表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/3

The Midnight Carnival 2

ラーメンを食った帰り道、なぜあそこのラーメンは重くて胃にくるかを考えていた。

(スープの味が濃いのはもちろん、麺が粉っぽいからだろうな)

 そのようにラーメンを考察し、スマホの野球の速報を見て電車に揺られていた。

「ゲンザイ、9カイウラ、5タイ1でベアーズ、マケテイマス」

 イヤホンから聴こえる無機質な声。「そんなの見ればわかるわ」と言いたいような情報を垂れ流しているのは携帯に搭載されていたAI、つまりは人工知能だった。

 PAS(personal agent system)。日本のトランス電子工業から発表されたAIシステムであった。

 その人の趣向や職業に合わせた情報収集、記事やアプリの紹介、スケジュールの管理や物事の予測などを行ってくれるAIだ。

 しかし内容はお粗末で、明らかに自分に合ってない情報を集めてきたし(この前はさくらんぼ種飛ばし大会の要項を紹介してきた)、予測はお世辞でも正確とは言えないようなものであった。

(トランス電子工業ね…)

「ザンネンナガラ、ベアーズハ、マケルトオモワレマス」

(うるせえ。野球は2アウトからだ。知った口を聞くなポンコツ)

 こんなポンコツシステムなのにお値段なんと五万円。トランス電子に就職した教え子がオススメしなければ絶対に買わなかったものを。

 

自宅の最寄駅に着いてからも苦悩は続く。

 切らしたボトルコーヒーとジンジャエールを2つずつ近所のスーパーで調達したはいいもののなかなかに重かったのだ。

(重い…この前切れそうな時に買いに行かなかった自分を呪うべきか、はたまた自分の消費量を呪うべきか)

 ボトルコーヒーとジンジェールは最低限必要な物資であった。少なくても自分にとっては。

 スーパーから5分程度歩いたところにマンションがあったため、右腕がとても鍛えられるようだった。

 

(ポストには…入っているか)

 桐谷はちゃんとポストに鍵を入れていたようだ。一安心しつつロビーのオートロックを開け、エレベーターに乗る。

902号が彼の部屋で、904号が桐谷の部屋であるが9階には5部屋しかなく、そもそもフロアが広いわけでもなく、むしろ狭い。


いつもと変わらない帰宅。一ついつもと変わった風景があった。


 黒く、黒い何か。よく見たら黒髪ゴスロリの中学生くらいの少女がうずくまっていたのである。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ