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赤い日記帳  作者: 大和香織子
第一章 事件
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広田ひろた 輝夫てるお 40歳 自営業

_____十二日ですか?


 その日は、一日中営業回りをしていました。

藤崎さんの奥さまが、このような事件に巻き込まれ、お悔やみを申し上げます。


_____藤崎さん夫妻との関係ですか?


 藤崎さんのご主人とは、もう十数年来の付き合いです。

 学生時代同じ所でバイトをしていた時に、覚えも悪く失敗ばかりの僕を助けてくれたのが藤崎さんでした。

 彼は昔から優しく仕事も出来ていました。


 藤崎さんが結婚する際に、住む場所を探しているというので、自分の所の物件を格安で紹介したんです。

 二人ともすごく気に入ってくれました。


 その奥さまとは、それからお会いしていませんでしたが、今から二年前でしょうか、僕が経営する不動産会社に訪ねてきまして…言いにくい事なのですが、いずれ分かることでしょうから言うのですが、その、思いもよらず深い関係になってしまいました。


_____深い関係とはつまり肉体関係のことか?


 …はい。

 友人である、藤崎さんを裏切ることになってしまい、僕も辛いし何とお詫びをしたら良いのか分かりません。


 ただ、彼女はご主人との関係がうまくいっていないようでした。

 それで、別居を考えているので格安物件を紹介して欲しいと頼まれたんです。


 ご主人の事もよく知っているので、迷いましたが仕事は仕事ですので紹介したんです。


 ここから車で20分ほどのアパートを紹介しましたが、娘さんをそこから幼稚園に通わせるのには遠すぎると言うので、結局契約には至りませんでした。


 しかし、後日僕の所に来て「ご主人から暴力を受けているので助けてほしい」と涙ながらに言われ、他に行く当てのない彼女を放っておくことが出来ず、僕の家に来てもらうことにしたんです。


 空いた物件はあっても、ガスなどもついていませんし、僕も悩んだ末の決断です。

 …それでポロポロ涙を流しながら、彼女は服を肩から下にずらして身体に出来た大きな痣を見せてきたんです。


 僕は、弱々しい彼女を目の前にしてどうしても我慢することが出来なかったんです。


 それからというもの、彼女は落ち込むことがあったからと言って家に来るようになりました。


 断りたかったのですが、関係を持ってしまったという罪悪感と、情がうつってしまったのもあり断ることが出来ませんでした。

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