが無かったことが不満なのか、しきりに自分の胸を摩りながら何かを言いたそうにローズを見る。その視線に気づかないふりをしながら、ローズはまだ外に残っているジュラードたちに声をかけた。
「お前たちも早く中に入ったほうがいいぞ。ちょっと今騒いでしまったから、人が来ないか心配だ」
「わかってるって」
ローズの言葉にユーリが返事をして、彼は「んで、どーする?」とジュラードたちに問いかける。
「次誰行く?」
「そうだね……ジュラード君は行けそう?」
「正直あまり自信は無いが……」
ジューザスの問いに正直に答えたジュラードは、しかし手伝ってもらうのは何か男のプライド的に嫌なので「だがやってみる」と返事をした。
そうして次はジュラードが中に侵入ということになる。彼は気合を入れ、まずは窓枠に手をかけた。
背は高いので窓枠に手をかけることくらいは余裕だったジュラードだが、ここからが高難易度だった。
わりと図体でかい自分の体を自分の腕力で持ち上げるのはやはり無理な注文のようで、頑張ってみるがさっぱり体が上へといかない。やがてジュラードは諦め、「無理だ」と潔く言った。
「そ、そうみたいだね……じゃあやっぱり何か手伝わないと」
「でも俺にジュラードを抱っこ出来る自信はねぇしなー」
ユーリの言葉に、ジュラードは真面目な顔で「俺もそれは嫌だ」と言ってからこう続ける。




