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序章 かえるべきところ

序章 かえるべきところ



 15年前、とある地方都市の高校の卒業式にて

 

 五人の少年が別れを惜しんでいた。

「まさかバラバラになるとはな」

 重々しい口調で少年は語る。その表情は別れのかなしさ以上に無念さ、悔しさが現れているようだった。

「まあ、今生の別れって訳じゃないんだからさ」

 そう言って場を紛らわそうとした少年の顔にも暗く影が落としている。

「いずれまた。連絡は途絶え無いようにしようぜ」

 そういった3人目の少年は作り笑いを浮かべている。

 そういいつつ、彼らは別れた後、連絡を取り合うことはしばらくないのだが。

「そうだな。俺はここに残るから実家に戻った時とかまた会おうぜ」

 一人一人が一言ずつ語る。別れの言葉とは思え無いほど足り無い言葉であるが、当人たちの目はこれ以上の別れの言葉は語るに及ば無いと語っている。

 その中に言葉を語らない少年が一人。

 その少年は感覚的にわかっていた。これが今生の別れになることも。たとえ次会う機会があったとしてもその友人は別人以外の何物でもないことも。他四人もわかっていた思うが、四人に対する劣等感の強い彼はよりひしひしとそのことが感じられた。


 やがてうつむきながら彼らは別れゆく。一人二人と去っていく。

 最後に残ったのは言葉を語らなかった少年であった。

 彼は心の中で思っていた。もう劣等感を抱く必要はないと。奇妙な話であるが、彼はこの時を心待ちにしていたのだと思う。

 そうして最後まで残った彼は周りの桜を眺めて、家に帰ってゲームをした。


 これが彼らの原点であった。

 つまりはこれが日本を震わす闘争の原点であったのだ。

 この少年たちの出会いと別れが…


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