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デビルズカード【赤】  作者: にがよもぎ
6/14

ハート5 スペード9

 朝目が覚めて、体チェック、部屋チェック、異常なし。


「あ、あ」


 声、異常なし。

いったい何を交換されたのだろう、分からない。

学校へ行かねば、気が重い。

それでも行かねば、何をされたか分からない。


 とにかく身支度。

うちの高校は私服通学。

さすがにスカートを穿く勇気が無い。

悩む時間が惜しいので昨夜からジーンズを引っ張り出して有る。

パンをかじりながらも視線はきょろきょろと動く。

分からない。


駅からの通学路、玲奈たち女の子を追い抜く。


「え~、ホントに彼にあげちゃったんだ」

「えーうっそぉ」

「だって優勝したんだもん。だから昨日……」


 思わず足が止りそうになるが、聞こえない振りをして歩く。

神経は完全に後ろに集中。


「痛かったけど……」


 許せない、一言もんくを言ってやら無いと。

あいつは、たしかこの時間ならサッカー部の部室に、あれ……何で知ってるんだろう。

まぁいいや、きっちり釘を刺しとかないと。


 あいつは試合後で練習が休みの時も朝早く来てボールを磨いていた。

私が部屋に入るとボールを置き、出ていこうとする。

とっさに掴んだ手首が細い。

私の手首だから。


「何の用だ?」

「玲奈のことよ」

「お前には関係のないことだ」

「有るわ、親友だもの。それを、私の、私の体を使って……」

「そこが問題なのかよ。確かにこの姿で一線は越えたが、あそこは俺のままで……お前、もしかして俺にやきもち焼いてるのか?」

「そ、そんなこと有るわけないじゃない」

「だったかまうな、俺はサッカーで推薦が取れるんだ。たっぷりと高校生ライフを楽しむんだ。お前はひたすら本でも読んで勉強でもしてればいいさ。それからここには二度と来るな。ここは外からよく見えるんだ。ここは覗き見するやつが多すぎて困る」


 覗き見なんてしたい人にはさせ……覗き見……赤いアレが居た。


「平日は妹が塾で、わかるだろ? いつも夜7時ごろまで彼女がいるんだ。学校で噂にならないように覗かれないようにしてるんだけどね」


 なんか訳の分かったようなわからないような。

うちの場合、お父さんは残業で11時ごろ帰宅。

お母さんは妹の塾のお迎えでやはり10時ごろまで……。

だから夜、玲奈が来てウッフンアッハン、覗く……覗く?

間違いなくジョーカーはあっちに行くだろう。

そうしたら私は、本を読んでお勉強?

もしかしたら。


 考え事をしていたら朝礼に遅れて叱られた。

えっと、何かひらめきかけたたような、なんだっけ。

叱られた拍子に忘れてしまった。

あいつは涼しい顔をして席についている。

やっぱり腹が立つ、ね!


 ところで私、なぜにこいつと和んでいたのだろう。

こいつは彼の仇、彼?……もちろん、そう本田君……。

なぜにすぐ出てこないんだろう??

もしかして怪しい術でも掛けられているのかも、注意しなくっちゃ。

授業中、さらに詳しく言うとテスト中、こんなことを考えていれば惨敗確定。

益々腹が立つ、ムキーー。

その日、あいつは暇があると玲奈といちゃついていた。

私の目から見れば、女同士で戯れているように見えるのだが、ほんわりと、ピンクのオーラを出し続けているのに変わりがない。

同じクラス、見ているだけでイライラする。


 あとで客観的に思い出してみれば、この時あたりから明らかに私の中の【怒り】が変質していた。

ただそれはカードによって変えられたものではなかった。

この日取り換えられたものは、家に帰って見つけたのだから。


 家に帰って、掃除洗濯、時計をふと見ると……あいつ今頃……玲奈とウッフンアッハンするんだとぉ!


 なぜに私が怒らにゃらなないのだ。

うん、平常心。

本でも読むか。

私の愛読書……恋愛占い……がなくて何これ?

洋書?

英語でもないし、何語だろ。

細かく丁寧に日本語で注釈が入っている。

表題はわからないけど、これ【悪魔】について書いてある。


 えっと召喚の仕方……人間の心臓を13個、ハイ無理です、できっこない。

新聞の切り抜きが挟んである。

ホームレス連続失踪……一人の遺体が……心臓が……猟奇殺人!

この近くじゃない、知らなかった。


 取り敢えず、付箋の張ってあるところを見ていく。

悪魔を召喚するのには二人で……。

二人、の下に赤いアンダーライン。

創刊した二人は、悪魔の使徒になるらしい。

鉛筆で書いてある。

あいつの字だ。

?なんであいつの字なんて知っているのだろう。

とにかく読もう。

”1人倒した。”

あいつが?

悪魔の使徒を?

とにかく読み進む。

”悪魔は嘘が付けないと嘘をつく”に赤で強く協調。

そして、デビルズトレードの本当のルール。

非常にありがたい、けど。


 これって、あいつが【愛読書】かなんかを交換したんだよね。

なぜ??

これが本日一番の謎だった。


 その日が終わる前にまた赤いジョーカーが現れてあの部屋に行った。

ハート5 スペード9

当然のように私は負け、あいつは何かを交換した。




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