序節 『始まりの節』 二話 王の間の謁見
1月1日 何ヶ所か訂正しました。
天職のフリはどうしようもなかった…
「や、やったわ!成功よ!」
聞いたことのない声によって意識を覚醒させる。
床に寝ていたらしく、上半身を起こして周りを見るとフードを被った怪しい人物が五、六人周りを囲んでいる。それとはべつに一人、ドレスを着込んでいる人がいる。
あれがレイシスが言っていた姫様かな。
「勇者様方、ようこそいらっしゃいました。説明は王の間でいたしますのでこちらへ置いてください」
そう言いながら礼をして、歩いて行く。
周りの奴らも状況が飲み込めてないが、姫様についていかないと余計に面倒になりそうだと理解したようで、戸惑いながらも付いて行くことにしたようだ。
無論俺はレイシスに話を聞いていたので、落ち着いている。
「遼!無事だったか。他のみんなは向こうにいて無事だぞ」
「ああ、優也も無事だったか。そうだな、みんなのとこに行っとくかな」
後ろから走ってきた優也に付いて集団の後ろに向かう。
「あ、遼ー!こっちこっち!」
「梨乃、大丈夫だったか?」
「う、うん。遼も大丈夫だったの?」
「お兄ちゃん!私の事も忘れないでよね!」
「はいはい、秋葉も大丈夫だったか?」
「ぶぅー、扱いがぞんざいだよお兄ちゃん!」
「麗菜も大丈夫か?」
「は、はい!秋葉さんや梨乃さんがいらっしゃったので」
「そうか、ところでみんなはどんな能力を貰ったんだ?」
「?俺たちは能力ってより天職を決めるって感じだったな。ちなみに俺は【重騎士】《シールダー》だ。で、梨乃が【聖騎士】《パラディン》、秋葉ちゃんが【魔導士】《マジシャン》、麗菜ちゃんが【治療師】《ヒーラー》だったはずだ」
「あれ?なんで優也が全員の知ってんだ?」
「なんでって、ここにいる皆、同じ空間にいて一人づつ天職を決めてったんだぞ?だからお前が居なくて焦ってたんだよ」
「そういうことか。ちなみに俺は【天地従属者】《ネイチャー・ルーラー》だ」
「え?なんか俺たちよりも強そうなのは気のせいか?」
「優也、多分気のせいじゃないぞ。一応自称最高神からもらった能力だしな」
あの場でレイシスが最高神だなんて確かめようもないし、今は自称最高神の呼び名でいいかなと話しながら思った。
「遼、そろそろ着きそうよ?」
「皆様、こちらが王の間です。では、中に入ったら静かにお願いします」
梨乃が話してくると、姫様が振り返り指示を出してきた。俺たちはそれに従い王の間へゾロゾロと入っていった。
「勇者の皆様、ようこそいらっしゃいました。私はヘリアス国王、メルゼリア・ツェフ・ロイド・レイシスです。ここまで案内したのが娘のセルシアです」
「はい。御紹介に預かりましたセルシア・ツェフ・リウネ・レイシスです」
そう言いながら二人とも頭を下げてきた。
そして、姫様が一歩前に出てきて、
「これからの説明は私の方からさせていただきます。ここはセルフェムという世界のヘリアス王国です」
「お、おい!ちょっと待てよ!なんでこんなことなってやがんだよ!」
そう叫び出したのは、クラスの問題児赤名宗弥だ。
「赤名。ちょっと黙ってろ。現状把握ができんだろ」
俺はあいつの言葉を即座に切り捨てる。普段からあいつの行動は目に余る物があった。ここで誰かが手綱を握っとかないと問題を起こしそうだしな。
「っ!天地、偉そうなこと言ってんじゃねーぞ?」
「ほう?お前が俺に勝てると思ってんのか?」
そう、俺は元の世界で何度か赤名の暴走を止めている。
「ちょっと!遼やめなさいよ!赤名も落ち着いて!」
「はぁ、梨乃に言われちゃしょうがねーな」
「あ、ああ。すまん咲葉」
まあ、反応から分かるように赤名は梨乃に気があるようだ。最も俺が手を出させはしないけどな。
「姫様、話の腰を折って済まなかったな。続きを頼む」
「は、はい。勇者様達には、この国を救って欲しく勝手ながら召喚させていただきました」
やはり予想通りか。なら、魔王を倒してとかなるんだろうな。
「姫様、俺は手伝おうとは思う」
「ほんとですか?!」
「だが、俺は一箇所にとどまるのは性にあわない。だから俺はここにいる気はない」
俺は魔王を倒すのも楽しそうだとは思うが、同じところに引き止められるのはあまり好きではない。だからこの世界を見て回りながらでも魔王を倒しに行こうと考えた。
「こ、困ります!単独で行動されては危険です!」
「俺がここに居ないのを了承しないのなら、俺は手伝う気はない」
「そ、そんな!」
「セルシア、下がってよい。貴殿の名前を聞いてもよろしいか?」
「俺は天地遼だ」
「天地殿、その件了承した。しかしそのまま出られても戦う方法がなければ困るであろう。2ヶ月ここで訓練を積み出て行くというのはどうであろうか?」
「そうだな。2ヶ月経ったら出ていくことにするよ。それまではお世話になる」
「相分かった」
「ちょ、ちょっと遼!何勝手に決めてるのよ」
「そうだぞ遼、俺達を置いていくつもりか?」
「お前らついてくるつもりなのか?」
「あったりめーよ!遼一人で冒険とか危なっかしくて見てられないっもんよ!」
「どこまでもお兄ちゃんについて行くに決まってるよ!」
「遼さんにはお世話になりましたから」
こいつらの中では俺に付いて来るのは決定事項らしい。
「そうか。なら頼りにしているぞ」
俺達はそれぞれの思いを胸に王の間から去っていき、割り当てられた部屋へと案内された。
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「セルシア、お前も部屋に戻って休みなさい。召喚の儀で疲れただろう」
「はい。お父様、失礼いたします」
セルシアが王の間から去り私一人になる。
「大臣、あれを用意しろ」
「御意に」
一人しかいないはずの王の間に別の人物の声が響き渡った。
レイシス王がそのまま王の間を去り、王の間はまた静寂に包まれた。
投稿二日目!(`・∀・)ノイェ-イ!
というわけで、今回は王様と姫様が登場です。
新キャラの赤名君はどうなるでしょうね?(ニヤッ
作者一押しのキャラは妹の秋葉ちゃんですね。登場回数まだ少ないけども………
ほかのキャラもバンバン出していこうと思うんで好きなキャラ見つけてくださいね。
次回は定番のあの回です。あれって何かって?あれはあれですよ〜
感想などもお待ちしてます!