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序節 『始まりの節』 七話 罠

ヘルト大迷宮は現在43階層まで攻略され、そこの階までは詳細な地図と、出現するモンスターが調べ上げられている。

今回はおっさんが5階層までの地図を全員に配った。

一階層にはゴブリンとスライムが出てくるらしい。どちらも先日の合同演習で戦った相手だからそこまで緊張をしてるやつは居ない。

この迷宮は途中で中の環境が変わるため総合力が必要ならしい。ちなみに環境が変わるのは10階層ごとらしい。この階層は洞窟のように入り組んでいて、分かれ道が多く存在している。


周りに気を配りながら通路を進んでいくと、少し先の横道からスライムが出てきた。


「戦闘準備!スライムだからって気を抜くなよ!」


おっさんの号令で気を引き締める。スライムは近づかなければ魔法で簡単に倒せるので、重騎士シールダーが盾などを構え、魔法師マジシャンが後方から魔法を撃つ。

今回は火の初級魔法、「ファイヤーボール」を撃つ。

狙いは寸分違わずスライムの中の核を打ち抜き、スライムは核を残して消滅する。


「よし、倒したな。終わったすぐが肝心だからな。戦闘が終わったすぐに一番気を張るようにしろ」


おっさんは所々でアドバイスをしていく。セフィルさんは王城に待機らしい。さすがに師団の団長が城を開けるのはまずいってことだろう。


ゴブリンとの戦闘もスライムとあまり変わることがなく、遠距離からの魔法で全て仕留めていく。

この階層は纏まって出てくることがないから初心者の練習には最適な階だな。


その後10分ほどで1階層を抜け、2階層への階段から下へと降りていく。


2階層は1階層とあまり変わりない。地図を見てみると、1階層の魔物が集団で出てくるようになるだけらしい。


戦闘に関しては俺たち前衛攻撃組と中衛組はあまり参加していない。と思っていた矢先、これは戦闘訓練だからと言うことで魔法師組は攻撃禁止をおっさんから言い渡された。


それからすぐにゴブリンの集団と遭遇する。数は6体。まずはひきつけてから、中衛組が槍などで一撃を加える。怯んだところで俺たち前衛組が飛び出し、一体につき三人でかかる。

もともとそんなに体力が高くないのか、三人が1度ずつ攻撃するだけで倒すことができた。ちなみに俺はかなり威力を抑えて攻撃している。ゴブリン相手に全力は流石にオーバーキルすぎる。


結局、2階層も特に目立ったこともなく進んだ。


3階層になると、ブラッドバッドという蝙蝠型の魔物と、ウルフと言うなんのひねりもない狼型の魔物も出てくるようになった。

迷宮では出てくるモンスターは前半は基本的に追加されていくだけのようだ。


ブラッドバッドに関しては中衛組の槍と魔法で一掃。ウルフはまたまた中衛の槍で怯ませ前衛が仕留めるという連携だ。

槍って重要だな。そりゃ戦国時代にあれだけ使われるわけだ。


3階層では赤名が通路の横道に宝箱を見つけ取りに行こうとしたらウルフが突然出現して慌てる場面はあったが、それ以外は特筆することもなく4階層へ進んだ。

宝箱からはマジックポーションが出てきて赤名は残念そうだ。少し笑ってしまったのは秘密だ。


4階層はウルフリーダー、ゴブリンリーダーなどそれぞれのリーダー格のやつが出てきて他のやつを纏めて近づいてきたので、前の階層に比べると少し時間がかかった。


リーダー格のやつは、他の個体よりも大きかったり、武器を持ってたりしてなかなか面倒だった。



「お前ら、とうとう5階層だ。ボスも出てくるから気を抜くなよ」


迷宮は5階層ごとにボスが出てくるが、厄介なのは階層のどこにいるか分からない点だ。所謂ボス部屋というのがなく、フロアのどこかをずっと徘徊してるらしい。だから、他の魔物と同時に戦わなくてはならなくなる時もあって、少なからず危険が伴う。

10階層ごとにいるボスに関してはボス部屋があるが、その分かなり強力になっているらしい。


「おっさん、ここのボスのファングってのはどんなのなんだ?」

「ああ、ファングってのは二足で歩く狼みたいなやつだ」


要するにオオカミ男とかそんなところか。だが厄介だな。狼はもともと脚力が強いが、それがそのまま攻撃に使われるとなると今の重騎士隊が抑えれるかどうか。


「優也、ファングの攻撃は直で受けるな。確実にダメージを受けないためなら盾で攻撃を流せ」

「って言われてもな。まあ、俺なりに頑張ってみるわ」


優也には無理をさせるかもしれないが、少しでも長くならないようしてやらなくちゃな。




「ファング出現!重騎士隊前へ!魔法師隊構え!お前ら気を抜いたら死ぬと思え!」

『了解!』


全員の声が響く。

あれから30分探索をしていると、ある部屋に辿りついてさあ休憩というところで、反対側の入り口からファングが入ってきた。

ファングはオオカミ男と言ってたが、大きさは俺たちの3倍ほどある。その大きさのせいか、半数が逃げ腰になってる。部屋は4方向から入れる大部屋で、他の通路も警戒しとかないといけない。



ファングがこちらを発見して走ってくる。重騎士隊はその圧力に逃げそうになるがなんとか踏みとどまり、ファングの上からの叩きつけをなんとか防いだ、が、


「「「ぐぁっ!!!」」」


いかんせん威力が高くて、3人が俺たちのところまで吹き飛ばされた。

すぐさま治療師ヒーラー隊が回復をする。ファングは叩きつけた後に離れるのではなく、体重をかけて押しつぶそうとしている。そこに牽制のファイアーボールが後方から飛んでくる。

火を嫌ったのかファングは素早く避けて後方に下がった。

そこに魔法師隊の魔法がさらに追撃をかける。避けた直後だったが、何発かが命中しファングが怯む。そこをすかさず中衛職の梨乃達が攻撃を加える。その間に俺たち前衛職はファングを囲むように広がり、中衛の攻撃の合間を縫って攻撃していく。

重騎士隊はそれぞれが散開し、攻撃が加えられそうになったらすぐさま間に入って攻撃を受け止めている。

他の奴らもその連携に慣れてきて徐々に動きが良くなっていっている。


それから10分後、ファングは地響きと共に地に伏した。

ファングが倒れた瞬間、


「よぉっしゃあぁぁぁ!」

「やったぁぁ!」


などと全員が喜びを分かち合っている。かくいう俺も、初めてのボスを倒すことができて少なからず喜んでいた。


「優也、お疲れさん。いい仕事っぷりだったぜ」

「ああ、遼か。重騎士だから受けなきゃなんねーのは分かるが生きた心地しねーよあれ」

「ははは、だろうな」


優也と話をしていると、


パチパチパチパチ


どこからか拍手の音が聞こえてくる。


「いやー、勇者の皆さん初めてのボス戦にしては良かったですねー」

「誰だお前は!」


赤名が叫ぶ。


「私ですか?私は……そうですね、零。とでお呼びください」

「で?その零が何の用だ」

「つれないですね〜。そんなに怖い顔しないでくださいよ」

「いいから答えろ」

「怖い方は嫌われますよ?私の目的はですねあなた達にこれをはめるために来た。タダそれだけです」

「なんだそれは?」


男が取り出したのはチョーカーらしきもの。何人かは薄々勘付いているようだが、それが外れてくれるのを俺も願っている。


「いえ、ただの隷属の首輪。ですよ」

「おい、てめぇらなに俺の教え子にしようとしてくれてんだ?」

「あなたは黙っていてください。これは上の決定です」

「その計画は破棄されたはずだろう!なぜ実行している!」

「ああもう煩いですね。少し黙っていてください」

「かはっ!」


おっさんの首に手刀が落とされ、おっさんが倒れる。


「では皆さん観念してくださいね?」

「お前ら逃げろ!」


赤名の掛け声で一斉に出口へと向かう。

だが俺はその出口を出る寸前で立ち止まる。


「遼!何してるの!早く逃げるよ!」

「梨乃、先に行け。こいつらとじゃレベルが違いすぎる。誰かが足止めしなきゃ逃げきれない!」

「でも遼が残ることないでしょ!」

「どうせ誰かしないといけないんだ。俺が適任だろ?」

「おい天地!何してんだ!ここは俺がやる!」

「お前はまとめ役だろうが!お前が抜けたらこいつらは何もできねぇ!お前が連れてけ!」

「だが!」

「いいから早く行け!」

「っく!分かった。死ぬなよ!」

「遼を置いて行けるわけないでしょ!」

「優也!梨乃を連れて逃げろ!」

「遼!お前だけ置いて行けるわけn「お前らを危険にさらしたくないんだよ!」……だろ」

「それでも!」

「優也!頼む!」

「………すまん遼」

「ちょっと優也!なにしてんの!私は残る!遼を置いていけない!離して!」

「あらあら、青春してらっしゃいますね。でも過信は良くありませんね。あなた一人で抑え切れるとでも?」

「抑えれるかじゃねぇ、抑え切るんだよ」

「ほおほお、かっこいいことを仰いますね。では一つ教えてあげましょう。逃げたあの方達ですが、確実に捕まります」

「そんなんわかんねぇだろ」

「いえいえ、それが分かっちゃうんですよ。なにせ外には何十人も私の仲間が居るんですよ。だから今のあの方達では到底逃げ切れ無いでしょうねぇー」

「ならお前を倒して助けに行くだけだ」

「そうですか。では倒してみてください」


その言葉が嫌に部屋に響き渡った。

何者なのでしょうねぇ、零って。


次回は多分戦闘回。楽しみに待っててね。


更新は土日に一、二話くらいかな

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