表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
64/66

間違いの本番

週が開け、オレはいつも通り、会社に向かい、ゆめちゃんは自宅に籠り、漫画の執筆に勤しんでいた。


普段とは違う通勤ルートだったので、最初は少し戸惑ったが、2日ほどで慣れた。

だが、3日目になると違和感を感じるようになった。


気のせいかもしれないけど、誰かに見られてるような……


見られていると具体的に感じるのはゆめちゃんの家を出てから駅に着くまでと駅からゆめちゃんまでの家の往復の間だ。家から駅までの時間はわずか5分程度。


帰りの途中で何度かメイクを直すふりをして手鏡を取り出し、鏡越しで後ろを見てみるが、そこには誰もおらず、不審な人影も見えない。


不安な気持ちを抱えるが、確証がないのにゆめちゃんに話しても怖がらせるだけだと思い、特にそのことについては話さなかった。

そうして、もやもやした気持ちを抱えながらも、日は流れていき、ついに冬コミ当日を迎えることとなった。


「相変わらず混んでるな……」


会場に入って早々、人の多さに驚きながらそんな一言が口から出てきた。


時刻的にはまだ開場してから30分も経ってないのに、中は既にすし詰め状態である。昨日のニュースでは徹夜組もいたとかなんとか。

夏の時には、会場を一周するはめになったが、今回はゆめちゃんの招待ということもあり、オレは関係者入口から中に入ることができた。


といっても、別に販売のお手伝いをするわけでもなく、ゆめちゃんに危険が及ばないように後ろでずっと見守っているだけである。

夏と違って気温も低いので、人の多さによって室内はちょうどいいくらいの温度なので、比較的快適である。


ただし、念のためにと、ゆめちゃんから通販で購入した警棒を渡された。


まぁこんな人混みの中で襲うような人間はいないと思う。ましてや、ゆめちゃんはテーブルの内側にいるわけだし、外側からすればかろうじて手が届くような位置だ。


「さてと……」


オレは対して緊張感を感じないまま、イスに座り、必死に接客をするゆめちゃんを見守ることにした。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ