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巡りめぐる間違い。その3

な、なんでラブホなんかに……!?

思わず、頭を抱える。

考えられる可能性としては、あの人が連れてきたってことだが……


もしかして、オレが異様な眠気に襲われたのも飲み過ぎが原因じゃないのかも……

ってのんびり考えてる場合じゃない!

オレは慌ててドアまで向かった。


早くここから出ないと……!

向こうはオレがオンナと思って、ここに連れてきたんだろうが、実はオトコだと分かったとき、何をされるか……

ドアまで辿り着き、ドアノブを回す。


「あ、あれっ……?」


ガチャガチャとドアノブを左右に回すが、ドアは開かない。


開かない…………?なんで?


「無理だよ」


「!!?」


その言葉にハッと振り向く。

そこにはいつの間にかお風呂場から上がり、下半身にタオルを巻いただけの状態の彼が。


「ここのホテル、オレの知り合いが経営者でさ。色々口聞いてもらってるんだよね」


まだ乾き切っていない髪の毛をボサボサと別のタオルで拭きながら、そんなことをいってくる。


「あなたが、アタシをここに……?」


「正解。いやー、久々に上玉を見つけたからさ、このチャンスは逃せないかなって」


言って不気味な薄ら笑いを浮かべる。


「……!」


こいつ……居酒屋にいたときと全然雰囲気が違う。

完全に化けの皮が剥がれたって感じだ。


「さ、状況がわかったところで、君に逃げ場はないよ。ドアは開かないし、大声を出したところでこの部屋の防音機能で書き消される。それより早く楽しいことをしよう……」


言いながら徐々にオレとの間合いを積めてくる。

クソ……!外道め……!!大体、オトコ同士で楽しめるわけないだろ……!

心の中で悪態をつきながら、どうすればいいか頭を働かせる。

携帯を取りに行こうにも、カバンがどこにあるのかも分からない。

となるとあいつを倒した方が早いか……

しかし、武器になりそうなものが周りに一切ない。

素手で倒せる自信もないし……

でも、やるしかないか……

オレは足に力を込めて床を蹴った。


そのとき。

ドガーーン!!と盛大な音を立てて、ドアがぶち壊された。


「「……」」


その大きすぎる音に二人とも呆気に取られる。


と、次の瞬間。


「何やっとんじゃー!!」


その言葉と共にカンフー映画さながらに、誰かが彼に思いっきり、跳び蹴りを食らわす。


「ぐっ……!!」


上半身は何も着ていなく、完全に無防備な上、モロにみぞおちに跳び蹴りが決まったようで、彼はそのまま床に伏した。


「ったく、この外道が……」


床に横たわる彼を見ながら、パンパンと服のほこりを払いながら、くるりとオレの方を振り向く。


「はぁ……間に合って良かったよ」


オレの姿を見るや、安堵の表情を浮かべる。

その誰かとはもちろん。


「香織さん!!」


その後、香織さんは鬼のような形相でオトコを締め上げ、オレはキズモノにされずにすんだ。


「ごめんね!私が無理に頼んだばっかりに、こんなことになって……」


帰り道。

いきなり立ち止まったと思ったら香織さんが両手を合わせ、頭を下げてきた。

どうやら、彼は酔ったオレを介抱するという理由でこっそりホテルまで運んだようで、そのことを知った香織さんは慌てて近くのホテルを探し回ったそうだ。


「まぁ香織さんのおかげで未遂で済んだし、今回はお互い気にしないようにしましょう」


「ああ、そう言ってくれると助かるよ……」


ほっとした様子で胸を撫で下ろす。

香織さんに助けられるのはこれで三度目か……

にしても最近、いろんなことに巻き込まれ過ぎな気がする……

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